2018年9月7日〜17日にかけて実施された「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷(以下、SIW)」。渋谷・原宿・表参道エリアの商業施設やイベントスペースを拠点に様々な形式のイベントに参加できる、都市回遊型イベントだ。
今回Love Tech Mediaは、9月8日に渋谷のEDGEofで開催されたSIWのサテライトプログラム「BLOCKCHAIN2.0 MEETUP ブロックチェーンがつくる、新しい未来」に参加した。
ブロックチェーンといえば、昨年より特に注目されるようになったビットコインを始めとする暗号通貨分野をイメージされる方が多いかと思う。しかし、暗号通貨だけでなく、そのほか様々な分野での社会実装事例が出てきており、ブロックチェーンの実生活における応用可能性が垣間見えた1日となった。
本記事はその中でも、ブロックチェーンを活用したレズビアンカップル宣誓式「にじいろブロックチェーン」の部についてレポートしていく。世界共通で同時的、かつジェンダーレスにパートナー関係を証明し、ポータブルに持ち歩いて証明できる手段としてのブロックチェーン活用についてお伝えする。またそれに付随し、渋谷区の取り組むパートナーシップ制度についても、これを機会に概要をお伝えしたいと思う。
渋谷区のLGBT取り組みについて
日本の”結婚”という制度は、主にマジョリティーのケースとして、同じ国出身の戸籍上男性・女性の間で、名字を変えて片方の家に嫁ぐ形で、婚姻関係を結ぶ手法として確立されてきた。
しかし、この結婚制度には課題も多い。例えば外国籍の方と結婚する場合、日本で婚姻届を出しても、パートナーの国でも婚姻届を出さない限り、パートナーの国では「独身扱い」となってしまう。また、日本で同性婚をしようとしても法的に認められていなかったり、事実婚をしているケースでは集中治療室に入れないなど、現状の結婚制度はマイノリティーの方々に優しくないのが現状だ。
こういった課題を解決するために、渋谷区では「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会をす維新する条例」を制定し、「男女の人権の尊重」と「性的少数者の人権の尊重」を掲げ、「パートナーシップ証明書」というものを交付している。
前半では、渋谷区総務部男女平等・ダイバーシティ推進担当課長の永田龍太郎氏に、渋谷区におけるLGBT取組及び今回の取組の意義についてお話いただいた。
永田氏は元々、民間企業にて20年ほどマーケティングの仕事に従事されていた。直近の前職はギャップジャパン株式会社(以下、Gap Japan)。同社には性別・性的志向に関わらず国籍、人種、肌の色、宗教、年齢、妊娠の有無、障がい、学歴などあらゆる差別を許さないという土壌があり、日本支社の中にもオープンにしているゲイの方が複数名いらっしゃったとのこと。
その様な環境の中で、永田氏自身もLGBT当事者であることをオープンにしたところ、Gap Japanとしても日本のお客様・従業員に向けてLGBTの取り組みをしていこうということになり、同社でのプロジェクトを推進する役目を担われることになった。
この取組みの流れの中でご縁があり、3年間の任期付職員として、現職の渋谷区に勤務されることになった。
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