記事の要点
・メロディ・インターナショナル提供のIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」等を活用した、周産期遠隔医療プロジェクト「ましゅうっこプロジェクト」が、北海道大学病院による推進のもとでスタート
・産婦人科医のいない摩周厚生病院(北海道釧路管内弟子屈町)(てしかがちょう)と、遠く離れた産婦人科医のいる釧路赤十字病院もしくは網走厚生病院を遠隔医療システムで繋ぐことで、遠隔での妊婦健診を可能とする取り組み。最初は、釧路や網走の病院に通っている弟子屈町内の疾病のない妊婦を対象に、26週、30週、34週目の妊婦健診で実施する。すでに2月18日より受診を開始。
・今年4月以降は「どさんこプロジェクト」として取り組みのスコープを拡張し、札幌医科大学および旭川医科大学と連携して全道へ拡大していき、中長期的には日本全国の同じ様な課題を抱える地域に拡げていく予定。
LoveTechポイント
「周産期医療における格差」は母子ともに命に関わる課題であるからこそ、その是正を進める本取り組みは社会的意義のあるLoveTechなものと感じます。
このムーブメントが道内だけでなく、第一段階では国内各地に、さらにその次の段階では国外に広がっていけばと、切に願っています。
編集部コメント
メロディ・インターナショナル提供のIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」等を活用した、周産期遠隔医療プロジェクトが、北海道大学病院による推進のもとでスタートした。
その名も「ましゅうっこプロジェクト」。
2月17日に弟子屈町公民館にて実施されたプロジェクト説明会の様子。釧路赤十字病院(山口辰美院長)、摩周厚生病院(森正光院長)、北海道保健福祉部、弟子屈町、一般社団法人WIND、株式会社ボーダレスビジョン、メロディ・インターナショナル株式会社ら関係者が参加
産婦人科医のいない摩周厚生病院(北海道釧路管内弟子屈町)(てしかがちょう)と、遠く離れた産婦人科医のいる釧路赤十字病院および網走厚生病院を遠隔医療システムで繋ぐことで、遠隔での妊婦健診を可能とする取り組みだ。
そう、弟子屈町内には産婦人科というものが存在しない。故に、妊婦は1時間以上かけて70~80km離れた釧路赤十字病院や網走厚生病院に通院しているという。
妊娠を経験したことのある家庭ならば、大変な負担となっていることは容易に想像がつくだろう。
そしてこれは、なにも弟子屈町に限った話ではない。広大な土地を有する北海道だからこそ人口密度も低く、故に近くに産婦人科がない地域も多く存在している状況だ。
一方でプロジェクトを推進する馬詰武医師(北海道大学産科助教)によると、北海道内の市町村には176施設の内科、153施設の外科、151施設の小児科があり、それぞれが地域の病院として機能しているという。
もしこれら身近にある医療機関で妊婦健診が可能となれば、妊婦の通院負担は大幅に低減されることは間違いないだろう。
そんな背景からスタートしたのが、この「ましゅうっこプロジェクト」というわけだ。
具体的には、メロディ・インターナショナル株式会社が開発したIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」と、ボーダレスビジョン株式会社が提供する医療用映像通信システム「キズナビジョン」を連携し、ネット回線を使用して運用する。
はじめは、釧路や網走の病院に通っている弟子屈町内の疾病のない妊婦を対象に、26週、30週、34週目の妊婦健診で実施。すでに2月18日より受診を開始している。
また、今年4月以降は「どさんこプロジェクト」として取り組みのスコープを拡張し、札幌医科大学および旭川医科大学と連携して全道へ拡大していき、中長期的には日本全国の同じ様な課題を抱える地域に拡げていく予定だという。
すでにプロジェクト推進のための産官学連携も進んでおり、2020年2月に北海道庁、各自治体および産婦人科非標榜医療機関が妊婦健診に関する契約を締結。産婦人科医のいない医療機関にて妊婦健診を実施した場合でも、遠隔妊婦健診の費用が当該医療機関に支払われるという運用体制が整っている。
さらに今後は、遠隔妊婦健診に関わる費用が保険収載されるよう、日本産婦人科学会などと連携して国に働きかけることで、より恒久的に運用出来る仕組みを目指すとしている。
「周産期医療における格差」は、母子ともに命に関わる課題であるからこそ、その是正を進める本取り組みは社会的意義のあるLoveTechなものと感じる。
陸地だけでなく、島嶼の多い地域でも非常に有効な取り組みだと思うので、課題を感じている自治体担当者や医療関係者の方は、メインとなるIoT型胎児モニター開発のメロディ・インターナショナルに相談してみてはいかがでしょう。
なお、同社が提供する「分娩監視装置iCTG」については、以下の取材記事も併せてご確認いただきたい。
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以下、リリース内容となります。