LoveTech Media編集部コメント
スマホ向けOS「SUNBLAZE OS」をご存知だろうか。
インドやインドネシア、カンボジアなどといった新興国のブルーカラー労働者が利用する、安価・長持ち・最低限機能のスマートフォン向けに開発されているOSだ。
こちらは中国・深センのOEM/ODMと共同でスマートフォン(ハード)も生産しており、そこにSUNBLAZE OSをプリインストールして企業向けに販売する、ということをしている。
SUNBLAZE OSを開発する株式会社アメグミは、なぜ、このような事業を展開しているのか。
同社のWantedlyサイトのトップには、以下のように記載されている。
私たちのミッションは努力家の人生を支えることです。最初から人徳があり、お金があり、やることなすこと上手く行ってる人ではなく、コミュニケーションがうまくいかず、お金にあまり余裕がなく、何年も思った通りの成果が出ず、想いは強いのにどう頑張ったらいいか分からずに苦しんでる人たちの人生を向上させます。創業者である常盤自身がそのような人間だからそこに強い想いがあります。まずは彼ら・彼女らの使うスマートフォンを通して彼ら・彼女らの人生を改善していきます。
一部を除いて新興国各国でスマートフォンの普及率が40-50%を大きく超えない理由は、以下の3つがあるという。
- スマートフォンが仕事のために使えるということを知らないリテラシーの低さ
- 良い機能を持ったiPhoneなどを購入できない所得の低さ
- 安いものを購入したとしても長い間動作が安定しないコスパの悪さ
そこで同社は原価30ドルぐらいの端末でも処理できるようソフトウェアを技術的に改善することで動作を最低3年間安定させ、リテラシーの高いマネージャークラスの存在する企業から従業員や取引先に配る、という解決策をとっている。
そんなアメグミが、この度、インド、インドネシア、ミャンマー、ウガンダ、マラウイにて企業や国際機関とともに実証実験を開始したことを発表した。
概要は以下の通り。
- インド:SDGsに関わるサービスを中心に展開する日本企業が現地の農家にスマートフォンを配る。プリインストールするのは農業管理アプリ。収穫した作物をまとめて買い上げてインド現地の富裕層に売るモデル。
- インドネシア:現地のBtoBマーケットプレイスを展開するアプリ会社が小売店の店員などに彼らのアプリをプリインストールして配るモデル。マイクロファイナンス機能もついており、今後eKYCなどのFintechも一緒に展開する予定。
- ミャンマー:マイクロファイナンス事業者と個人商店に対してデジタルサービスを提供する企業が彼らのアプリをスマートフォンにプリインストールして彼らの顧客に配るモデル。
- ウガンダとマラウイ:貧困の測定を行う国際機関が貧困測定に多大な時間とお金をかけていることが課題だった。そこで調査官を現地に常駐させ、定期的にアプリでアンケートを行ったり、写真を撮ったりして、転送してサーバーで自動で解析するプロジェクトが始まった。その調査官にスマートフォンを配る。
ポイントの一つは“活用想定アプリのプリインストール”である。
煩雑なダウンロードとインストール、および設定が不要となり、ITリテラシーの高くない方でも簡便に利用開始が可能であることが期待される。
ハードとソフトを両面で抑えているアメグミだからこそ、提供できる価値と言えるだろう。
また、これらはスマートフォン普及率の高い国だとしても、リテラシーの低さや個人端末を使うことによるセキュリティの問題から弊社の端末が求められることもあり、そういった経緯から日本市場でもニーズが存在する。
上述3点でテクノロジー活用に二の足の踏んでいる状況のある企業等は、一度アメグミに相談してみても良いかもしれない。
最後に、同社のWantedlyサイトに、先述のミッション背景を詳しく記載した内容があったので、多くの方に知っていただきたく、以下転載させていただく。(元記事はこちら)
まさにLoveTechな事業であることをお分りいただけるだろう。
起業家がよく口にする「世界を変える」とは何なのか?
彼らはその事例にGoogleやAirbnbを持ってくる。確かにこういった会社のおかげで選択肢が多くなった=生活様式が多様になった。それは自分の人生でも同じだった(参照「GAFAに育てられたからこそ僕がGAFAを改善できる」)。
しかし、はるか昔から存在する社会問題は未だに残っている。例えば戦争・紛争、貧困、差別などだ。そういう意味ではまったくもって世界は変わっていない。ではなぜこういった「伝統的な社会問題」が残り続けるのか?
それは理性度(=長期的視野に立って目的を設定して倫理的に意思決定できる)が低い人間がいまだに多いからだ。
例えば身近なところで言えば、勉強不足、浮気・不倫、DVなどの他者の支配などで、これらがお互いにさらにネガティブな影響を与えあって、貧困や犯罪にまで発展する。
長らくこれらの問題について哲学者たちが理性を手に入れる方法を考えてきたし、政治家たちが富の再分配や平等を制度化してきたし、科学者・工学者たちが生活を豊かにしやすくする製品を作ってきた。しかし100年前の心理学や近年の行動経済学が示すように、人類は予想以上に理性的になるのが難しいことが分かっている。
特に貧困層は理性的になることが難しい。親からの愛情が不足しており、劣等感などで精神的に安定せず、勉強や仕事でも成果を出しづらい。それは僕の家庭もそうだったので分かる。
貧困層というのも別に絶対的貧困層だけを意味しない。本人にとって世界がネガティブに見えていれば経済的に相対的貧困である下位中間層の人たちも、上位中間層も、富裕層も、同じである。
(こういうくくり方をすると「全員ではない」という人がいる。当たり前である。しかし集団を切り取って他の集団と比較したら傾向は存在する。)
そこに対して僕が提示する解決策がまさにスマートフォンであり、アプリをプリインストールすることである。
スマートフォンを買うきっかけは人それぞれである。流行に後れまいと見栄で買う人もいるし、SNSや無料電話を使いたくて買う人もいる。そんな窓口を超えたところに気づいたらe-learningやマイクロファイナンスなどのアプリが存在していれば、調べるリテラシーがない人にもダイレクトに生活を向上させる方法を教えることができる。
さらに彼らの利用履歴=データも把握できれば、データサイエンスによってユーザーを生活が向上しやすい方向に導くことができる。プライバシーとはストーカー犯に渡ったら危険だが、教育としてフィードバックできれば価値となる。
僕はFacebookに何度も投稿していたおかげでUdemyというオンラインラーニングの広告が表示され、自分の能力を向上できた背景がある。Facebook以外の広告ではこんな体験はなかった。
この解決策によって、貧困層や下位中間層のやる気はあるがやり方が分からない一家の大黒柱をエンパワーメントし、その家族を豊かにし、犯罪や戦争をなくすことが弊社のビジョンである。
Blaze Your New Destiny-あなたの運命を切り開けー
以下、リリース内容となります。