記事の要点
・地域のパン屋プラットフォームを構築するパンフォーユーが、家庭用冷凍食サービス提供企業など合計11企業と共同で、冷凍品の新価値を創造・発信するためのコンソーシアム「フローズンエコノミーラボ」を設立。
・「フローズンエコノミー」とは、 冷凍品を活用するサービス提供や事業運営をする企業・団体のほか、調理器具を含めた電気製品・電力供給・資材・物流など、冷凍品にまつわるあらゆるものを含んだ経済圏のことを指す言葉と定義。
・「冷凍ものは味が落ちる・手抜き」といった、冷凍食品のもつマイナスなイメージを覆すべく、食品の冷凍に関する正しい認知の拡大と、フードロス削減などサステナブルな暮らしにつながるイメージ訴求を目指す。
編集部コメント
「冷凍 × IT」で地域のパン屋さんと消費者をつなぐ株式会社パンフォーユーが、「冷凍品の新価値」を創造・発信するためのコンソーシアム「フローズンエコノミーラボ」を、2021年9月2日に設立した。
パンフォーユー とは、「新しいパン経済圏」を作り、地域経済に貢献することをミッションとし、独自のパン冷凍技術をもとにパン屋さん向けSaaSプロダクトを展開するFoodTechスタートアップだ。
販路拡大戦略で、全国の消費者とパン屋さんをつなぎ、パンを「作る人」「売る人」「買う人」三方良しのプラットフォームサービスを提供している。
同社のサービスの根幹となるのは独自の冷凍技術。
焼成のあとに1日常温で置いたパンよりも品質が高いことが一般社団法人日本食品分析センターの検査で実証されており、冷凍庫さえあれば、設備投資を一切することなく、全国へと自慢のパンを届けることができるというものだ。
そんなパンフォーユーが音頭をとって設立した団体が、今回のフローズンエコノミーラボである。
フローズンエコノミーなんて耳慣れない言葉だが、これは「冷凍品」を活用するサービス提供や事業運営をする企業・団体のほか、調理器具を含めた電気製品・電力供給・資材・物流など、冷凍品にまつわるあらゆるものを含んだ経済圏のことを指すとのこと。
コロナ禍で、家食が増えたことや巣ごもり対応のためのストック需要が増えたことなどもあり、 この1年で「家庭用冷凍食品」の需要は右肩上がりだという。また、商品数が増加するだけでなく、販売方法も多様化し、個人宅に直接届けるECやD2C形態のサービスも次々と登場している。
さらに、利便性としての冷凍品という捉え方のみならず、外食や旅行にとって代わる価値を提供する「冷凍品サービス」も生まれており、今後もフローズンエコノミー市場は拡大が予測されている。
しかし、「冷凍品=味が落ちる・手抜き」というマイナスのイメージが先行していることも事実でありまた、冷凍品需要が高まる一方で家庭用の冷蔵庫での冷凍品の保存容量は変わっていない状況だ。
そこでフローズンエコノミーラボでは、このような凍食品のもつマイナスなイメージを覆すべく、3つのミッションを策定。特に2番目について、家庭や生活圏のあらゆる施設での冷凍保存スペース・流通コストなどの課題を解決し、冷凍により保存期間や販売手法に変化をもたらすことで、社会課題であるフードロス削減にも貢献。農林水産省の推進するプロジェクト「食品ロス削減国民運動」への参加も決定している。
既存事業者やユーザーへのフローズンエコノミー普及活動やと、市場に関する勉強会の実施、事例や運営ノウハウなどを共有する事業者間の交流などを通じて、市場の啓発を進めていく予定だ。
2021年9月30日時点での設立メンバーは以下の通り。
<家庭用冷凍食サービス提供企業:9社>
- まねき食品株式会社
- 株式会社丸山製麺
- 有限会社近藤スワインビジネス
- 株式会社AIVICK
- TANPAC株式会社
- 株式会社パンフォーユー(幹事企業)
- 株式会社yoloz
- ゴーフード株式会社
- homeal株式会社
<特別パートナー:1社>
- レンティオ株式会社
<パートナー企業:8社>
- 株式会社安藤
- 株式会社SUPER STUDIO
- 株式会社スマートメディア
- 株式会社Tokyo Bento Labo
- 株式会社フラクタ
- 株式会社プレイド
- 金木屋商事株式会社
- 三菱地所株式会社
最近の冷凍食品は健康に配慮されたものや離乳食などの幅広い商品があり、忙しい現代人には便利なものである。ただ、手作りできなかった時の手段として使うことが多く、使う際に抵抗が無いとは言えないかもしれない。
今回発足されたコンソーシアム活動が、一社では限界がある世の中の理解促進や新しい冷凍技術の活用への風穴になることを期待したい。