記事の要点
・イノベーションで社会課題の解決を目指す事業共創カンパニーの株式会社Relicが、観光地域づくり法人(DMO)を、地図上で視覚的に把握できるプロダクトのプロトタイプを開発。
・DMOは観光地経営の視点に立った観光地域づくり法人で全国各地で設立が進んでいる一方で、複数自治体にまたがる区域を活動エリアとするDMOも増えてきており、地域間の連携を把握するため、日本全国に広がっているDMOを視覚的に整理する必要があった。
・今まで手作業で進めていたDMOの可視化作業をデジタル化することで、各層のDMOの役割分担と連携を促し、効率的な観光地域づくりの促進する。
LoveTechポイント
観光地域づくりには、まさにマルチステークホルダープロセスが必要になるからこそ、デジタル化による情報の可視化の恩恵は大きな領域だと言えるでしょう。
関係者間における情報の把握をスムーズにして、より効率的で効果的な観光地域づくりを促進する基盤を整えようとしている点が、LoveTechですね。
編集部コメント
昨今のコロナ禍における経済構造の転換に向けて、官民連携によるデジタル化、およびGovtech(行政 × テクノロジー)が加速している。先日正式に決定したデジタル庁の創設は、その動きを大きく加速させると言えるだろう。
そんな中、事業共創カンパニーのRelicが観光庁とともに、観光地域づくり法人(DMO)を地図上で視覚的に把握できるプロトタイプを開発した。
観光地域づくり法人とは、観光庁の定義によると以下とされている法人だ。
地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人
-引用元:観光庁「観光地域づくり法人(DMO)とは?」
観光地域づくり法人(以下、DMO)は登録制度となっており、2015年12月から登録を開始し、2021年3月末現在で295法人が観光庁に登録されている。全国各地で設立が進んでいる一方で、複数自治体にまたがる区域を活動エリアとするDMOも増えてきている状況だ。
このような地域間の連携をしっかりと把握するために、日本全国に広がっているDMOを視覚的に整理する必要から、今回のプロダクトの開発に至ったというわけだ。
具体的には、全国のDMO設立状況を地図上で視覚的に確認でき、また登録数をヒートマップとして色で可視化することで、DMOの登録状況を地域ごとに把握することもできる。
今まで手作業で進めていたDMOの可視化作業をデジタル化することで、各層のDMOの役割分担と連携促進などを目的に、効率的な観光地域づくりが促進できるというわけだ。
ちなみに、こちらは関係者間での共有を目的として構築されたプロダクトなので、現時点では公表を予定しているものではないという。
プロダクト開発を担当したRelicは、新規事業開発やイノベーション創出を支援する事業共創カンパニー。新規事業支援に特化した独自のSaaS型プラットフォーム「Throttle」やトータルソリューション、オープンイノベーション支援事業などを展開している。
今回は、同社による共創型エンジニアリングサービス「Digital Innovation Studio」によりプロダクトが開発されたとのことだ。
観光地域づくりには、まさにマルチステークホルダープロセスが必要になる。だからこそ、デジタル化による情報の可視化の恩恵は大きな領域だと言えるだろう。
今回開発されたプロダクトを通じて、より効率的で効果的な観光地域づくりが促進され、コロナ禍でも安心して楽しめるサービス開発や、アフターコロナ時代の観光におけるニューノーマルが伝播しやすくなることに期待したい。