旅するように働くプラットフォーム「HafH(ハフ)」が提案する”持たない暮らし”

インタビュー

 ヒト・モノ・お金・場所・乗り物。個人が所有する様々な資産を、ネット空間を介して個人間で貸し借りおよび交換するという、シェアリングエコノミー経済が注目されて久しい。

 無駄なものは所有せずに利用するという ”持たない” 流れは、モノ消費からコト消費へと嗜好が変遷する現代に適した概念と言えるだろう。

 最近、このコト消費に根ざした新たなるシェアリングサービスが注目されている。敷金・礼金・保証金、光熱費など一切なし、1ヶ月から定額で、世界を「旅して働ける」。そんな世界観を掲げて運営される、日本発のサブスク型住居サービス「HafH(ハフ)」だ。

 2018年11月22日(木)よりクラウドファンディングサービス「Makuake」にて会員募集のプロジェクトを開始し、プロジェクト開始3日で目標額の263%を超える500万円以上を調達、最終的には408名から総額1,000万円以上の支援額を受けてプロジェクト成功した事業である。

 多くの支援を受けたHafHは4月1日より利用開始予定となり、それに先駆けて、3月19日夜にクローズドで事業説明会が実施された。

 様々な生き方が可能となる現代において、定住だけではなく、”定動”なる生活の仕方も可能なのではないか。そんな新時代におけるあり方の可能性を感じさせる会であり、当日は100名を超える参加者で賑わっていた。

 Love Tech Mediaでは、この新たな潮流を確認すべく、説明会の様子をお伝えする。

Co-living, Co-Working, and Co-locating

HafHの世界観を知ってもらうべく、まずは以下の動画をご覧いただきたい。

 

 HafHとは、「Home away from Home = 第2のふるさと」の頭のアルファベットをとったもの。

 住まいをシェア(Co-living:コーリビング)し、オフィスをシェア(Co-Woking:コワーキング)し、地方をシェアする(Co-locating:コーロケーティング)、そんな全く新しい形のコミュニティを作るべくスタートした。

 この「Co-living」という言葉、聞きなれないかもしれないが、海外では割と一般的な用語として認知されている。通常のシェアハウスよりも外に対してオープンで、短期滞在型のゲストハウスよりも、長期滞在を通じたコミュニティ形成を大切にする。そんな新しいシェアリングエコノミー用語だ。ビジネスや学業、アート活動など、ある程度目的が明確な人たちが、利便性を求めて作り出していく傾向があるという。

 HafHには大きく、3つの特徴がある。

住み放題だから、旅がもっと簡単になる

 通常の観光と異なり、HafHに住んでいれば、旅先の宿泊費(旅先のHafHのベッドで宿泊)が無料になる。行き先を決めて宿泊先を探すのではなく、HafHの中から宿泊先を決めてから旅をすることで、知らない街の魅力を知ることができ、かけがえのない出会いも生まれやすい。

 世界中を旅する旅行客は、2010年の9億人から2030年までに18億人と倍に増えると予想されており(国連調べ)、日本への外国人観光客も増加傾向にある。彼らの滞在日数は平均で約10日(JNTO調べ)、欧米からの旅行客に絞ればさらに伸びて平均12日~2週間以上、数ヶ月という方々までいるという。「まるで暮らすように旅をする」長期滞在型のインバウンド受入施設は、ますます必要になっていくことが予想される。

働く場所があるから、働きかたをかえられる

 通常のゲストハウスやコワーキングスペースとは異なり、「はたらく」環境が選びたい放題となる。ある時は山の上で。またある時は海のそばで。HafHは国内だけでなく海外拠点もあるので、世界中を旅しながら働く、という今までにない「はたらく楽しみ」を感じることができる。

 経産省が進めるプレミアムフライデーに端を発し、総務省では「ふるさとテレワーク」を推進していたり、欧州で広がりを見せつつある「ワーケーション」という考え方を日本航空が取り入れたりと、官民それぞれにおいて働き方改革における制度が整い始めている。あとは働く本人が、どういう働きかたをして充実させたいか、という思いにかかってくると言えるだろう。

定額だから、外国人が暮らしやすい

 通常の住宅と異なり、光熱費・Wi-Fi・敷金・礼金等すべて込み、2年縛りもなく、1ヶ月から世界中のHafHに住むことができる。日本での留学生や働く外国人、および別の地域に普段住んでいて日本に数ヶ月戻って来る方などにはもってこいのサービスと言える。

 日本に長期滞在する在留外国人の数は263万人を超え、その数は京都府1つ分の人口を超えている(京都府の人口:259万人(京都府、2018年10月発表))。地方においては特に、外国人が住居を借りる際には様々な制約がかかってしまう現状があり、HafHはこのような観点でもイノベーションとなることが期待される。

HafH Nagasaki – SAI

 実際のHafH拠点はどんなところなのだろうか。こちらが、初拠点として今年1月に長崎市古川町でオープンした「HafH Nagasaki – SAI」である。

風のように生きる人がいる。旅をするように暮らす。

新しい土地に、人に、食に、文化に出会い
自らを新しくしながら生きていく。

土のように生きる人がいる。土地に根ざし絆を築く。

地域の文化に、歴史に、人に囲まれて育ち
繼承しながら生きていく。

 

風が種を運び、土に根を張り育つように。
風と土が出会うところに、新たな風土が生まれる。

HafH(ハフ)は、そんな2つの生き方が出会う場所。

-HafHのPhilosophyより

 建物の内と外の曖昧なスペースを入り口部分に設計することで、入りやすさとコミュニケーションの余白が生まれている。

 3階の宿泊スペースでは共有スペースが非常に広く、内装も大変お洒落である。こたつとソファという、和洋折衷した空間設計が素敵だ。

 共有スペースでの時間を最大限生かすべく、個のスペースとなる寝床は最小限でシンプルに設計されている。

 2階のコワーキングスペース「HafH Co-working」。机と椅子だけでなく、Snow Peak社のキャンピングツールが設置されており、また音響として大手企業のVIPラウンジなどで活用されている「R-LIVE」を九州で初設置している。リアル森のなかで、キャンプサイトで働くような体験ができる「わざわざ来て働きたくなる体験」を演出している。

 モニター付きの会議室も完備。ワークだけでなく、ディスカッションにも適している。

 1階部分はお洒落なカフェ「HafH Cafe」。美味しいパンとコーヒーを中心に、モーニングやランチを楽しめる。ちなみにメニューの中では、HafH Latteがおすすめだという。

10年前、長崎市への提案から始まった

 説明会当日にメインで登壇されたのは、HafHを展開する株式会社KabuK Style(読み方:カブクスタイル)共同創業者のお二人、大瀬良亮氏と砂田憲治氏だ。

 彼らは10年前、長崎市にある空き家をアーティストレジデンスやシェアハウスにする提案をしたことがあり、これがHafHの原点となった。

 大瀬良氏が長崎市出島町生まれで、地元に対する思い入れがあったことから、この10年前の提案につながったという。

株式会社KabuK Style 共同代表 大瀬良亮氏

 実は大瀬良氏は株式会社KabuK StyleのCEOでありながら、現役で大手広告代理店にも勤めているという、異色の働き方である。政府中枢の広報として出向した約3年間のあいだに、約40カ国、実に地球15周分に相当する距離を移動をしてきたという。ここでの経験が、「世界中、旅をしながら働く」というコンセプトの原体験になり、10年経った現在において、その想いが持続可能な事業となって昇華されたわけだ。

株式会社KabuK Style 共同代表 砂田憲治氏

 一方、砂田氏は一貫して証券会社に勤務。2年前の同日、2017年3月19日に大瀬良氏を呼んで、改めて事業をやろうと声をかけたという。そして2018年11月に会社を辞め、KabuK Styleを創業したという流れだ。

 『HafH』というサービス名一つとっても、何十時間も吟味して決めていき、当初から海外展開を想定し、世界で受け入れやすい名前とした。

 昨今のシェアリング市場では、Co-living(住まいのシェア)、Co-Woking(オフィスのシェア)、Co-locating(地方のシェア)において、それぞれ競合他社が存在するが、砂田氏によると、現時点では競合とは捉えておらず、市場を拡張する仲間として捉えているという。

 社名は歌舞伎の語源となった「傾(カブ)く」から来ており、「ちょっと傾いたスタイルでそれぞれの”粋な人生”を送ること」を思想としている。

 また、「多様な価値観を多様なまま許容できる社会のインフラを創造する」ことをミッションに、複業を推奨し、HafHのターゲットとなる関連市場、国内で100兆円、世界で3,000兆円を狙っていくという。

国内46拠点、海外7拠点

 HafHは2019年3月27日時点で、国内46拠点、海外は6カ国で7拠点を有している。

 HafHの利用には会員(ネイバー)登録が必要で、HafH専用ウェブアプリ「Happli(ハプリ)」を通じて進めていく。

 また登録時に、利用頻度に合わせてのプランを選択する。下図右側に「付与されるHafH Coin」とあるが、これは「ときどきハフ」もしくは「いつもハフ」プランのネイバーに付与されるもので、貯まるとベッドのアップグレードや各種割引等に活用できるようになる。

 プラン選択後、宿泊したい施設を選択し、予約希望を登録する。予約希望は90日先まで可能であり、HafH側で予約可否について滞在施設と確認後、予約確定の連絡がメールで送られてくる仕組みだ。

2019年4月1日より利用開始になる。

土の人と風の人が交わる場所を目指していきたい

 説明会の後は、HafH運営サイドと参加者同士による交流会が行われた。会場内のディスプレイには、他拠点のHafHからの中継で、実際の様子も放映されていた。

 最後にLove Tech Mediaでは、先ほどご覧になった「HafH Nagasaki – SAI」の運営を担っている佐藤千明氏にコメントを頂いた。

株式会社KabuK Style 事業推進グループ・チーフディレクター 佐藤千明氏

「HafH Nagasaki – SAIの運営スタッフをやっています。お客様の宿泊受け入れからイベントの企画、自治体との折衝など、幅広く窓口をしています。

代表・大瀬良のお母様が総支配人を務めておりまして、もともとはその繋がりでお声がけいただきました。

なにやら面白いことが始まるぞ、という感じでお話いただき、それこそなにができるかまだわからない段階からジョインさせていただきました。

私自身、生まれは東京なのですが、両親とも長崎出身ということもあり、両方での生活を経験しながら、ときどき海外にも行き、国内の都会・地方および海外それぞれの良さを知っています。

1月からオープンして、最初は観光目的の方が多かったのですが、次第に働く場所を求める、まさにHafHのコンセプトに合致するようなお客様もポツポツと増えるようになってきました。

そういうお客様にどんどん使ってもらいたいですし、長崎に住んでいる方にも親しみを持ってもらえるように、色々な交流が生まれる場所、まさに土の人と風の人が交わる場所を目指していきたいと思います。

 

編集後記

「旅するように働く」

素敵なコンセプトです。

 

単なる観光の延長ではなく、中長期的なスパンで生活拠点を変えるというあり方。

 

これは、生活を支えるインフラとしてのテクノロジーが発達して人々の生活に浸透し、またお金そのものの国家への依存度が低下しつつあるという、昨今の流れがあってこその傾向と言えるでしょう。

 

まさに「移動の時代」です。

 

EUなんかはキャッシュレス化の波と合わせて、この移動の時代化が先んじて始まっていると言えるでしょう。

 

ここ日本でも、少しずつ認知が広がっている「Co-living」という考え方。

 

意外と色々な生き方が可能だと、人々が気付いた時、HafHは世界のインフラに向けて着実に拠点マップを増やしていってることでしょう。

 

直近としては、まずは出張の多い方やフリーランスの方に、ぜひ使ってみていただきたいと思います。

『HafH』詳細についてはこちらをご覧ください

LoveTechMedia編集部

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