LoveTech Media編集部コメント
ロボットが婚活を代行する。そんな未来もそう遠くないかもしれない。
サイバーエージェントの人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」と一般社団法人CiP協議会が、2月9日に共同で「ロボットが会話を代行する婚活パーティーin竹芝”」というイベントを開催した。
いわゆる、ロボット婚活である。
その結果、「ロボットが本人の情報を使い適切に対話をすると、人はロボットを信頼し、意思決定に影響を与える」という結果を得たという。
昨今ではマッチングアプリなどテクノロジーの発達とともに「出会いの母数」は多くなっているものの、実際に会ってからのコミュニケーションの課題解決はなかなか実現できていない、という現状がある。
今回の婚活パーティーでは、初対面での会話を人型ロボットが代行することで、「緊張して上手くアピールできない」などの個人に依存するコミュニケーション課題をサポートし、心理的負担が少なく円滑な対話ができることを期待しての開催となった。
ロボットが会話を代行することで、「自分からは直接言いにくいアピールポイント」や「少し聞きづらいお相手への質問」なども可能となり、相手についてより詳しく知ることができ流、という想定だ。
イベントは「ロボットの会話代行のみ」と「ロボットの会話代行の後、参加者同士も会話をする」の2部制で実施され、参加者は事前アンケートから作成したロボット同士の会話を聞きながら対話を楽しむ、という形で進められた。
結果として4ペアのマッチングが成立したという。
詳細のデータは以下のリリースよりご確認いただきたいが、インタビューでは「自分のプロフィールやアピールポイントを正しく相手に伝えてくれたことに信頼ができた」と答える参加者が多く見られ、また、参加者が思ったことを自分のロボットがそのまま回答したり相槌をすると、自分のロボットへの愛着と信頼感が増すという意見もあった。「ロボットが自分のプロフィールや事実を、自身が納得できる内容で話すこと」がロボットへの信頼感を醸成し、人間の「意思決定」にロボット同士の対話が影響したことがお分りいただけるだろう。
この技術は婚活のみならず、訪日観光客対応や少子高齢化による人材不足への打ち手、店舗のデジタル化や無人店舗の進出など、様々なロボット活用に応用できるだろう。
ロボットだから無機質で感情は動かない。
活用のタイミングと適切なアウトプットをもってすれば、その印象は、むしろ逆になるのかもしれない。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:藤田晋、東証一部上場:証券コード 4751)における人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」は、東京都竹芝地区を「デジタル×コンテンツ」産業集積の拠点として形成すべく設立された一般社団法人CiP協議会との共同イベントとして、”ロボットが会話を代行する婚活パーティーin竹芝”を2月9日に開催し、本イベントにて当社が取り組んだ研究テーマ「ロボット等を含む、対話エージェントに対する信頼感の醸成」について、本日調査結果を発表いたしました。
共同イベントについて
共同イベント | 人間の会話ゼロの「ロボット婚活」を開催 コミュニケーション能力に依存しない新しい交流イベント ~竹芝をデジタルコンテンツの集積地へ~ 「ロボットが会話を代行する婚活パーティーin竹芝」 |
開催場所 | ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ スペシャルルーム 東京都港区海岸1丁目16番2号 |
日時 | 2019年2月9日(土) |
主催 | (一社)CiP協議会 |
協力企業 | ㈱アルベログランデ、㈱JTB ㈱サイバーエージェント(技術協力)、シャープ㈱(特別協力) |
後援 | 東京都 |
実施背景とねらい
これまで、サイバーエージェントでは大阪大学大学院基礎工学研究科との共同研究講座にて、「人と社会において調和的に関わることができる、ロボットを含めた対話エージェントの実現」に向けた基礎技術の確立および、「人の持つ対話能力に関する科学的な知見の獲得」を目指し、ロボットやチャットボットによる接客対話の自動化の研究開発を進めてまいりました。
イベント主催であるCiP協議会では、竹芝地区において「デジタル×コンテンツ」の産業集積地の拠点形成を実現するため、 研究開発・人材育成・特区活用やビジネスマッチング等の活動を通して、コンテンツを核とした開発計画を進められています。まちづくりを促進し、地域の活力を一層向上させていく事業である、東京都の都市再生ステップアップ・プロジェクトの一環です。
一方、国内全体では、未婚率の上昇、晩婚化、少子化などの問題に注目が集まる中で、結婚を希望する人が一定数おり、 近年では、テクノロジーの発展によりマッチングサービス市場が拡大、これまでよりも個人の出会いの機会が増えています。 しかし、恋愛結婚が一般的となりさらにサービスが多様化した中で、自ら結婚相手を探す必要性がある近年、出会いにおいて「初対面で何を話したらいいのかわからない」といった、対面時のコミュニケーションに不安を感じている方が多く、 せっかくの出会いの場を活かしきれていない現状があります。
そこで、結婚に向けた気運の醸成に取り組む東京都を後援とし、CiP協議会が主催となり、イベント運営事務局として交流創造事業に取り組む株式会社JTB、技術協力として「人間から信頼を得る対話エージェントの実現」を目指し研究開発を行うサイバーエージェントなどが参画し、本イベントが発足されました。
今回の婚活パーティーでは、一般的な婚活イベントや出会いの機会において必要な初対面での会話を人型ロボットが代行することで、「緊張して上手くアピールできない」などの個人に依存するコミュニケーション課題をサポートし、心理的負担が少なく円滑な対話ができることを期待いたしました。ロボットが会話を代行することで、「自分からは直接言いにくいアピールポイント」や「少し聞きづらいお相手への質問」なども可能となり、お相手についてより詳しく知ることができます。
本イベントは「ロボットの会話代行のみ」、「ロボットの会話代行の後、参加者同士も会話をする」の2部制で行い、事前アンケートから作成したロボット同士の会話を聞きながら対話を楽しむ形でご参加いただきました。
一般参加者 | 一般公募32名 (2部制、男性8名 × 女性8名) |
トーク形式 | -1部:ロボット会話のみ -2部:ロボット会話 + 参加者同士の会話 (ロボット対話の後、5分のフリートーク) |
結果 | 4ペアのマッチングが成立 (1部→2ペア 2部→2ペア) |
2/9 「ロボットが会話を代行する婚活パーティーin竹芝」 イベント当日の様子
調査結果
「ロボットが本人の情報を使い適切に対話をすると、人はロボットを信頼し、意思決定に影響を与える」
今回の婚活パーティーでは、ロボットが人間の代わりに対話をした場合においても、4組のマッチングが成立しました。これは、人間が、対話を代行したロボットを信頼して、自身の選択や意思決定に影響を与えたと考えることができます。
アンケート結果と考察
▼人間は、ロボット同士の会話を信頼することができるのか
インタビュー調査
自分の名前や職業などのプロフィールやアピールポイントを、自分の代わりに相手に伝えてくれている時に信頼できた。「私のためにやってくれている」と感じられた。 |
相手のプロフィールに対し、自分のロボットが思った通りの相槌をしてくれた時に、分身のように思え、信頼が大きくなった。 |
ロボットが話した自分の情報が少し古かったので、違和感がありロボットに対し信頼することができなかった。 |
アンケートで調査した「自分のロボットは信頼できたか?」という質問では7.14pt、「自分のロボットの発言に安心感はあったか?」という質問では6.93ptと、自分の分身となり会話を代弁するロボットへの信頼感が生まれていることがわかりました。
インタビューでは「自分のプロフィールやアピールポイントを正しく相手に伝えてくれたことに信頼ができた」と答える参加者が多く見られ、また、参加者が思ったことを自分のロボットがそのまま回答したり相槌をすると、自分のロボットへの愛着と信頼感が増すという意見もありました。
「相手のロボットの発言は信用できたか?」という質問には、相手のロボットの情報にも関わらず7.36ptという高い信頼を得ることができました。これは、自分のロボットが正しいことを伝えている信頼感から、相手のロボットも同様であろうと考え、ロボット同士の対話に対する信頼感の醸成に繋がっていると考えられます。
また、信頼できないと回答した参加者は「ロボットが話した自分の情報が少し古かったので、ロボットに対して信頼することができなかった」と答えました。それらから 「ロボットが自分のプロフィールや事実を、自身が納得できる内容で話すこと」がロボットへの信頼感を醸成した要素として考えられ、人間の「意思決定」にロボット同士の対話が影響したことが確認できました。
▼ロボットの会話は、人の選択に影響を与えるか?
インタビュー調査
・普段は好みのタイプではない相手の方だったが、ロボットの対話から共通点を知ることができたのでフリートークが盛り上がった。そこからお相手に興味が出た。 |
・ロボットの対話を聞いていたところ共通点も多く、質問したり話をしてみたいと思った。 |
・ロボットの対話中は話す必要がないので、お相手の情報のインプットに集中できた。興味がわき、直接話したいと思った。 |
・ロボット同士が話していることが面白かった。会話の内容に聞き入った。 |
マッチング相手を選ぶ際に影響した要素を「ロボット同士の会話内容」と「外見の印象」の2軸で調査したところ、いずれにおいても「ロボット同士の会話内容」がマッチング相手を選ぶ際に影響度が高いという結果となりました。
インタビューでは「普段は好みのタイプではない相手の方の場合、話をあまり聞いていないが、今回はロボットによる会話代行だったためしっかり内容を聞くことができた。共通点を話してくれたのでお相手に興味を持った」と、ロボット同士の会話だったからこそお相手に興味を持つ事例がありました。これは、ロボット同士の会話を楽しむことで、普段であれば素通りする情報も得られたことが起因したと考えられます。外見の印象以上に人の選択に影響を与え、相手を選ぶ際に重要な要素であったことが確認されました。
また、「初対面の会話において、ロボットが先に対話してくれることにより実際の会話は気楽に行えましたか?」という質問に対しては8.25ptという高い結果が得られたことから、人間同士の会話をロボットが代行することは、「個人に依存するコミュニケーション課題をサポートし、初対面時の心理的負荷を軽減できる可能性がある」と考えられます。
今後の展望
今回のイベントにて、自分のプロフィール情報を反映した内容を、ロボット等の対話エージェントが適切に会話代行を行うことは、「対話エージェントに対する信頼の醸成」へつながることがわかりました。これにより、今後は自然な会話を自動生成する自然言語処理の技術や、最適な相槌パターンや返答を行う会話の選択アルゴリズムの開発といったAI技術を組合せて活用していくことで、より高い「対話エージェントへの信頼感の醸成」を目指していくことができると考えております。
サイバーエージェントでは、オリンピック開催をはじめとする訪日観光客の増加や少子高齢化による人材不足の課題、テクノロジーの発展による店舗のデジタル化や無人店舗の進出などに伴うロボット活用などへの期待から「人とロボットが共生できる世界」を目指し、ロボットやチャットボットにおける接客対話技術の研究開発をすすめております。今後もより一層、「ロボットを含めた対話エージェントが、人に対して信頼感の醸成をするためにはどうすればよいのか」に着目し様々な実証フィールドにおいて接客対話技術の研究開発に努めてまいります。
■CiP協議会(https://takeshiba.org/)
一般社団法人CiP協議会とは ~「デジタル×コンテンツ」産業拠点形成の活動母体
東京都港区(竹芝地区)に「コンテンツ×デジタル」産業の拠点を形成する活動母体。
『コンテンツを核とした国際ビジネス拠点』を形成する都市開発計画において、研究開発・人材育成・起業支援・ビジネスマッチングを柱に活動。
2014年から準備会として活動し、2015年4月に一般社団法人CiP(Contents innovation Program)協議会(以下CiP協議会と表記)として設立。
<本件に関する報道関係のお問合せ先>
株式会社サイバーエージェント アドテクスタジオ 技術広報担当 田爪
E-mail:tazume_hiroko@cyberagent.co.jp