記事の要点
・東急不動産株式会社が、鹿島建設株式会社と共同で国家戦略特別区域計画の特定事業として開発した「東京ポートシティ竹芝」が、2020年9月14日(月)に開業する。
・40階建てのオフィスタワーと18階建てのレジデンスタワーからなる総延床面積約20万㎡の大型開発で、オフィスタワーにはソフトバンク株式会社が本社を移転予定。
・1,000台を超える3DセンサーやAIカメラなどの最先端デバイスがはりめぐらされ、リアルタイムにデータを収集したり、館内搭載の5Gやロボットと人との共存など、最先端のテクノロジーがふんだんに活用される。
LoveTechポイント
5Gを実装し、リアルタイムデータ活用で快適さを追求した都市型スマートビル「東京ポートシティ竹芝」が、効率的な働き方と暮らし方をリードする。
コロナ禍での開業となりましたが、「混雑回避」「非接触」など便利だけではなく安心を軸に据えたアーバンライフ開発のコンセプトが、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
東急不動産株式会社が、鹿島建設株式会社と共同で国家戦略特別区域計画の特定事業として開発した「東京ポートシティ竹芝」が、2020年9月14日に開業する。40階建てのオフィスタワーと18階建てのレジデンスタワーからなる総延床面積約20万㎡の大型開発で、オフィスタワーにはソフトバンク株式会社が本社を移転する予定だ。
両タワーのコンセプトは「人間のパートナーになるビル」。顔認証でゲートをくぐり、お財布なしでカフェが利用でき、ロボットが自動で床清掃をやってくれるなど、無駄な時間や労力をテクノロジーの力で削減することで、スマートな生活の実現を目指して設計されているという。
具体的には、館内全域に5Gが実装されており、3DセンサーやAIカメラなど約1,000個の最先端デバイスが配備。そこからリアルタイムにデータが収集されることで、スペースの空き状況や特定の人物抽出など、ビル利用にあたって必要な情報が、利用者へと即時提供される仕組みを構築しているというわけだ。
まずはオフィスビルについて。
ビル勤務のオフィスワーカーには専用のアプリが配布され、以下6つの機能が提供される。
- エレベーターホールの混雑状況
- スキップテラス空き状況
- ビル周辺天気
- 店舗の混雑情報
- トイレの空き状況
- 電車の運行情報
特に混雑状況チェックの仕組みは、待ち時間のない効率的な働き方が促進されるのはもとより、コロナ禍で「混雑回避」「非接触」が前提となるからこそ、安心して働ける環境づくりに貢献すると言えるだろう。
また店舗テナントに対しては、専用のBIツールが提供される。館内のどの入口からどれくらいの来訪があったか、今現在の各フロアや自店舗にいる来訪者人数など、施設利用の傾向情報を分析して売上予測や在庫管理最適化に役立てることが可能だ。
また、東京ポートシティ竹芝のオフィスタワーは、一般客も利用できる「竹芝グルメリウム」というフードエリアも備える。AIカメラが飲食店の空席情報をリアルタイムで認知するので、来館者は館内約30か所に配置されたデジタルサイネージを通じて各店舗の空き状況を確認し、スムーズな店舗選びをすることができる。またサイネージでは周辺の天気情報も表示されるので、雨の日限定クーポンを配信するといったサービスもあるという。
さらにビルマネジメント会社に対しても、館内の状況を可視化できるダッシュボードシステムを提供。例えば、事前に不審者の顔写真を登録しておけば、当該人物が館内に立ち入った際にAIカメラが異常を検知し、アラートを発するなど、セキュリティ面で貢献してくれる。
また、館内出来事のリアルタイム把握など、AIカメラやヒートマップ等を駆使してマップ上での把握が可能となるので、人手不足の解消の一助にもなるということだ。
一方でレジデンスタワーでも、専用アプリが用意されており、オフィスタワーと同様に5Gネットワーク網が前提となるので、電気代やデジタルキーなど20以上のサービスが、一つのアプリ上で一括利用できるようになるという。ユーザーは複数のアプリを管理せずに済む点も魅力と言えるだろう。
実はこの竹芝エリアは、ビルだけでなく、エリア全体でもスマート化を推進している。2015年3月には国家戦略特別区域計画の特定事業として内閣総理大臣認定を受け、その第一弾として都市計画法等の特例の認定を受けている。また今年7月には、東京都が実施する「スマート東京」の実現に向けた先行実施エリアプロジェクトに「Smart City Takeshiba」が採択されており、デジタル×コンテンツの産業集積地の実現のために、実に様々な取り組みがなされている。
9月10日に行われた東京ポートシティ竹芝のメディア向け説明会では、東急不動産の岡田社長が、エリア全体の開発背景を次のように語った。
「竹芝エリアは、水と緑の豊かな自然が広がる、都内でも希少な立地である一方で、魅力を十分に発揮できていませんでした。これから国家戦略特区第一号案件として(※)、行政と連携し、地域の課題解決、活性化に取り組んで参ります。
具体的には、交通利便性向上のために首都高の上空を通る地上16mの歩行者デッキを整備し、浜松町~竹芝エリアを接続することで、新たな賑わいを生み出しました。また、これまでに約40社と連携して200回以上の地域活性化イベントを実施してきました。この協議会を中心に、一丸となって街を盛り上げて参ります。」
※国家戦略特区=産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図ることを目的に規定された経済特区
また、ソフトバンク社を共創パートナーとして迎えたことで、スマートシティ先進都市への意気込みも強調した。
「テクノロジーの力によって、混雑回避や非接触を実現し、ウィズコロナ時代にマッチする働き方改革となりました。これからも最先端実験を行ない、スマートシティの先進都市として東京の国際競争力を高めて参ります。」
同プロジェクトでは、すでに実施された東京都「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」のほか、今年9月からスタートするNEDO「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」や、東京都による先端テクノロジーショーケーシング事業「Tokyo Robot Collection」などにも参画。都心型スマートシティーの先進都市として、さまざまな実証実験が行われていく予定だ。
日本を代表する大企業とベンチャー各社が仕掛ける、新たなアーバンライフスタイルの創出プロジェクトが、いよいよ9月14日に開業する。
東京の国際競争力を高められるか、竹芝エリアに期待が高まる。
以下、「東京ポーとシティ竹芝」のホームページです。