記事の要点
・森林面積が村の9割を占める人口900人の山村・長野県根羽村が、「源流の水を守る、根羽村の森を活かしたサステナブルな取り組み」を取りまとめたSDGsポータルサイト「NEVER FOREST 根羽村」をオープン。
・根羽村で取り組む挑戦内容、およびそれらの進行状況について随時発信し、活動に賛同する企業に対して、内閣府が推進する企業版ふるさと納税制度を通じた支援の受付も行う。
・具体的な活動内容としては、杉の木から織物をつくる“木の布”プロジェクトや、365日山の中で牛が自然の中で共生する、山地酪農を活かした森林保全活動がある。特に後者は、日本初となる自治体連携での山地酪農に挑む取り組みでもある。
LoveTechポイント
課題先進村が森林・山村問題の解決につながる「山村モデル」の確立を目指して積極的に発信を始めている点が、非常にLoveTechだと感じます。
土中環境レベルでの豊かな土地が維持されることを願います。
編集部コメント
森林面積が村の9割を占める人口900人の山村・長野県根羽村(ねばむら)が、「源流の水を守る、根羽村の森を活かしたサステナブルな取り組み」を取りまとめたSDGsポータルサイト「NEVER FOREST 根羽村」をオープンした。
「源流の水を守る」とはどういうことか。
日本では、林の公益的機能、つまりはCO2吸収による温暖化防止機能や大雨・地震などから山地災害を防ぐ機能が低下しており、それが大きな社会問題となっている。
これが、根羽村も例外ではない話なのだ。
根羽村の源流からはじまる一級河川の「矢作川」流域には、人口180万人が恩恵を受けて暮らしており、製造業などの事業を支える工業用水としても活用されている。
その水源の村として、源流にある森を森林管理を通じて守ることが、根羽村の使命の1つとなっている。具体的には、村域の森林の違法伐採や、保護する価値の高い森林の伐採を防ぎ、持続可能な森林経営を行っていくために、森林管理のためのFM(Forest Management)認証を協議会方式で取得している。
だが、山村の暮らしは近代化による木材価格の低迷や産業構造の激変の中で急激な過疎化を迎えており、根羽村森林組合や村そのものの持続性は危機を迎えている状況だ。
このような背景から、根羽村は企業との共創による、常識に囚われない森林管理と森林資源の利活用を通じて、水源と水を守ることを目指しすこととなったわけだ。
今回リリースされたSDGsポータルサイトでは、根羽村で取り組む挑戦内容、およびそれらの進行状況について随時発信し、また活動に賛同する企業に対して、内閣府が推進する企業版ふるさと納税制度を通じた支援の受付も行うという。
根羽村でのSDGsプロジェクトには、2020年度より新たに始まった、杉の木から織物をつくる“木の布”プロジェクトや、365日山の中で牛が自然の中で共生する、山地酪農を活かした森林保全活動がある。特に後者は、日本初となる自治体連携での山地酪農に挑む取り組みでもある。
他にも、根羽村の木材や木製品、木のおもちゃ等を使って、子ども向けの木育活動や環境教育を行う「エコツーリズム(森林ESD)」の実施や、企業連携で村外の人々が村暮らしを体験できる拠点として空き家を利活用するなど、その活動は多岐にわたる予定だ。
日本の森林は、本来的には豊かに循環する資源であるのに、管理する人が逓減して消費だけが繰り返されることで徐々に破壊されていき、生物の多様性そのものまでが失われてしまうのは、非常に残念なことである。
小さな山村が中心となって、森林・山村問題の解決につながる「山村モデル」の確立を目指していく取り組みに、引き続き注目していきたい。