妊活・不妊治療領域での議論活発化を期待、ファミワン×東大病院 共同研究《前編》

インタビュー

 世界一の不妊大国とも言われる我が国で、夫婦1組1組に対し、中立的な立場で寄り添い続けるスタートアップ、株式会社ファミワン。当メディアでも第一弾インタビュー記事として、昨年6月にお話を伺っている新進気鋭のスタートアップだ。

 同社は妊活に取り組む夫婦に向け、LINEチャットを使ったパーソナルサポートサービス『famione(ファミワン)』を事業展開している。

 これから妊活する人も、すでに深く妊活・不妊治療をしている人も、そして男女問わずどのフェーズであったとしても、LINEを通じてエビデンスに基づいたアドバイスを提供している。

 この「エビデンスに基づいた」という点が重要である。

 世の中には様々な妊活ソリューションが提供されており、中には根拠の乏しい内容であったとしても、堂々とサービスとして流通しているものがある。エビデンスがないものに対しては、そう伝えることも重要だが、意図的に曖昧な表現をしている場合も多い。根拠が乏しい=ダメなサービス、という二元論的な話をしたいわけではないが、サービス利用者の「安心・安全」といった点にフォーカスをすると、少なくとも根拠(エビデンス)に基づいた内容であるに越したことはないだろう。

 そんな背景の中、エビデンスを重視したサービス設計を進めるファミワンが新たに、東京大学医学部附属病院と「生活習慣が体外受精(以下、IVF)の成功率に与える影響の解明」を目的とした共同研究を開始したと発表した。

 いったいどのような内容なのか、どのような背景と目的で東大病院と組むことになったのか。前後編の2記事に分けてお伝えする。

 本記事では、まず共同研究概要をチェックしたのちに、株式会社ファミワン代表取締役 石川勇介氏にこの辺りのお話を伺った。

生活習慣とIVF成績の相関を示すエビデンスがまだ少ない

 石川氏によると、今回の共同研究に至る背景の一つは、「妊活領域における、信頼できる情報の少なさ」だという。

 妊活において、WHOから発表されている「不妊の原因の約半数(48%)が男性にある」という事実自体は男女問わず認知が向上してきており、併せて「妊活は男女で取り組むもの」という意識も、少しずつではあるが広がっている印象である。

引用:医療法人浅田レディースクリニックホームページ

 同社が監修に加わった、昨年放送のテレビドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)の影響も大きいだろう。

 しかし、2016年に実施されたアンケート(バイエル社調査)によると、「妊活・妊娠に関する情報を正しく理解できている自信がない」との回答が60%と、多くの不妊で悩むカップルが不安を抱いているという結果が出ている。つまり、信頼できる情報にアクセスできていないのだ。

 例えば、女性の加齢や子宮内膜症、喫煙がIVFの成績を低下させる原因であることはエビデンスと共に分かっているものの、一方で食事や運動、ストレスなどの生活習慣がIVFの成績に影響を及ぼすかを調べた論文の報告はまだ少なく、解明が進んでいないというのが現状だ。

 つまり、「なんとなく良さそうだから」「数名に効果があった(と思われる)から」という理由で、上述に絡めた妊活サービスというものが存在しているということになる。

 そこで、食生活や運動の習慣、生殖における生活の質QOLとIVFの治療成績を調べることで、これらの生活習慣や生活の質がどのように影響するのかエビデンスを取得するべく、しっかりとした体制で研究するというわけだ。

次ページ:多施設共同の臨床研究

長岡武司

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LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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