蛇の目ミシン工業から「ジャノメ」へ。創業100年の老舗が、社名変更後初の新機種を発売開始

家族/仕事

記事の要点

・株式会社ジャノメが、販売中の卓上ロボット「JR3000シリーズ」の新機種として、「ツインテーブル仕様」を2021年10月28日に発売。

 

・ツインテーブル仕様では、作業者が出来上がったワークピース(加工対象物)の取り出しと、新たなワークピースの配置を行っている間に、もう一方のテーブルでロボットが作業を行うことができ、作業員とロボットの待機時間の削減、設備費用の削減や設置面積の省スペース化が可能。

 

・ジャノメは今年で創立100周年を迎えており、それを記念して「100周年記念『ジャノメ』産業機器オンライン展示会」も開催中(10/29まで)。ここでは、試作デモ機の紹介や未発売製品の動画、ユーザーの声より制作・発売となった製品を見ることができ、今回のツインテーブル仕様も展示中。

編集部コメント

株式会社ジャノメが、好評販売中の卓上ロボット「JR3000シリーズ」の新機種として、「ツインテーブル仕様」を発売開始した。

 

「ミシンと言えばジャノメ」と言われるように、ミシンの老舗である同社だが、実は、産業機器製造メーカーとしても長い歴史をもち幅広い分野で活躍している。会社名も「蛇の目ミシン工業株式会社」で覚えている方も多いだろうが、実はつい先日、2021年10月1日よりこの株式会社ジャノメへと商号変更しているのだ。

 

同社の産業機器は、ミシン部品製造の自社設備用開発からスタートし、1984年にはサーボモーターを駆動源とするプレス機エ、レクトロプレス「JP-20シリーズ」を発売。ミシンモーター製造の自社設備として使用を開始したところ、部品製造での生産性と品質の向上に成功したという。 

エレクトロプレス「JP-20シリーズ」(画像:株式会社ジャノメ Webページより)

 

 

1986年には、さらに改良を重ねた小型サーボプレス「JP1シリーズ」を発売し、産業機器の製造が本格的にスタート。1993年には、卓上ロボット「JR500」を発売し、以来、常に生産現場の最前線の声を取り入れ、開発進化を続けている。

 

 

そして今回、新たに販売されたのが、販売中の卓上ロボット「JR3000シリーズ」の新機種、「ツインテーブル仕様」だ。

 

 

ツインテーブル仕様とは、ワークピース(加工対象物)を配置するXテーブルを2つもち、作業者が出来上がったワークピースの取り出しと、新たなワークピースの配置を行っている間に、もう一方のテーブルでロボットが作業を行うことができる、というものだ。

ツインテーブル使用 塗布作業

 

同じ作業をする場合は、従来だとロボットを2台設置し、交互運転させなければならず、ドライバーなどの高価なアプリケーションツールも2つ必要であった。それに対し本機では、1台で2台分の作業を行うことができ、費用の削減や、設置面積の省スペース化が可能というわけだ。

 

このツインテーブル仕様の卓上ロボットは、アジア地域を中心に、手作業では細かく手間の掛かるスマートフォンのねじ締め工程などで「単位時間当たりの生産数をとにかく上げたい」といったユーザーからの需要が高くなっているという。

 

本機の種類は、塗布用の「JR3303T」と、標準用・ねじ締め用の「JR3353T」の2機種。両機種ともアプリケーション専用のソフトで、ティーチングペンダント(常時作業を行うための入力/操作装置)を用いた対話方式の簡単ティーチングが可能だという。

 

また、PCソフトを用いたティーチングでは、USBカメラによる簡単かつ正確な位置の設定も可能だ。

 

その他、塗りつぶし機能、グラフィック編集機能、ねじ締めエラー検出機能などの用途に合った数々の便利な機能も備えられている。

 

《新製品概要》

  • 商品名     :卓上ロボット(JR3000シリーズ)ツインテーブル仕様
  • 国内希望小売価格:オープン価格(個別にお見積り)
  • 発売日     :2021年10月28日

■JR3303T

  • 用途         :塗布
  • 動作範囲X(L・R)×Y×Z:300×320×50mm
  • Xテーブル芯間距離  :180mm
  • 最大可搬質量ワーク  :7kg
  • 最大可搬質量ツール  :3.5kg
  • 外観 

     

■JR3353T

  • 用途         :標準・ねじ締め
  • 動作範囲X(L・R)×Y×Z:300×510×100mm
  • Xテーブル芯間距離  :303mm
  • 最大可搬質量ワーク  :15kg
  • 最大可搬質量ツール  :7kg
  • 外観         

JR3353Tを使用したねじ締めロボット

 

製品改良等のため、上記仕様を予告なく変更する場合あり

 

「IoT時代の自動化設備はJANOME」と掲げるように、ロボットを活用してDX化を推し進めているジャノメ。

 

同社は今年で創立100周年を迎えており、それを記念して「100周年記念『ジャノメ』産業機器オンライン展示会」も開催中だ。ここでは、試作デモ機の紹介や未発売製品の動画、ユーザーの声より制作・発売となった製品を見ることができ、今回のツインテーブル仕様も展示されている。

100周年記念『ジャノメ』産業機器オンライン展示会

 

 

《開催概要》

 

開催日時   : 10月18日(月)~10月29日(金)

展示会 URL  : https://www.janome.co.jp/industrial/jpn/letter/info-2021web-exhibition02.html

<展示製品>

  • JC-3 ツインテーブル基板分割機
  • JC-3 水平ねじ締め機
  • タングレス・インサート自動挿入機
  • JR3000 ピン自動仮入れ機 など

※「TANGLESS」は株式会社アドバネクスの登録商標(登録第4477416号)

 

先日、都営大江戸線「森下」駅の近くで「ジャノメミシン」の看板を拝見し、ミシンのtoC向け需要が大きく低減した中でどのようなビジネス展開をしているのか不思議に思ったものだが、実はこのようなtoBの産業機器分野で、同社は進化を続けていたわけだ。

 

こちらに、その軌跡が動画となって表現されている。

 

今後も、技術面・サービス面でのサポートと生産現場での作業用途に合わせた製品・ソフトウェアの開発を進め、ラインナップの充実を図っていくという。

 

サーキュラー・エコノミーへの取り組みが加速する社会において、製造現場の生産性向上とDXはますます加速していくことだろう。その動きを後押ししていく同社の取り組みを、今後も注視していきたい。

 

長岡武司

LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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