LoveTech Media編集部コメント
バングラデシュで進められている「緑豆プロジェクト」をご存知だろうか。
バングラデシュの農民が育て、栄養価の高い食材として現地で食されている”緑豆”の生産性を、日本の技術で安定的に向上させ、同国内で販売するだけでなく、日本に供給しようというプロジェクトである。2014年10月から取り組みが始まっているものだ。
プロジェクト発足の背景としては同国の食料および経済事情がある。バングラデシュは国民の大半が農民という農業国であるにもかかわらず、地方の農村と農民に貧困が多く見受けられており、農村での雇用の創出と住民への栄養価の高い食料の提供が同国において急務となっている。また日本としても、この緑豆は「もやし」の原料として欠かせない存在だが、そのほとんどを海外からの輸入に依存しており、近年の世界的な食料価格高騰により他の穀物同様、緑豆も大幅な価格上昇に見舞われているという事情がある。
この緑豆プロジェクトを推進しているのが、euglena GG Ltd.(以下、グラミンユーグレナ)。バングラデシュ人初のノーベル平和賞に輝いたムハマド・ユヌス博士率いるグラミングループと、「人と地球を健康にする」ことを理念に持つユーグレナ社が、日本の食料事情改善とバングラデシュで貧困に苦しむ農村地区の所得向上や生活改善を目指すユヌス・ソーシャルビジネスの一環として設立した合弁企業である。
そしてこの度、ユーグレナ社と国際連合世界食糧計画(以下、WFP)が事業連携に関する覚書を締結したとのことで、グラミンユーグレナが行う「緑豆プロジェクト」を通じて、バングラデシュ小規模農家の生計向上支援、およびロヒンギャ難民への食料支援推進を目指すという。
これは、ユーグレナ社が2014年4月から実施している「ユーグレナGENKIプログラム」(バングラデシュで現地NGO等と協力して子どもたちにユーグレナクッキーを配布する取り組み)や、その経験からさらに、栄養価の高い特製ユーグレナクッキー20万食分をロヒンギャ難民キャンプへ届けたという実績およびノウハウが評価されたことによるもの。
今回の事業連携により、ユーグレナ社とグラミンユーグレナはWFPとともに、バングラデシュの小規模農家に対する緑豆の栽培技術移転、およびロヒンギャ難民に対するEバウチャー(※)を活用した食料支援を行う予定だという。
※Eバウチャー:WFPがロヒンギャ難民の情報をカード(Eバウチャー)に登録し、同カードに毎月定められた金額を入金することで、ロヒンギャ難民がWFPと提携した地域小売店から食材を購入することを可能にするシステム。
WFPはユーグレナ社への活動資金として2年間で200万USドル(約2.2億円)を提供し、グラミンユーグレナからの緑豆の購入と、その緑豆を用いたロヒンギャ難民に対するEバウチャーを活用した食料支援を実施する。またユーグレナ社とグラミンユーグレナは、バングラデシュの小規模農家に対する緑豆栽培技術習得のためのトレーニングを実施する。
「人と地球を健康にする」ことを目指した本取り組み。
小規模農家の持続可能な生計能力向上およびロヒンギャ難民の健康状況改善を目指すという、グローバルな規模でのLove Techなプロジェクトとして、当メディアとしても本プロジェクトの状況を追って参りたいと思う。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充、以下ユーグレナ社)と、ユーグレナ社とムハマド・ユヌス博士率いるグラミンクリシ財団※1が運営する合弁会社euglena GG Ltd.(本社:ダッカ、Co-CEO:佐竹右行、以下グラミンユーグレナ)は、ユーグレナ社と国際連合世界食糧計画(World Food Programme、以下WFP)が、事業連携に関する覚書を本日付けで締結したことをお知らせします。
今回の事業連携により、グラミンユーグレナがバングラデシュ共和国(以下バングラデシュ)にて行う緑豆栽培事業「緑豆プロジェクト」を通じて、バングラデシュ小規模農家の生計向上支援、およびロヒンギャ難民※2への食料支援推進を目指します。
バングラデシュでの調印式にて
グラミンユーグレナは、バングラデシュ農村での雇用創出と収入増加を実現するため、日本の農業技術を用いてバングラデシュで多く食されている緑豆の栽培を支える「緑豆プロジェクト」を、ユーグレナグループの一員として2014年10月より行っています。
ユーグレナ社は、バングラデシュにて現地 NGO 等と協力して、子どもたちにユーグレナクッキーを配布する「ユーグレナGENKIプログラム」を2014年4月より実施しています。2017年12月には、その経験を活かし、バングラデシュ政府とダッカ大学の学生の支援のもと、栄養価の高い特製ユーグレナクッキー20万食分をロヒンギャの難民キャンプへ届けました。
そしてこの度、上記の実績・ノウハウが評価され、日本企業として初めて、ユーグレナ社がWFPの事業連携のパートナーとして採択されました。今回の事業連携により、ユーグレナ社とグラミンユーグレナはWFPとともに、バングラデシュの小規模農家に対する緑豆の栽培技術移転、およびロヒンギャ難民に対するEバウチャーを活用※3した食料支援を行う予定です。なお、ユーグレナ社は、WFPバングラデシュより2年間に渡って合計200万USドル(約2.2億円)の活動資金を受領※4する見込みです。
今後もユーグレナ社とグラミンユーグレナは、「人と地球を健康にする」ことを目指し、小規模農家の持続可能な生計能力向上およびロヒンギャ難民の健康状況改善を目指してまいります。
※1:2006年ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士が設立した財団。
※2:バングラデシュ南東部コックスバザールにはミャンマーから避難民の大規模流入が発生、現在約100万人が避難生活をしている。
※3:WFPがロヒンギャ難民の情報をカード(Eバウチャー)に登録し、同カードに毎月定められた金額を入金することで、ロヒンギャ難民がWFPと提携した地域小売店から食材を購入することを可能にするシステム。
※4:2019年1月6日に在バングラデシュ日本国大使館とWFPとの間で、供与額500万USドル(約5.5億円)の無償資金協力「バングラデシュ小規模農家への生計向上支援及びミャンマーからの避難民への食糧支援計画」に関する書簡の交換が行われたことによるもの。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_006951.html
詳細は以下の通りです。
WFPとユーグレナ社の事業連携について
■事業連携に関する関係図(予定):
■事業期間:
2年間(2019年1月15日~2021年1月14日)
■各社の役割:
○国際連合世界食糧計画(WFP)
・ユーグレナ社への活動資金提供(2年間で200万USドル(約2.2億円))
・グラミンユーグレナからの緑豆の購入と、その緑豆を用いたロヒンギャ難民に対するEバウチャーを活用した食料支援
○ユーグレナ社・グラミンユーグレナ
・バングラデシュの小規模農家に対する緑豆栽培技術習得のためのトレーニングの実施
「ユーグレナGENKIプログラム」と「緑豆プロジェクト」について
・「ユーグレナGENKIプログラム」
ユーグレナ社は、2014年4月に世界の子どもたちに栄養を届けることを目的に「ユーグレナGENKIプログラム」を立ち上げました。栄養改善が必要なバングラデシュの小学校に給食としてユーグレナクッキーの配布を開始し、58校、約1万人の子どもたちに、平均週5日ユーグレナクッキーを配布しています(2019年1月末時点)。https://euglena.jp/genki/
・「緑豆プロジェクト」
グラミンユーグレナは、バングラデシュ農村での雇用創出と収入増加を実現するため、日本の農業技術を用いてバングラデシュで多く食されている緑豆の栽培を支える「緑豆プロジェクト」を、ユーグレナグループの一員として2014年10月より行っています。現在、バングラデシュの6,331人の農家たちが緑豆を育てています(2019年1月末時点)。https://www.euglena.jp/business/grameen/
株式会社ユーグレナについて
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を行うとともに、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っています。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月東証1部に市場変更。経営理念は「人と地球を健康にする」。https://euglena.jp
グラミンユーグレナについて
ユーグレナ社とムハマド・ユヌス博士率いるグラミンクリシ財団による合弁会社で、2014年10月より、貧困に苦しむ農村地区の所得向上や生活改善を目指したソーシャルビジネスとして、もやしの原料となる緑豆栽培「Mungbean Project(緑豆プロジェクト)」に取り組んでいます。世界で初の農業分野におけるソーシャルビジネスの取り組みです。
以上