記事の要点
・「蚕」を原料とした次世代食品「シルクフード」を開発するエリー株式会社が、株式会社アイビスパートナーズ、三井住友海上キャピタル株式会社、京葉ガス株式会社の3社を引受先とした約4,500万円の第三者割当増資を実施。
・まずは日本市場における昆虫食普及のため、今回の調達金額を、アカデミアとの蚕の機能性・食味改善・蚕の品種改良などの共同研究への投資や、マーケティングおよび商品開発のための投資へと充当させる。
・同社は京都大学等との共同研究を通じて、蚕にはタンパク質やビタミンといった基本的な栄養素だけでなく、50種類を超える多くの「機能性成分」が含有されていることを明らかにしている。
LoveTechポイント
1年半前に初めてエリー株式会社のことを知った際に、当時は「昆虫食=高タンパク」という栄養面だけがフォーカスされがちでしたので、「機能性」に着目して昆虫食開発をされている点がとても魅力的に感じたことを思い出しました。
違和感のない「美味しい昆虫食」を突き詰めようとされている点が、LoveTechだなと感じます。
編集部コメント
今年の1月、「蚕」を原料とする食材の販売店が、東京・表参道に期間限定でオープンしたことをご存知だろうか。
その名も「シルクフードラボ」(2020年3月末ごろまでオープン予定)。
シルクフードとは、バイオテクノロジースタートアップであるエリー株式会社が手がける、次世代の高栄養価なサステナブルフード。「蚕」という、約5000年にも及ぶ絹産業の歴史を人類と共に歩んできた生物を、食や健康の領域へと利活用するべく研究開発されたものだ。
このシルクフードラボでは、「ハンバーガー」「スープ」「スナック」「ケーキ」を皮切りに、主食、副菜、デザート、飲料などが展開されており、「昆虫食」という所謂ゲテモノ食材のイメージを覆すような、コクや甘みといった風味の良さを活かした料理が提供されている。
そんな次世代食品を研究開発するエリー株式会社が、この度、約4,500万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。
同社は京都大学等との共同研究を通じて、蚕にはタンパク質やビタミンといった基本的な栄養素だけでなく、50種類を超える多くの「機能性成分」が含有されていることを明らかにしている。
世界的にプロテイン補給目的の昆虫食が多い中、機能性に着目した昆虫食はブルーオーシャンとなっていることから、伸び代の大きなプロダクトと言えるだろう。
2018年9月6日開催イベント「次世代の巨大産業・タンパク質関連Tech Meetup」での投影資料
まずは日本市場における昆虫食普及のため、超高栄養価の健康食品としての可能性を模索するという。そのため、京都大学、東京大学をはじめとしたアカデミアとの蚕の機能性、食味改善、蚕の品種改良などの共同研究への投資、またマーケティングおよび商品開発のための投資を行うべく、この度の資金調達を行ったというわけだ。
今回出資したのは、以下の3社。
- 株式会社アイビスパートナーズ
- 三井住友海上キャピタル株式会社
- 京葉ガス株式会社
特に京葉ガスは試作品作りの段階からシルクフードに関わっており、今回、満を辞しての出資とのことだ。
将来起こりうる「タンパク質危機」については、当メディアでも以前詳しく報じた。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/proteincrisis20181002/”]
だが、危機感だけでは、なかなか人々の生活に浸透しないことは、ここ1年ほどの昆虫食ブームを見ると感じている。
だからこそ、エリーが提供するシルクフードのような、より機能性を重視した展開が、次なる昆虫食ステップには必要不可欠と言えるだろう。
そんな次世代食品を体験できる「シルクフードラボ」は、2020年3月末までの期間限定オープンである。
まだの方は忘れずに!
「シルクフードラボ」
東京都港区南青山3-13commune内(11:30〜20:00)
※日曜営業
以下、リリース内容となります。