最短15分で駆けつけるベビーシッター「ここはぐnow」が目指す、全てのママに優しい世界《前編》

インタビュー

 育児ほど豊かな経験はない。愛する我が子が笑いかけてくるとこの上なく幸せな気持ちになり、また一方で深夜3時を過ぎても泣き止まない我が子を見てイライラし、絶望する。いつまでこの苦労が続くのだろうか、と。

 「育児は大変なことも多いけど、その数倍幸せなことも多い」と笑顔で話す方がいれば、「幸せに感じることも多いけど、その数倍しんどいことがある」とうつむき加減で話す方もいらっしゃる。

 子育ての現場には、常に「育児ストレス」が隣り合わせだ。特に、ワンオペ育児で人に頼ることのできない状態のママさんたちのストレスは深刻だろう。万が一自分が目を離した隙に子どもが怪我をしたらどうしよう。お手洗いに行っている間に何かあったらどうしよう。常にこのような心配がつきまとい、寝不足も相まって、心身ともに疲れが溜まってしまう。非常に悪循環だ。

 そんな子育てママにとっての休息の時間を提供したいと願い、はじまったサービスが「ここはぐnow」だ。ここはぐnowでは、専用のLINEでベビーシッターを依頼すると、なんと最短15分で駆けつけてくれる。事前予約は不要、預け時間は1時間〜3時間という短時間利用のみ可能という、これまでのベビーシッターサービスの常識からは外れたサービス内容となっている。

 Love Tech Mediaでは、ここはぐnowを運営する株式会社ここはぐ 代表取締役の草加今日子(くさか きょうこ)氏にお話を伺った。

 サービスリリースは今年(2018年)の7月1日。どのような経緯と思いで本サービスを設計し立ち上げられたか、前編・後編に渡ってお届けする。

 

ベビーシッターは対象エリア内に常に待機している

--まずはサービスリリースおめでとうございます!事前予約なしで最短15分で駆けつけてくれるベビーシッターって、相当すごい仕組みですね。

草加今日子(以下、草加氏):ありがとうございます。

まだまだサービス対象エリアが限定的で、恵比寿ガーデンプレイスを中心に渋谷区・目黒区・品川区・港区の一部地域でのご利用が可能な状況なのですが、これから順次対象エリアを拡大していく予定です。

 

--そもそもどのようなサービスなのか、教えてください。

草加氏:非常にシンプルなのですが、専用のLINE@アカウントがありまして、そこに3ステップで登録すると、いつでも必要なタイミングでベビーシッターを呼んでいただけるようにしています。

ちなみに弊社では、短時間であってもサービスを利用いただくご家族の一員になれたら……という想いを込めて、ベビーシッターのことを「ここファミ(ここはぐファミリーの略)」と呼んでいます。

弊社のベビーシッターは恵比寿ガーデンプレイスにて営業時間内365日待機しており、呼び出しがあると、ご自宅まで徒歩か自転車で向かいます。

 

<ここはぐnow利用開始3ステップ>

STEP1. 「ここはぐnow」をLINEで友だち追加

「新規登録」ボタンを押すと、「ここはぐnow」アカウントの友だち追加画面が現れるので、友だち追加してください。「ここはぐnow」トーク画面に「ご登録」ボタンがあるので、それを押します。

STEP2. Googleフォームに回答する

Googleフォームの質問にご回答ください。この際、本人確認書類の写真データのアップロードが必要になりますので、お手元に運転免許証やパスポート等の保護者様自身の本人確認書類とお子様の健康保険証をご用意ください。

STEP3. SMSメッセージをコピペする

Googleフォームで回答していただいた携帯電話番号宛てにSMSでメッセージをお送りします。そのメッセージをコピーして「ここはぐnow」のトークに貼りつけてお送りください。1営業日以内に審査を完了いたします。完了しましたら、「ここはぐnow」のトークに完了メッセージをお送りいたします。メッセージが届きましたら、サービスをご利用いただけます。

審査完了!

 

草加氏:「ここはぐnow」アカウントはベビーシッター依頼専用のLINEアカウントです。

ここはぐnowアカウントで「今すぐ呼ぶ」を押していただくと、ご依頼時間に応じて対応可能なシッターを検索・調整し、担当シッター情報を提示した上でそのままサポートに向かいます。

 

2年間で97家庭466件のシッティングを経験

「ココハグ※前身のこどもの居場所」時代の写真

 

--草加さんがこの事業を始められた経緯を教えてください。

草加氏:もともと私は子どもが大好きで、東京家政大学家政学部の学生として児童福祉の勉強をしています。今はここはぐのサービス立ち上げのために休学中なのですが、来年から復学予定です。

 

--草加さん、学生起業なんですね!

草加氏:そうなんです。

そもそものきっかけとして、私自身が中高生の時に、親子関係で悩みを抱えることがありました。虐待ではないのですが、自分から誰かに相談することがなかなかできない、気持ちを表面化できない、というモヤモヤとしたな思いをずっと抱いて生きていました。

高校生のある時に「社会起業家」の存在を知って、世の中とこんな関わり方ができて社会を変えることができるんだ!って感動しました。

その後、色々なNPO団体を調べたりしながら自分の今後のミッションをじっくりと考え、「日本の全ての子どもたちが、健やかに幸せにはぐくまれる社会を実現したい!」と志すようになり、保育の東大と呼ばれる東京家政大学に入学して、児童福祉を学びながら様々な現場に飛び込むことにしたんです。

 

--どのような現場に飛び込まれたのですか?

草加氏:保育園、学童保育所、児童養護施設、自立支援ホーム、地域の小学生向けワークショップ、そしてベビーシッターと、5年間、本当に色々な経験をさせてもらいました。

 

--すごい数ですね!

草加氏:最後に飛び込んだのがベビーシッターの現場で、大学3年生〜4年生の約2年間で合計97家庭、466件のシッティングを経験しました。

そこでの体験が、「ここはぐnow」の原体験となります。

 

1/3以上のご家庭が「リスク家庭」

 

--シッティング経験を通じて感じたことを教えてください。

草加氏:最初にびっくりしたのですが、一部の家庭の家の中が壮絶な状況なんです。

部屋は散らかり放題でゴミがそのままになっている。食事はレトルトが中心でちゃんと調理する時間も気力もない。昼夜問わず泣き続ける子どもに怒り続けるママ。静かにするためにYoutubeをずっと見させられる子ども達。

私が依頼を受けたシッティング先は高層マンションが多かったのですが、その外見からは想像もできない、隠れた家庭の姿を見ることになりました。

 

--それはすごい状況ですね。

草加氏:私がシッティングを担当したご家庭のなんと42%が、このような状況でした。1/3以上のご家庭で、いつ子どもが虐待の犠牲になるかもしれないわからない「リスク家庭」だったんです。

また私自身ベビーシッターをしている時にはっと気付かされた瞬間がありました。自分の体調が悪くなった時に「体調悪いから交代してください」なんて言えないということです。シッターを代わってくれる人は誰もいないので。

代わりを頼めない環境の中、思い通りにならない状況がずっと続くことの辛さを、この時に初めて実体験として思い知りましたね。

 

--外から見ているとなかなかわからないのですが、ママさん達はどのような状況なのでしょうか?

草加氏:本当に色々です。子どもが生まれてからはなかなか自分の時間を確保できない。子どもは何時間も泣きわめく。片付けても片付けても部屋を汚される。旦那さんの手伝いを期待できず、ワンオペ育児を余儀なくされている。ご飯を作っても、食べないでぐちゃぐちゃにされる。

聞けば聞くほど、そりゃそうなるよね……と感じました。

 

--そういったお話って、家庭の中でも見せたくない部分だと思うのですが、ママさん達はよく草加さんに話してくれましたね。

草加氏:私が学生だったことが大きいと思います。これがちゃんとした保育士さんやベテラン育児経験者さんですと、誇れる育児をしていない自分を晒すのは恥ずかしいし怒られるしで、そもそもベビーシッターを頼むことさえできなかったと思います。

あと、私自身がベビーシッターのプロフィールで「24時間365日対応可能」と明記していたことも、選ばれやすい要因だったと感じます。現に、最短45分で現場に行くようにしていました。

 

自分たちからリスク家庭に入り込むことが必要

 

--主にベビーシッターをされた2年間で感じられた課題がきっかけとなって、今の「ここはぐnow」が生まれたということですね?

草加氏:実は最初から今の事業内容ではありませんでした。

今から3年前に、地域の小学生のための居場所づくりをはじめました。学校や家の中で居場所のない子ども達のサードプレイスを作りたかったんです。子ども達が困った時の駆け込み寺として、信頼できる大人と関係を築く場所を提供したい、という願いで始めたのですが、結果として失敗し、半年でクローズしました。

 

--何が原因だったのでしょうか?

草加氏:本当に来て欲しい子ども達はそもそも表に出てこないので、マーケティングが非常に難しかったんです。

結果として思ったような子が来ないし、思ったようなコミュニティにもならない。そんな状況でした。

 

--そこからピボットされたということですね?

草加氏:はい。これからどうしようかと悩んでいる中で、NPO法人ETIC.が運営するSUSANOO(スサノヲ)という社会課題を解決するアクセラレータープログラムに出会いまして、そこで事業内容をブラッシュアップしていきました。

さらに翌年には、同法人が運営する別プログラムMAKERS UNIVERSITYにも採択され、自分が解決したい課題に対して、本当に必要で持続可能な仕組みは何かということを、突き詰めて考えていきました。

様々なディスカッションとヒアリングを経て現時点で行き着いた結論としては、待ちの姿勢ではなく、自分たちから色んなママに会いに行くこと、困った時はすぐに呼ばれる存在になることだと考えています。

これを実現したいと考え、今のここはぐnowをリリースしました。

 

》後編記事につづく

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