記事の要点
・仙台市とフィリップスが、地域住民が協力してAEDを使用し、心肺停止からの社会復帰を目指す「仙台Heart safe cityプロジェクト」を、2019年12月より開始すると発表。
・2019年12月から2020年2月まで、仙台市若林区荒井東地区において、AEDの使用方法を含めた救命講習会を実施するほか、AED及び SOSボタンの屋外設置と地域住民によるファーストレスポンダー体制による、心肺停止時等における新たな自助・共助モデルの実証実験を予定。
・心肺停止現場を目撃した人物が、市内各所に設置されたSOSボタンを押すと、位置情報などと連動して「MySOS」アプリをスマホインストールしている近くの人たちに通知が飛ぶ。その通知を受けた人物は、ボタンが押された場所と近くにあるAEDの位置を確認した上で、最寄りのAEDを持って救助に向かうという流れを想定した取り組みとなっている。
LoveTechポイント
平成30年版総務省消防庁救急救助の現況によると、日本における年間心肺停止件数は約12万件で、1日当たり350人近くにのぼることになります。
他人事でない事態に対し、街全体がIoT機器を活用してサポート体制を強化する点が、非常にLoveTechだと感じます。
編集部コメント
今年5月に「Heart safe city」構想を本格始動させた株式会社フィリップス・ジャパンが、このたび仙台市と共同で、地域住民が協力してAEDを使用し心肺停止からの社会復帰を目指す「仙台Heart safe cityプロジェクト」を、2019年12月より開始すると発表した。
「Heart safe city」構想とは、心肺停止後の社会復帰率を向上させるプログラム。
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日本ではAED(※)の普及率が世界一といわれており、医療機関や消防機関を除く公共の場所には全国で合計50万〜60万台のAEDが設置されている。
※AED:自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator)。いわゆる電気ショックによって心臓の拍動を正常化させるための医療機器のこと
しかし、心肺停止後のAED使用率は4.9%と異常に低く、社会復帰率も8.7%に留まっているのだ。
この現状を改善すべく、AEDの適正配置、ファーストレスポンダー(※)の育成サポート、行政や自治体との体制づくりを推進することで、日本の社会復帰率「世界一」を目指す構想が、「Heart safe city」となっている。
※ファーストレスポンダー:救急隊に引き継ぐまで適切に応急手当が出来る救護者
今回、仙台市との協働でスタートした「仙台Heart safe cityプロジェクト」は、2019年12月から翌2月までの3ヶ月間、仙台市若林区荒井東地区において、AEDの使用方法を含めた救命講習会を実施する。
AED及び「SOSボタン」の屋外設置と、地域住民によるファーストレスポンダー体制による、心肺停止時等における新たな自助・共助モデルの実証実験を行うというものだ。
今回の実証実験のキモとなるのは、自身や家族の健康・医療記録を行い、救急時などのいざという時にスムーズな対応をサポートする救命・救急補助スマートフォンアプリ「MySOS」と、IoTデバイスとして機能する「SOSボタン」との連動である。
心肺停止現場を目撃した人物が、市内各所に設置されたSOSボタンを押すと、位置情報などと連動して「MySOS」アプリをインストールしている近くの人たちに通知が行く。
その通知を受けた人物は、ボタンが押された場所と近くにあるAEDの位置を確認した上で、最寄りのAEDを持って救助に向かうという流れを想定した取り組みとなっている。
ボタン押下より10秒強で一斉通知が可能となっており、一刻を争う心肺停止状態をサポートする上で欠かせないスピード感と言えるだろう。
SOSボタンの認知向上やMySOSアプリのインストール、利用方法のキャッチアップ、実際のアクションに至るまでの流れ把握など、仕組みが機能するまでには多くのハードルが存在するが、このような取り組みが実際に動き出すことに大きな価値があると言える。
2020年2月、一連の実証実験が終了したタイミングでの結果報告に興味津々だ。
以下、リリース内容となります。