マットレスから家具ブランドへ。オーストラリア発寝具D2C「コアラマットレス」の次なる日本展開

イベントレポート

超振動吸収性でワインもこぼれない「コアラマットレス」

 世界でも、有数の“不眠大国”と言われる日本。

 寝具大手の西川株式会社が2019年8月に発表した「西川 睡眠白書2019」によると、「日本人の半数以上に不眠症の疑いがある」という衝撃の結果が出ており、特に20~30代の不眠の割合が高いことから、社会的なストレスや不安が睡眠に影響を及ぼしている可能性が、発行元である日本睡眠科学研究所より指摘されている。

西川 睡眠白書2019より(西川の睡眠白書は毎年経年で発表されているもので、WHOが中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」作成の世界共通不眠判定方法「アテネ不眠尺度」の質問に則って、1万人を対象に調査されたものだ。2019年度調査では全体の50.1%が 「不眠症の疑いあり」で、前年の49.3%を0.8ポイント上回る結果になった。また年代別に見てみると、20代・30代においては平均よりも10ポイント以上多い割合で「不眠症の疑いが高い」という値が出ており、比較的若い世代の睡眠状態が特に良くないことが分かる)

 そんな我が国で、寝具という切り口から“最高の睡眠体験”を追求しているのが、オーストラリア発D2Cスリープテック企業・Koala Sleep Japan株式会社である。Koala Sleep Pty Ltd Australiaを親会社に持つ同社は「コアラマットレス」という“超振動吸収型”ベッドマットを提供しており、FacebookやTwitterなど各種SNSを中心に話題となっている。

 読者の中には、以下のような「ワイングラステスト」動画をご覧になったことのある方も、多いのではないだろうか。

 

 本記事では、2020年6月16日に行われた同社新商品発表会の様子と合わせて、同社の商品特性および今後の展開についてお伝えする。

マットレス業界、変革の旗手は二人の元ラガーマン

 最高の睡眠のために生み出された超振動吸収「コアラマットレス」。実は開発したのは、睡眠の専門家でなければ寝具メーカー出身者でもなく、元ラガーマンの二人であった。

 2015年にKoala Sleep Pty Ltd Australia(以下、Koala Sleep)を創業したミッチ・タイラー氏[Mitch Taylor]とダニー・ミルハム氏[Dany Milham]は、ミルハム氏の怪我をきっかけに、身体と睡眠の関係を勉強。自身の寝具を見直すべく、市場にあるものを片っ端から購入し試していった。すると、例えば衝撃を吸収する低反発メモリーフォームマットレスは腰に負担がかかるし、ラテックスマットレスは通気性に問題があることがわかった。またスプリング(コイル)マットレスは、中のスプリングが経年劣化してカビ等の温床にもなり得る。つまり、購入者にとって本当に良く、かつ身体に優しいマットレスの選択肢が圧倒的に少ない状況だったわけだ。

 そんな中、二人が注目したのは「ポリウレタンフォーム」。ポリウレタンというゴムのような繊維が原料で、衣類や鞄、家具等にも多く使われる身近な素材である。これが耐久性と通気性に優れていることから、二人は独自にマットレス用素材として最適化し、「クラウドセル(kloudcell)」と命名。数百万の気泡が、スプリングの役割を果たしてくれるように独自開発を進めた。

 コアラマットレスは、このクラウドセルを上層部に配置した3層構造になっており、下層部では身体の各部位の重さに合わせて適切な硬さに調整してくれる「ゾーニング製法」を採用していることから、理想的な寝姿勢を保てるように設計されているわけだ。

上層部は、やわらかい低反発とほどよい弾力の高反発を融合した通気性のあるクラウドセルを採用。中間層は、衝撃をバランスよく吸収するクッションの役割を担っている。また下層部は、寝返りを打ちやすい高反発で身体をしっかりサポート。体圧を分散させるゾーニング製法を採用している

 また、従来のマットレス販売で常識となっていた仲介業者やショールームは一切使わず、顧客への直販、すなわちD2Cモデルでの流通を採用。創業当初より進めているWWFとのパートナーシップや「コアラ里親プログラム」(※)、産業ゴミ排出基準が最も厳しい水準と管理体制の行き届いた工場との契約など、そのサステナブルな事業推進モデルと品質への評価が口コミで広がっていき、会社設立からわずか2年で売上高は5,000万豪ドル(2020年6月17日時点の外国為替レートで約37億円)を超えた。

 このように、Koala Sleepは20年以上革新のなかったマットレス業界に変革を起こし、今ではオーストラリアで最高評価を獲得する寝具ブランドへと成長している。

※豪州ポート・マッコーリーにあるコアラ病院との提携により、顧客がマットレスを購入することで、コアラの自然生息地の保全、保護、復元を支援し、生息数の維持につなげることができる。実際にオーストラリアにいるコアラの里親になることもでき、里親である公式の証明書を受け取ることも可能。いつでも好きなときに、自分が里親をしているコアラの家族に会いに行くことができる

Koala Sleep初の海外市場は、日本

 そんなコアラマットレスが日本に進出したのは2017年10月。なんと、初の海外市場としてアメリカでも中国でもなく、日本を選んだのであった。

 とはいえ、日本とオーストラリアとでは商習慣の違いが大きく、認知度が低い上に競合も多く、さらにはCSR活動への感度も低い状況なので、まずは認知向上に向けた一連の施策を2018年度に進めていった。具体的には広告や顧客レビューなど実データに基づくマーケティングはもとより、2ヶ月に1回ほどの頻度で体験会をテスト的に開催。日本人が睡眠の向上に強く関心を持っており、そんな方々がコアラマットレスをしっかりと受け入れてくれると分かったことが、最大の学びだったという。

大阪の南堀江「LINE UP STORE」にて開催されたマットレス体感イベント「コアラ・スリープラボ」の様子

 2019年にはマーケティング機能を強化し、リアルイベントやウェブサイト、インフルエンサー、PR、クリエイティブ制作などを部署担当制にして再配置。単月ごとのPDCAを回していったことで、徐々にファンによる口コミ効果が顕在化していき、認知度や信頼度の向上に繋がっていった。

 口コミの中でも特に話題として多いのが、コアラマットレス配送時のこだわりである。一般的なマットレスはそのままの形で到着するものだが、こちらの商品は丸まった形で到着。開封すると、写真の通りわーっと元サイズへと広がり、そのまま寝転がることができる。

商品到着時のコアラマットレス

開封時のコアラマットレス

 以前、スウェーデン発シェルフブランド「string®」を取材した際に、ワゴン車での販売に適する形で全ての部品をフラットなモジュール式に設計したことが、薄型梱包による輸送費や保管料の削減に貢献するデザイン設計になっているとお伝えしたが、このコアラマットレスもそのような観点で、非常に地球に優しい仕様となっていると感じる。

 ちなみに同社は一般消費者向けの活動のみならず、以下当メディアでもお伝えした通り、「睡眠手当制度」や「移動式快眠ルーム “koala sleep car”」といったユニークな法人向けの取り組みも実施。様々な施策を通じて、日本人の睡眠リテラシー向上に貢献していると言えるだろう。

寝具のみならず、今後は「家具」ブランドへ

「当社はマットレス会社としてスタートし、寝具ブランドとしての成長してまいりましたが、今後は“家具ブランド”として、様々な商品を開発・提供していく予定です。

 こう語るのは、Koala Sleep Japan 日本法人代表のアダム翔太氏。

 そう、ここまでは主にコアラマットレスについて見てきたが、同社は他にもソファーや枕、新商品としてベッドフレームを日本市場に展開している。特にベッドフレーム以外の3商品については上述のウレタンフォームを使用しており、いずれもCerti-PUR US(※)認定を受けている。

※CertiPUR(サーティピュア)とは、ポリウレタンフォームの環境面・健康面・安全性に関して自主検査、分析および認定を行うためのプログラム。ポリ ウレタンフォーム製造に使用できない物質を指定し、特定の成分に対し厳格な上限を設定している

2019年12月より発売開始した「コアラピロー」日本モデルは、あらゆる寝姿勢で頭と首をしっかりとサポートするゾーニング製法に加え、「ゲル入り低反発素材」を採用しているので、睡眠中に上がりがちな頭部・首元の体温を適度に調整する仕様となっている

コアラの家具シリーズ第一弾として2020年4月より発売開始した「コアラソファー」は、日本人の好みに合った座面の角度・クッションの硬さ・背もたれの高さなどを研究し、体に負担がかかりにくい人間工学に基づいた設計にこだわっている。小分けの箱で届くため搬入や移動が便利に行え、また工具を使用する必要が一切なく、15〜20分という短時間で組み立てられる。さらにソファーの売上の一部は、絶滅の危機に瀕しているオーストラリアのウミガメ、およびその生育環境の保護活動へ寄付されている

 今回発表された家具シリーズ第二弾となる「コアラベッドフレーム」は、接着剤含め動物由来のものを一切使用しないヴィーガン家具

 ネジやボルトといったジョイントのための部品は一切なく、レゴのように組み立てるだけだ。表面には木目と色調が美しいレッドオークのコーティングを、芯部にはハニカム構造の合板を採用しており、女性一人でも簡単に組み立てることができるよう設計されている。

 

 なお、日本に上陸してからの同社の売り上げは、2019年度は前年対比で250%増を、2020年度は現時点で昨年度売り上げを、それぞれ達成。今年は400%増の着地を見込んでいるという。

 そんな急成長中のKoala Sleep Japanでは、2021年の施策として、腰を据えた中・長期戦略の策定をはじめ、家具ブランドとしての新商品開発と発売の加速、社員増員、自社オフィスの新設を予定しているという。

アダム氏:「今後の展開としては、大きくこちらの4軸を予定しています。
今年は皆様に多くのニュースをお届けできると思います。ぜひ楽しみにしていてください。

 

編集後記

一度だけ友人の引越しを手伝った際にコアラマットレスを体験したことがあるのですが、驚くほど衝撃を吸収してくれるので、同じマットレス上で歩かれても、ほとんど気にならない状態でした。

 

これならば、ダブルサイズやクイーンサイズで家族川の字になって寝ても、寝返り等で睡眠を妨げられるリスクもないと感じた次第です。

 

良質な睡眠は、社会の最小ユニットである家庭の幸せの第一歩。

 

地球に優しい素材や流通でデザインされたコアラブランドは、日本人の睡眠リテラシーを高めてくれるだけでなく、睡眠を通じた家族の絆も強めてくれると言えるでしょう。

 

「120日トライアル」というお試しプランもあるので、気になる方はぜひ、まずはトライアルで取り寄せてみてはいかがでしょう。

https://jp.koala.com/

 

長岡武司

LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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