記事の要点
・自然の中にもう一つの家を持てるセカンドホーム・サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」が、2021年秋のサービスローンチに向けて、初期会員の先行抽選申し込みを4月15日に開始(申込は7月31日まで)。
・独自に開発した環境配慮型建築「SANU CABIN」を各所に建設中。いずれも都心からのアクセスが良い自然立地にあり、会員登録制(初期費用0円・月額税込料金55,000円〜)で、好きな時に滞在することができる。
・総開発費用およそ20億円の投資の下で、まずは2021年度内に5拠点(40棟)のオープンを予定。その後、2022年夏頃までに新たに5拠点をオープンさせ、計10拠点(90棟)を展開する計画。
LoveTechポイント
住居のサブスクについては、HafHやADDressのようなコリビングサービスをはじめ、帝国ホテルから三井不動産グループまでの様々なホテルブランドによるサブスクサービスなど、色々なあり方が注目されてきています。
その中でも今回、初期会員の抽選申込を始めた「SANU 2nd Home」は、自然との共生をテーマに独自の生活空間を設計しており、持続可能な素材選定と工法を採用している点が、特にLoveTechだと感じます。
編集部コメント
近年、日本でもシェアリングエコノミー文化の浸透が加速しており、音楽や洋服、家電など様々なシェアリングサービスを気軽に活用できるようになってきた。
その流れはモノのみならず、住居などのスペースにおいても然り。2年ほど前からコリビング(Co-living)サービスへの注目が高まって以来、コロナ禍の影響も相まって、住居シェアリングがライフスタイルの選択肢として、徐々に市民権を得始めている状況だと言えるだろう。
当メディアでも、定額制コリビングサービスである「HafH(ハフ)」や、多拠点居住プラットフォームの「ADDress(アドレス)」の動きについて報じてきた。
そんな中、今回新たに、自然の中にもう一つの家を持てるサブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」が発表され、4月15日より初期会員の先行申し込みを開始した。
運営するのは株式会社Sanu。⼈と⾃然が共⽣する社会の実現を⽬指して、「自然に触れ合う人を増やし、好きになってもらうこと。」と「自然への負荷を最小限にした開発を行うこと。」という、2つのアプローチを実践しているスタートアップである。
同社の独自調査によると、首都圏在住の30代〜50代男女(N=517)の約8割が「今後、自然との接点を増やしていきたい」と回答しており、都市への集中トレンドに反して、多数の人々の中で潜在的に「自然を取り入れていきたい」というニーズが高まってきていることがわかったという。
とはいえ、交通費をかけて遠方まで行き、ホテルに泊まるというのは時間的にも費用的にも持続的ではない。また、別荘を購入するのもハードルが高い。
そこで同社は、多くの人々が日常生活の中で自然に触れ合い、海や山の近くで生活を営む体験ができる施設として、セカンドホーム・サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home」を開発した。
これは、会員登録制(初期費用0円・月額料金制)で、都心からのアクセスが良い自然立地に作られた「SANU CABIN」に、好きな時に滞在することができるというもの。
「SANU CABIN」とは、「住・働・遊」すべてを可能にする全棟独立したプライベートキャビンで、木で囲まれた温もりのある室内空間と、薪ストーブ、高さ3.5メートルの大きな窓が特徴の、SANUブランドによるオリジナル居住空間だ。
普段の生活をしながら都心では味わう事ができない自然を近くで感じることができるよう、家具や家電、アメニティはもちろん、ワークデスクや高速Wi-Fi、 スピーカー、スクリーン 、 薪ストーブ、バーベキューコンロといった「自然の中で日常生活を営む」ための十分な機能が備わっているという。
【施設概要】
収容人数:最大4名(ダブルベッド2台)
面積:室内60㎡+テラス13㎡
設備およびアメニティ:
冷蔵庫 / 食器・カトラリー / 調味料 / 調理器具 / シャンプー・リンス・ボディーソープ / ドラム式洗濯機 / ドライヤー / タオル / 歯ブラシ / 高速wifi / バーベキューコンロ / スピーカー / ダブルベッド×2 / アイランドキッチン / ダイニングデーブル / ワークデスク / 薪ストーブ / ウッドデッキ / スマートロック / スクリーン
このSANU CABINを、Sanuと共に開発を進めているのが、安齋好太郎氏が率いる建築チーム、株式会社ADXである。同社の理念が「自然と人を繋ぐ」であり、互いに信じる哲学を同じくすることから、このプロジェクトが始まったという。
まずメインの建築資材だが、日本の森の間伐を促進するため、国産木材を100%使用しており、石油燃料由来のコンクリートの使用を最小化している。その他にも瓦の廃材を活用した素材やインテリアにキノコを原料とした人工レザーを採用するなど、原料・素材の細部まで徹底的にサステナブル要素が盛り込まれている。
また資材のみならず、その工法も工夫されており、SANU CABINでは地中に杭を打ち込む基礎杭工法を採用することで、土壌への負荷を軽減している。加えて、ほぼすべての部品を一つひとつ簡単に分解できるように設計しているので、建てて終わりのスクラップ&ビルド型ではなく、部材を交換しながら建物の維持管理を長期的に行なったり、2週間で解体し別の場所に再建築できるようなサーキュラー型の建築仕様ともなっている。
これらの取り組みにより、従来型の建築に比べて工期が50%短縮し、廃棄物が削減され、CO2排出の30%削減、コンクリート使用も80%削減を実現している。つまり、自然環境への負荷を最小化したサステナブルな居住空間というわけだ。
このSANU CABINを利用する際は、初期費用が無料でスマホで簡単に会員登録ができ、滞在の予約やチェックイン・チェックアウトも全て会員専用アプリで行うことができる予定となっている。
直近での展開予定地は以下の通り。
白樺湖(長野県)、みなかみ(群馬県)、北軽井沢(群馬県)、山中湖(山梨県)、河口湖(山梨県)、八ヶ岳南麓(山梨県)、白馬(長野県)、熱海(静岡県)、那須(栃木県)、館山(千葉県)、いすみ(千葉県)、一宮(千葉県)、鴨川(千葉県) 他
※順不同
いずれも都⼼から約1時間半〜3時間で到着する国立公園や国定公園に近接しており、国内有数の雄大な自然の中で過ごすことができるようになっている。
総開発費用およそ20億円の投資の下で、まずは2021年度内に5拠点(40棟)のオープンを予定しており、その後、2022年夏頃までに新たに5拠点をオープンさせ、計10拠点(90棟)を展開する計画だという。上述の中でどの拠点がいつオープンするのかについては、2021年4月時点では明らかになっていない。
なお、料金プランとしては月会費55,000円(税込)が予定されており、これに加えて金曜日〜日曜日および祝日、祝前日に宿泊する場合は、1泊1部屋 5,500円(税込)が追加でかかるという。
つまり、祝日および祝前日を除く月曜〜木曜に宿泊する場合は、月額55,000円で泊まりたい放題ということになる。また、 1室につき4名までは、追加料金無く宿泊が可能とのことで、少人数スタートアップの合宿のほか、ファミリー単位でのワーケーションとしての利用にも良いだろう。
そのほか料金プランの詳細については、こちらを併せてご覧いただきたい。
上述のような展開に先立ち、2021年秋(9月予定)の「SANU 2nd Home」サービス開始に向けて、まずは初期会員の先行申し込みがスタートしている。受付期間は【2021年4月15日〜2021年7月31日】で、申込者からの抽選という形で2021年8月に会員本登録の案内を送るという。あくまで抽選であり、先着順ではない点がありがたい。
▼申し込み・詳細は以下
これまで提供されてきたコリビングサービスは、既存の居住空間を生かす形でサービス展開されてきたわけだが、今回の「SANU 2nd Home」サービスでは、「Live with nature. / 自然と共に生きる。」コンセプトを体現するためのSANU CABINをゼロから開発・建設していく点が、非常に新しいと感じる。
自然と都市という2軸を前提にしつつ、自然については様々な場所を転々とすることだってできる。そんな “マルチ・デュアルライフ” なる生き方が、ニューノーマルにおける一様式として注目されてくのかもしれない。
最近「自然が足りていない」「土に触れれていない」と感じている方は、まずは抽選に申し込んでみてはいかがだろうか。