農薬帳票の提出を効率化。JA向け農薬適正使用管理システム「AGRIHUBクラウド」がリリース

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記事の要点

個人農家向け栽培管理アプリの開発を行う株式会社Agrihubが、農薬適正使用管理に特化した業務管理システム「AGRIHUBクラウド」の販売を開始。

 

・生産者にスマートフォンアプリ「AGRIHUB」を、JAに「AGRIHUBクラウド」を導入することで、リアルタイムでのデータ共有や、農薬検閲業務時間の大幅な削減と農薬誤使用が防止でき、生産者・農産物販売事業者ともに大幅な業務改善が期待できる。

 

・JAうつのみやとの実証実験結果では、農薬の検閲業務1件あたり10分程度の作業時間を要していたが、アグリハブクラウドの導入により1件あたり1分かからず検閲ができ、農薬の検閲業務時間を9割削減できた。

LoveTechポイント

代表が元エンジニア・現農家という立場だからこそ、アジャイル式に現場に必要な機能を追加していけるのだと感じます。

生産者と農産物販売事業者、ともに作業を効率化して、よりクリエイティブな時間へと充当できるようになる点が素敵ですね。

編集部コメント

リリースから僅か2年半で10,000人を超えるユーザーに利用され、農家の作業性の向上に貢献している「AGRIHUB(以下、アグリハブ)」をご存知だろうか。

 

元エンジニアの農家であるAgrihub代表・伊藤彰一氏が、自らの農作業で感じた課題を解決するために開発した、農薬検索、散布管理、農業日誌、売上管理をワンストップで行える、スマホとPCの両デバイスで使えるアプリケーションだ。

 

快適な操作性とわかりやすいUIがユーザーから高評価で、リリースから2年半でユーザー数は10,000人を突破。アグリハブの農薬検索や散布管理機能は、これまでにない機能と操作性を実現したことで、生産者のみならずJA職員にも多く利用されているものだ。

 

そして今回、そんなJA等の農産物販売事業者向けに、農薬適正使用管理に特化した業務管理システム「AGRIHUBクラウド」(以下、アグリハブクラウド)も販売が開始された。

 

開発の背景にあるのは、農薬管理上の課題である。

 

そもそも農薬の使用方法については法律で厳しく定められており、生産者は農薬の使用基準を遵守し、農産物販売事業者は農薬の使用履歴を検閲する必要がある。だが、農薬の使用履歴は手書きが主流のため、生産者だけでなく、それを確認する販売事業者ともに、農薬の使用基準の確認作業に膨大な時間を費やし、結果として農薬の誤使用も度々怒っていることが課題となっている。

 

そんな中、JA職員や生産者の労働環境を改善し、農作物の安心・安全をより確実なものにしなければならないという想いから、今回のアグリハブクラウドは開発されたわけだ。

 

生産者はアグリハブを導入することで、日々の農業日誌を記録するだけで、農薬帳票が自動で作成され、提出まで完了する。

 

さらにJAにもアグリハブクラウドを導入すれば、登録されたデータはリアルタイムでJA職員に共有され、JA側でも一件一件農薬登録情報を調べることなく、生産者の農薬使用履歴を一目で検閲することができる。

 

JAうつのみやとの実証実験結果では、農薬の検閲業務1件あたり10分程度の作業時間を要していたが、アグリハブクラウドの導入により1件あたり1分かからず検閲ができ、農薬の検閲業務時間を9割削減できたという。

 

また、適正管理の難しさから農薬の誤使用についても度々問題になっているが、アグリハブでは、所有する農薬の残り使用可能回数を自動で適正範囲に制御しているので、生産者の農薬誤使用を未然に防ぐこともできる。

 

これまでのシステムは、生産者かJAどちらかに労力がかり、うまく運用が回らなかったり、追加でシステム開発費用が発生し、現場が必要な機能の拡張が進まないなど、導入後にギャップが生じることが多々あったが、アグリハブクラウドでは追加費用は無しで、定期的に追加される新しい機能も使い続けることができるという。

 

アグリハブ、アグリハブクライドをそれぞれ導入することで、生産者・農産物販売事業者ともに、農薬管理に充てていた時間を現場作業や営農指導などに使うことができ、農産物の出荷量増加につなげることが期待されるだろう。

 

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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