LoveTech Media編集部コメント
水産養殖×テクノロジーでコンピュータが魚を育てる社会を目指すウミトロンが、ペルーのチチカカ湖におけるサーモントラウト養殖の効率化に取り組むと発表した。
これはペルー大手信用組合Abacoとその子会社であるPiscis とともに、米州開発銀行グループのIDB Labから総額2.3億円(200万USドル)のプロジェクト資金を獲得して実施されるもの。
Piscisはチチカカ湖に生産拠点を要するペルー最大のサーモントラウト養殖生産者の一つであり、品質の高いサーモントラウトの生産、およびアジア・北米・欧州市場への輸出事業を展開。今後、世界的なサケ・マス需要から、世界のサーモントラウト養殖生産はますます増加していくと予想される。
一方、現在のペルーにおける水産養殖の現場では課題も多い。生産者は広大な湖に浮かぶ生簀一台一台と沿岸の作業場を船で行き来し、人の手で日々餌やりをしている。また日本とも共通する課題として、餌代がコスト全体の70%を占めている。加えて、清らかで美しいチチカカ湖での水産養殖を持続可能な産業として継続させて行くためには、過給餌による環境負荷を低減させることが重要だ。
ウミトロンのシステムを活用することで、Piscisを含むペルーの生産者はスマートフォンにインストールしたアプリを通して魚の観察や餌やりを完結することができ、風が強い日に船を出して餌やりを行うといった危険な作業を減らすことができる。また、魚群解析による給餌量の最適化を実現することで現地生産者の収益改善と湖の環境保全双方に寄与し、持続可能な地域経済の活性化へと貢献できる。
ウミトロンでは、本プロジェクトのようなテクノロジー×インパクト投資によって、地域経済と社会課題の双方にアプローチする事業モデルの構築を目指している。
同様の官民パートナーシップをアジアやアフリカ等で模索していかれるとのことで、同社の今後の動きにさらに期待したい。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
UMITRON PTE. LTD. (所在地: シンガポール、共同創業者 / マネジング・ダイレクター 山田雅彦、以下ウミトロン)は、ペルー大手信用組合Abaco (Cooperativa de Ahorro y Crédito)とその子会社であるPiscis (Piscifactorias de los Andes)とともに、米州開発銀行 (IDB)グループのIDB Labから総額2.3億円(200万USドル)のプロジェクト資金を獲得し、ペルーのチチカカ湖におけるサーモントラウト養殖の効率化に取り組みます。
本プロジェクトは、ウミトロンのテクノロジーが地域経済の活性化と養殖環境の持続可能性の改善に繋がるとの期待から、IDB Labによる支援が決定したものです。
ペルーおよび南米における水産養殖の成長性
琵琶湖の12倍のスケールを誇るチチカカ湖は年間を通した安定的な気候と水資源の豊富さから、ペルーにおけるサーモントラウト一大生産地。
世界遺産にも登録され、琵琶湖の12倍のスケールを誇るチチカカ湖は年間を通した安定的な気候と水資源の豊富さから、ペルーにおけるサーモントラウト生産地として発展してきました。また世界的なサケ・マス需要から、世界のサーモントラウト養殖生産は過去30年間で10倍以上増加し、現在最も重要な水産養殖魚種の一つとされています。
このように急成長中の国際市場と安定的なペルー国内市場によって、チチカカ湖でのサーモントラウトの生産量は2016年に10万トン、2030年には22万トンを上回るペースで増加すると予測されています。
また、FAO(国際連合食糧農業機関)の報告によると、中南米カリブ全体での水産養殖規模は、2016年現在の270万トンから2030年には400万トンに増加すると推定されています。
本プロジェクトのパートナーであるPiscisはチチカカ湖に生産拠点を要するペルー最大のサーモントラウト養殖生産者の一つであり、生産と加工が垂直統合された管理体制により、品質の高いサーモントラウトの生産、およびアジア・北米・欧州市場への輸出事業を展開しています。
またPiscisは、チチカカ湖における他の生産者に対する養殖技術の共有にも積極的に取り組んでおり、ウミトロンの技術をチチカカ湖におけるトラウトサーモン養殖に付加することで、地域全体の生産性向上と高付加価値化に繋がることを期待しています。
テクノロジーを活用して地域経済への貢献と社会課題の解決を目指す
一方で、現在のペルーにおける水産養殖の現場では、複数の課題が存在しています。
生産者は広大な湖に浮かぶ生簀一台一台と沿岸の作業場を船で行き来し、人の手で日々餌やりをしています。また養殖における世界共通の課題として、餌代がコスト全体の70%を占めています。
加えて、清らかで美しいチチカカ湖での水産養殖を持続可能な産業として継続させて行くためには、過給餌による環境負荷を低減させることが重要です。
ウミトロンのシステムを活用することで、Piscisを含むペルーの生産者はスマートフォンにインストールしたアプリを通して魚の観察や餌やりを完結することができ、風が強い日に船を出して餌やりを行うといった危険な作業を減らすことができます。
また、魚群解析による給餌量の最適化を実現することで現地生産者の収益改善と湖の環境保全双方に寄与し、持続可能な地域経済の活性化へ貢献していきます。
「日々の事業を通じて、水産養殖分野は国境を超えて様々な課題と可能性があると感じています。例えば、生産者の長期的な経済性や労働環境の改善、そして環境保全はグローバルでの共通課題です。また消費者目線では、人口増加に伴うプロテイン需要の増加が課題とされていますが、水産養殖は水産資源の安定供給と安全性の向上の観点から、世界中から高い関心を寄せられています。私たちはIDB LabとPiscisと共に本プロジェクトに取り組むことで、国際的な協力関係によって地域が抱える現場課題を解決するための成功モデルを築き、南米の他地域やアジア、アフリカでの今後の取り組みに繋げていければと思っています。」(ウミトロン・山田)
ウミトロンとPiscisは、ウミトロンが提供するサービスの現地への最適化と技術を用いた地域経済活性化のためにIDB Labからの資金を使用します。
さらに本プロジェクトでは、ウミトロンの技術を通して、地元の生産者を育成し、チチカカ湖地域の他の生産者にも提供範囲を拡大する計画です。
IDB Labと共にウミトロンが目指す目標は、ペルーやラテンアメリカ全域で「持続可能な水産養殖の実装」を促進することです。
ウミトロンでは、今回のプロジェクトのようなテクノロジーとインパクト投資を組み合わせることによって、地域経済と社会課題の双方にアプローチする事業モデルの構築を目指しており、今後も同様の官民パートナーシップをアジアやアフリカ等で模索しています。
ウミトロンについて
ウミトロンは、成長を続ける水産養殖にテクノロジーを用いることで、将来人類が直面する食料問題と環境問題の解決に取り組むスタートアップ企業です。シンガポールと日本に拠点を持ち、IoT、衛星リモートセンシング、AIをはじめとした技術を用い、持続可能な水産養殖のコンピュータモデルを開発しています。私たちは世界中の養殖ノウハウを集積したコンピュータモデルを開発・提供することで、より安全で、人と自然に優しい「持続可能な水産養殖を地球に実装する」ことを目指しています。 https://umitron.com/
Piscisについて
Piscifactorias de los Andes(Piscis)は、チチカカ湖を拠点とするペルー最大のサーモントラウト事業者の一つ。北米、欧州、アジアに向けた高級サーモントラウトの生産に注力しており、新技術による生産量・品質・安全性の向上に積極的に取り組んでいます。
Abacoについて
1981年に設立された信用組合。Piscisの親会社。通常の金融システムの対象とならない多様な資金需要に対して組合員同士の相互扶助によって支援することを目的とし、日本からの移民の子孫32人の主導により設立されました。 創業以来Abacoでは、中小企業におけるニーズの理解と、実現の為の強力なサポートを行っています。Abacoは、1981年以降ペルーでのサービス提供し続けており、現在は20,000人以上の組合員がいます。Abacoの特徴の1つとして、比較的小規模な事業者支援を目指している観点から、水産養殖事業においてもPiscisと共に、生産者の資金、技術両面での支援に取り組んでいます。
IDB Labについて
IDB Labは、中南米・カリブ海諸国の経済開発を促進するために設立された米州開発銀行(IDB)グループのイノベーション研究所で、日本を含む39か国が資金を拠出しています。 高い開発効果が期待できる革新的なビジネスモデルや技術の実証を担い、インパクト投資と技術移転を組み合わせることで中南米カリブの地域課題解決に取り組んでいます。www.idblab.org
- 本件に関するお問合せ先 -
UMITRON PTE. LTD. 広報担当窓口 Email:pr@umitron.com