LoveTech Media編集部コメント
「Powering Mobility for All」
これは、ロボティック義足をコアテクノロジーに事業展開するBionicM株式会社のミッションだ。
これまで人類は、草履や靴から始まり、エスカレーター、自転車、自動車、電車、船、飛行機、ロケット、様々な技術によって不可能を可能にし、モビリティにおけるイノベーションを推進してきた。
同社はこのモビリティ分野において、ロボット技術と人間の身体を融合させる技術を利用することによる新たなイノベーションを仕掛けるテックスタートアップである。
その最初のアプローチが、義足である。
「足を切断した人が生活に不自由を感じるのは、足の切断を余儀なくされた人自身に問題があるのではなく、それでもストレスなく生活できる高機能な義足という技術が無いから」というのが、同社の考えだ。
つまり、あるべき技術がそこに存在していないないことが、不自由さの根本原因だという。
確かに、視力の弱さはかつて病気と捉えられていたが、テクノロジーの発達によりメガネが開発され、コンタクトが登場し、レーシック手術で矯正が可能になった現代においては、「病気」としての不自由さを感じる人は少なくなったと言える。
そんなBionicM社が、今年2月21日に株式会社東京大学エッジキャピタル(UTEC)を引受先とする資金調達を実施したと発表した。
今回のシードラウンド資金調達により、ロボティック義足の開発を加速させることはもとより、将来的な量産・市場導入に向けた事業基盤を強化していくという。
世界の義足市場の99%以上は受動式義足であり、ロボットテクノロジーが普及する昨今においても、その技術進化の恩恵が及んでいない市場であると言える。
同社の技術が、移動に不自由を感じる人々にとっての救世主になることを期待したい。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
BionicM株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:孫小軍、読み:バイオニックエム、以下「BionicM」)は、2019年2月21日に株式会社東京大学エッジキャピタル(UTEC)(本社:東京都文京区、代表取締役社長:郷治友孝)を引受先とする資金調達を実施したことを発表いたします。
BionicMについて
BionicMは、孫が東京大学博士課程において2015年よりヒューマノイドロボット技術を応用して研究・開発を行ったロボティック義足をコアテクノロジーとし、すべての人々のモビリティに力を与えること「Powering Mobility for All」をミッションとして2018年12月に設立されました。
BionicMのロボティック義足は、従来の動力を持たない受動式義足が抱える課題を解決する義足であり、設立以前の研究段階より、SXSW(South by Southwest) Interactive Innovation Awardを日本チームとして史上初めて受賞、ジェームズダイソンアワードにおいて国内最優秀賞を受賞するなど、その技術の革新性・将来性が高く評価されております。今回の資金調達により、ロボティック義足の開発を加速させることはもとより、将来的な量産・市場導入に向けた事業基盤を強化してまいります。
義足の市場環境について
世界で年々増加している下肢切断者の切断原因の60-70%は糖尿病や閉塞性動脈硬化症などによる末梢循環障害です。世界の糖尿病有病者数は2018年時点で4億人を超え、2045年までに7億人まで増加すると予測されており、今後も下肢切断者数の増加が予測されています。さらに末梢循環障害による下肢切断者の60-70%は60歳以上の高齢者といわれており、超高齢化社会に突入した日本をはじめとして、世界中で増加する高齢者のQOL(Quality of life:生活の質)維持・向上においても大きなリスク要因となっています。
世界の義足市場の99%以上は受動式義足であり、ロボットテクノロジーが普及する昨今において、その技術進化の恩恵が及んでいない市場です。受動式義足は義足利用者への身体的負担が大きいだけでなく、自然な歩行動作を取れない、階段を両足交互に昇降することができないなどの制約から周囲の目が気になるという精神的負担も生んでいます。
2020年に控える東京パラリンピック競技大会などにより義足に対する関心が広がる一方で、義足の技術進化・普及という点においては大きな課題があると言えます。
BionicM株式会社(バイオニックエム)会社概要
設 立:2018年12月21日
代表者 :代表取締役社長 孫小軍
事業内容:ロボティクスと身体を融合したモビリティディバイスの研究開発・事業化
本 社:〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟207室
URL :http://www.bionicm.com/