記事の要点
・狩猟関連機器やサービスの企画・開発・販売を行う株式会社huntechが、2020年9月14日から、現在提供しているトレーサビリティにも対応した捕獲・加工情報プラットフォーム「ジビエクラウド」に、ジビエ処理施設「衛生管理記録機能」の追加実装を予定。
・2021年6月より完全施行される、すべての食品等事業者へのHACCP(ハサップ、危害要因分析重要管理点)に適合した衛生管理の義務化への対応機能となる。
・ジビエクラウドはウェブブラウザから利用可能で、初期費用5万円/処理施設、月額4,000円(いずれも税抜)という価格設定。
LoveTechポイント
野生鳥獣による農作物の被害は2009年度以降200億円を超えましたが、全国での捕獲体制強化の結果、2018年度には160億円を下回り減少傾向にあります。
しかし捕獲した鳥獣のほとんどは処分されており、食肉転用など資源の有効活用が求められるなか、ジビエの安全性を担保することに貢献するシステム開発はLoveTechであり、ジビエ市場の規模拡大の1歩となるのではないでしょうか。
編集部コメント
狩猟関連機器やサービスの企画・開発・販売を行う株式会社huntechは、2020年9月14日、現在提供しているトレーサビリティにも対応した捕獲・加工情報プラットフォーム「ジビエクラウド」に、ジビエ処理施設の「衛生管理記録機能」を追加実装する。
追加機能の開発背景にあるのは、2021年6月から始まる、ジビエ処理施設を含むすべての食品等事業者へのHACCP(※)に適合した衛生管理の義務化。違反すると、行政指導や営業許可の取消、営業の禁停止などの可能性があるものだ。
※HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、「危害要因分析重要管理点」と訳される(読み方:ハサップ)。各原料の受入から製造、製品の出荷までのすべての工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因(ハザード)を科学的根拠に基づき管理する方法のこと(日本食品衛生協会より抜粋)。2020年6月1日に施行され、1年間の経過措置を経て、2021年6月1日より完全施行となる
HACCPに沿った衛生管理に関する基準(厚生労働省「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」p6より)
ジビエ処理施設がHACCPに対応するためには、大きく「商品のトレーサビリティ」と「施設の衛生管理記録」の2点について、管理計画の策定、手順書の用意、管理情報の保存、必要に応じてPDCAをまわしていくことが求められる。
だが、ジビエ処理施設の多くは従業員数が数名程度の小規模経営(※)。新たな衛生管理システムの構築や、その後の運用が大きな負担となることは想像に難くない。
このような背景から、処理施設内のアカウント数に制限なく、サブスクリプション型で提供されているのが、huntechの提供する「ジビエクラウド」である。
ジビエクラウド全体図(画像出典:huntechホームページ)
同社は別プロダクトとして、IoT型罠猟用センサー「スマートトラップ」も提供しており、これがジビエクラウドと自動連携することで、獲物の捕獲場所や捕獲日時、性別・年齢などの個体情報、重量・解体日時・加工者などの加工情報等を登録することができる。また製品ラベルに表示するためのQRコードの作成も可能なので、消費者の安心安全な購買活動にも貢献する仕様となっている。
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これらに加えて今回、HACCPに適合した衛生管理機能が強化されるので、ジビエ処理施設に対するより包括的な支援体制が実現するというわけだ。
厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」を基本とした「小規模ジビエ処理施設向けHACCP の考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」によると、ジビエ処理施設では衛生管理計画を策定しHACCP対応の指針(※)に沿った記録・入力が求められており、ジビエクラウドではそのすべての確認・記録機能を実装することとなる。
※個体ごとに「捕獲・受入個体記録表(日報)」と「と体解体時の確認記録表(日報)」を、作業日ごとに「従事者等の衛生管理点検表」「食肉処理作業の自主点検表」「金属検出機チェック表」「冷蔵庫内・冷凍庫内温度チェック表」を、さらに、1か月に1回「処理施設の点検」と「処理作業の点検」を記入しなくてはならない。
また、入力した衛生管理記録は、ウェブ上で様式・点検日ごとに後から確認することもできる。記録の提出が要請された場合にスムーズに対応できることはもちろん、過去事例を参照しながら、衛生管理体制のさらなる強化に取り組みやすくなるだろう。
このジビエクラウド。専用アプリやシステムのインストールが不要なクラウドベースのサービスで、初期費用5万円/処理施設、月額4,000円(いずれも税抜)という価格設定となっている。
法的な規制要件の対応に悩んでいる事業者の方は、次年度の完全施行に向けて、システム導入を検討してみてはどうだろうか。
以下、リリース内容となります。