小規模農家のエコシステム構築を目指す「坂ノ途中」、味の素などから総額約8億3,000万円の資金調達実施

食/地域/環境

記事の要点

・新規就農者をメインパートナーに、環境負荷の小さな農業に取り組む生産者の野菜を販売する「坂ノ途中」が、三井住友海上キャピタル、ハウス食品グループイノベーションファンド、味の素株式会社などから総額約8億3,000万円の資金調達を実施。調達額は累計約13億7200万円に。

 

・今回の調達資金は、生産者との連携強化や自社便流通網の拡充、ロジスティクスセンターの立ち上げによる物流体制の強化、「海ノ向こうコーヒー」の事業拡大等に充当される予定。

 

・農林水産省が推進する「みどりの食料戦略システム」では、2050年までに有機農業に取り組む面積を100万haに拡大するなどの目標を掲げており、オーガニック農産物の市場拡大が見込まれているなか、メイン事業である野菜セットの定期宅配のユーザー数は、2年で約4倍に成長、提携生産者も2年で約1.5倍に増加している。

LoveTechポイント

小規模多品種な野菜の流通の仕組みを構築し、農業の物流を変えていこうとしている点が、LoveTechだと感じます。

農水省「みどりの食料戦略システム」記載のオーガニック農産市場拡大が、大きな追い風になり、事業拡大と社会課題解決が両立するビジネスモデルの確立に期待したいと思います。

編集部コメント

株式会社坂ノ途中が、MSIVC2020V投資事業有限責任組合、ハウス食品グループイノベーションファンド、味の素株式会社等を引受先とした第三者割当増資および株式会社日本政策金融公庫等からの融資により、総額8億3,108万8,000円の資金調達を実施した。

 

これまでの資金調達(シードラウンド(2014年10月/約4,600万円)、シリーズAラウンド(2016年12月/約2億円)、シリーズBラウンド(2019年5月/約6億円))に続き4回目の実施となり、増資による調達額は累計約13億7200万円となった。

 

坂ノ途中とは、「100年先も続く、農業を。」をビジョンに掲げて農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売を行うベンチャー。少量で不安定な農作物の生産でも、品質が高ければ適正な価格で販売できる仕組みを構築することで、環境負荷の小さい農業を実践する農業者の増加を目指して活動している。

 

 

メイン事業は、EC販売している「野菜セット定期宅配」。旬のお野菜をセットにした、季節の変化を感じることができる定期便である。

 

こちらはコロナ禍以降に自宅で過ごす時間が増えた家庭が多くなったことや、ライフスタイルシフトをはかる傾向が高まっていることなどから需要が拡大しており、ユーザー数が2年で約4倍の約6,700件(2021年4月現在)へと成長しているという。

 

また同社は、飲食店やホテル、小売店等への卸販売を行っており、そちらも新たなるキャッシュポイントとして会社事業を牽引しているという。具体的には、スマートフォンで簡単に注文できる法人向けのオンライン注文サイト「やさいノート」を展開しており、売上は過去最高水準を維持しているとのことだ。

 

さらに、グローバル展開事業として「海の向こうコーヒー」というブランドも展開。ラオスやミャンマーなど、希少なアジアのスペシャルティコーヒーを中心として、「おいしさ」「環境改善への貢献」「地域コミュニティへの配慮」の3つの観点を大切にした商品を取り扱っている。

 

どの産地も現地特有の構造的な社会課題を抱えており、例えば森林減少の著しい地域では、森や林の中で農産物を育てる栽培手法を用いることで、熟度の統一や発酵レベルの安定化など品質の向上と標準化を図りながら、森林減少を止め、かつ山間地で暮らす人々の所得確保を図ってるという。こちらは、実際に同社スタッフが現地へと入り、栽培方法や精製プロセスの見直しと高度化、資金面や販路構築のサポートを行なっているとのことだ。

「海の向こうコーヒー」は、ラオスの森林減少の改善のために現地を訪れたことから始まったという(画像:海ノ向こうコーヒーWebページより)

 

 

そんな坂ノ途中は、新規就農者(新しく農業をはじめる人)をメインパートナーにして、青果流通を行う事業も展開しており、提携生産者数は2021年5月14日時点で約300件となっている。

 

農産物の「販路開拓」を坂ノ途中が担うことで、未経験者でもハードルを下げて農業をスタートできるようにしているというわけだ。

 

同社は今回の資金調達により、生産者との連携強化や自社便流通網の拡充、ロジスティクスセンターの立ち上げによる物流体制の強化、「海ノ向こうコーヒー」の事業拡大等を目指していくという。

 

本ラウンドの資金調達割当先は下記の通り。

 

  • MSIVC2020V投資事業有限責任組合(運営:三井住友海上キャピタル株式会社)
  • ハウス食品グループ-SBIイノベーション投資事業有限責任組合(運営:SBIインベストメント株式会社)
  • 味の素株式会社
  • MINER ALLEN PARKER(個人投資家/株式会社サンブリッジ創業者)
  • GLIN Impact Capital投資事業有限責任組合(運営:GLIN Impact Capital有限責任事業組合)
  • 関西イノベーションネットワーク投資事業有限責任組合(運営:池田泉州キャピタル株式会社)
  • ハック大阪投資事業有限責任組合(運営:ハックベンチャーズ株式会社)
  • 京信イノベーションC投資事業有限責任組合(出資者:京都信用金庫)
  • taliki1号投資事業有限責任組合(運営:株式会社taliki)

 

日本国内でも、農林水産省が2021年3月に発表した「みどりの食料戦略システム」において、2050年までに有機農業に取り組む面積を100万haに拡大するなどの目標を掲げられており(2018年段階では約2万3700ha)、オーガニック農産物の市場拡大が見込まれている。

 

これがさらなる追い風となり、事業拡大と社会課題解決が両立する企業として、引き続き坂ノ途中に注目していきたい。

LoveTechMedia編集部

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