記事の要点
・アプリ開発等を手がける道内企業・株式会社クリエイティブ・コンサルタントが、ブロックチェーン技術を活用した企業向け社内仮想通貨サービス「ComComCoin」を発表。
・企業の方針に沿った行動・社員に期待する行動を「価値」とみなし、企業が社内仮想通貨「ComComCoin」を発行。社員が価値ある行動を行うことで、コインが付与される。付与されたコインで社員は、社内コンビニで地域の特産品等を購入することができ、その売り上げは社員自身で選んだNPO法人などの寄付先に全額寄付される。
・まずは開発元であるクリエイティブ・コンサルタント内で2020年4月から1年間の実証実験が行われる。さらにその間に並行して、道内中小企業をはじめとする各企業への実装案内も進め、2021年4月には約30社への導入を目指し、将来的には様々な自治体との連携を開拓して、寄付 × 地域活性化によるポジティブな循環を増やしていくとのこと。
LoveTechポイント
「ComComCoin」によって、社員主導のCSR活動を促す仕組みが構築でき、社員のモチベーション向上や企業価値の向上も期待できるでしょう。
さらには1企業の枠組みに収まらず、地域の活性化により持続可能な社会の構築まで見据えている点がLoveTechだと思います。
編集部コメント
アプリ開発等を手がける道内企業・株式会社クリエイティブ・コンサルタントが、ブロックチェーン技術を活用した企業向け社内仮想通貨サービス「ComComCoin」を発表した。
これは、以下5つの価値が循環する仕組みを提供する仕組みである。
流れとしてはこうだ。
①企業の求める社員像や価値観を、明確な価値基準で定量化し、達成したら付与されるような社内仮想通貨(以下、コイン)を発行する。この際、1コイン=1円や1コイン=2円といった形で、企業はコインの価値づけも合わせて実施する。
②上述の明確な価値基準に基づいた行動を社員が取ることで、ルールに基づいた数だけ該当社員にコインが付与される。
③各社員に溜まったコインは、社内企画の交流イベント等で利用できたり、社内コンビニで販売されるフード等の購入に充当させることができる。
④各社員によって使われた支払済コインは、そのまま各社員が選んだNPO法人に全額寄付される(1コイン=1円のケースで、従業員Aが330コインを社内コンビニで使った場合、Aが指定したNPO法人に330円がそのまま寄付される)
⑤各社員が、企業の価値観に則った行動を積極的に行うことで、ソーシャルな活動へとお金が流れ、結果として企業そのものの価値も向上する。
企業はこのスキームを導入することで、まずは社員に対して、行動指針やコーポレートカルチャーを明示することができる。共有された明確な価値基準によって、社員の自発的なアクションが起きやすくなるだろう。
また、寄付先は社員が選択する仕組みになっているので、自ずと社会課題への興味関心、課題意識が育まれやすい環境になることも期待される。
そもそも、産業革命以降にスタンダードとなった企業体というものは、市場が求める商品やサービスを効率的・継続的に安定して供給することを達成するべく、特定個人に依存するのではなく、できるだけマニュアル化した分業体制を築く性質を有してきた。
ゆえに、社員は全社視点(経営視点)を持ちづらく、自身の仕事が会社全体、及び社会の中でどのような役割を果たせているかを日常的に考えるのが難しくなっている。
そうした課題がある中で、自身の日々の行動が分かりやすい形で社会に寄与できるようになれば、社員の視座も高まり、日々の仕事への意欲もより一層高まることが期待できるのではないか。
ちなみに、具体的な機能は以下の通りである。
- 社員同士のコミュニケーション向上(チャット機能&コインプレゼント機能)
- QRコードで簡単決済(社内コンビニなどでの決済機能)
- 社会課題や環境問題に対する意識向上(決済時に自らの意思で寄付先を選択し、寄付する機能)
- 情報発信でコイン獲得(ナレッジ投稿やボランティア活動報告によるコイン獲得機能)
アプリのイメージ図
リリース後の展開について、まずは開発元であるクリエイティブ・コンサルタント内で、2020年4月から1年間の実証実験が行われる。
正式版リリースの際には、各社員とNPOの双方に該当コイン専用のウォレットアプリが配布され、コイン利用と同時に寄付(NPO等へのコイン送付)がなされるマイクロペイメントの仕組みを実現する予定だが、実証実験ではあくまで社員のウォレットアプリのみ用意され、寄付は同社が手動で行う(送金する)という。
また、これ自体が同社内CSR活動としての側面もあることから、社内コンビニには北海道由来の厳選された商品(道産品、道内企業、安全や環境に配慮、無添加)が配置。NPOへの寄付と併せて、道内企業への還元も目指していくという。
さらにその間に並行して、道内中小企業をはじめとする各企業への実装案内も進め、2021年4月には約30社への導入を目指し、将来的には様々な自治体との連携を開拓して、寄付 × 地域活性化によるポジティブな循環を増やしていくとのことだ。
※現時点で取り組みに賛同している団体は、以下の通り。
- 認定NPO法人 ウォーターエイドジャパン https://www.wateraid.org/jp/
- 認定NPO法人 グッドネーバーズ・ジャパン https://www.gnjp.org/
- 認定NPO法人 セカンドハーベスト・ジャパン http://2hj.org/
- 公益社団法人 チャンス・フォー・チルドレン https://cfc.or.jp/
- 公益財団法人 日本自然保護協会(NACS-J) https://www.nacsj.or.jp/
- 認定NPO法人 フローレンス https://florence.or.jp/
当メディアではこれまでも、actcoinのような「個人の社会貢献活動を評価・支援する仕組み」に興味を持って取材してきたが、今回のComComCoinのように、企業体の中からソーシャルアクションを促す仕組みを設計したものは珍しく、今後の展開が非常に楽しみだと感じた次第だ。
取り組みのビジョンに共感する地域、団体、企業は、社内活性化やピアボーナス施策の一つとして、ComComCoin導入を検討してみてはいかがでしょう。
以下、リリース内容となります。