LoveTech Media編集部コメント
2020年からの学習指導要領見直しに伴う、小学校・中学校での英語教育が大きく変わる予定に先駆け、2015年よりオンライン英会話授業に取り組む小学校がある。
佐賀県にある上峰町立上峰小学校(以下、上峰小学校)だ。
2013年5月に出された文部科学省の教育再生実行会議第三次提言では、『初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育を充実する』ことが挙げられており、特に『少人数での英語指導体制の整備』、『JETプログラムの拡充等によるネイティブ・スピーカーの配置拡大』など、英語に触れる機会の充実を図ることが示されている。
そんな中、同校では、2015年の地方創生先行型交付金事業における交付対象団体として認定されたことを受け、若い世代の定住・移住の促進を期待して、グローバル化に対応した教育環境づくりの強化を決定。
その目標として「①語学学習に欠かせない会話量を増やすこと」「②外国人に対しての壁を低くすること」を掲げ、“児童ひとり一人が外国人講師と会話をできる機会を増やすこと”を実現するために、オンライン英会話の導入を開始した。
これまで共同でプロジェクトを進めてきたのは、英語関連事業を運営するレアジョブで、今年度からは、同社の文教向けサービス事業子会社である株式会社エンビジョンが、引き続き事業を受け持つこととなった。
写真左:上峰小学校 授業の様子 写真右:報告会の様子(左からエンビジョン 代表取締役社長 杉山 朋也、教育委員会事務局長/教育課長 吉田氏、上峰小学校校長 牟田氏)
次期学習指導要領で小学校5・6年生向けの外国語授業が35コマから70コマへ拡大することをふまえ、上峰小学校では2018年度より両学年における授業数を各計50コマへ拡大した。
また、2017年度までは“担任とALT”(※)によってオンライン英会話の授業を行っていたが、2018年度からは“日本人の英語講師”を採用し、ALTとオンライン英会話の授業を分割。ALTとオンライン英会話それぞれの強みを活かし、且つ両授業の連動をスムーズに進められる体制へと移行した。
つまり、「担任+日本人英語講師+ALT」と「担任+日本人英語講師+オンライン講師」という2通りの授業で、英語4技能に対してバランスよく習得が可能になったという。
※ALT:Assistant Language Teacherの略語で、日本語では「外国語指導助手」と呼ばれている。小学校・中学校・高校における英語の授業で、学級担任または教科担当教員の補助が主な役割。
その結果、授業における発話量の増加と後続学習における成績の相対的向上、および外国人に対する心理的障壁の低下、という大きな効果が現れたという。
まず「発話量の増加」については、マンツーマンのレッスンを取り入れたことで、一人当たりの発話量が1分半から15分と、10倍に拡大したという。
次に「後続学習における成績の相対的向上」については、オンライン英会話授業を受けた児童が中学校に進学後、中学英語において佐賀県平均を上回った成績をおさめていることが明らかになった。
さらには「外国人に対する心理的障壁の低下」については、オンライン英会話レッスン受講前後における対児童アンケート結果で、1人で話すことができるようになった児童が3.6倍に増加、話すときに緊張しなくなった児童が約2分の1に低減するなど、オンライン英会話による効果が確認できた。
つまり、当初設定された「①語学学習に欠かせない会話量を増やすこと」「②外国人に対しての壁を低くすること」のいずれにおいても、有効な成果を出すことができたと言える。
特に後者については、試行錯誤を通して「英語が通じた」という「成功体験」の積み重ねこそが、自信の源泉になっていったと言える。
ちなみに、同町では小・中が1校ずつということも幸いし、学校、教育委員会、町が密に連携してICT教育を実践することが特に可能になり、結果としてICT教育先進地として、周辺地域や保護者などからの認知を獲得できている。
単純なICT導入による“見た目だけのICT教育”ではなく、既存のカリキュラムとうまく連携させることで「子ども達の自律的な学習」を創出する真のICT教育を継続的にデザインしている事例として、学校の教育環境に悩む当事者の方々にはぜひ認知してもらいたい動きと考える。
興味のある方は、以下の詳細資料もご覧いただきたい。
以下、リリース内容となります。