安全・長寿命・省エネを実現する世界初の交流電池(AC Biode株式会社)
AC Biode株式会社 Co-Founder & CEO 久保直嗣(くぼ ただし)氏
おそらく世界で初めて、電池を”交流”化する事業を展開しているのがAC Biode株式会社である。
どういうことか。
そもそも世の中の電気は大きくは2つ、直流(Direct Current:DC)と交流(Alternating Current:AC)に分けることができる。違いを簡潔に記載すると、時間が変化しても電圧が一定である電気が直流で、逆に電圧が時間と共に変化する電気が交流である。直流を使った電気製品の代表格が電池であり、一方で交流を使ったものとしては家庭用電気などがある。つまりコンセントだ。
このように、世の中の電池は全て直流であるのだが、既存の電池には様々な問題があるという。電池の容量が不足しており、新しいタイプの電池開発に何年も多額の投資が必要で、かつ安全性にも課題がある。
さらに、例えば電池を充電するときのコンセントは交流であるし、その電池を使ってモーターを動かす際は、モーターもほとんどは交流である。一方で真ん中の電池は直流なので、この直流と交流とで変換する際に、最大で35%程度の電気ロスが発生しているのだという。
そこから、そもそもACの電池ってなんでないのか?という疑問から生まれたプロジェクトが、同社の起源だという。ちなみに、「Biode」という言葉は同社の造語であり、Anode(アノード:外部回路から電流が流れ込む電極のこと)にもCathode(カソード:外部回路へ電流が流れ出す電極のこと)にもなるという意味で「Bi」をつけた名称にしているという。
同社は上図のように、AnodeとCathodeの間にBiodeを挟み、スイッチングによるオン・オフで1サイクルの電池を開発した。こちらは特許申請済みだという。
こちらがプロトタイプ。シード資金の調達に成功したので、これを大型化し、電気自動車やドローンに活用できるものを開発していくという。
利点としては大きく5点ある。
・30%ほどコンパクトになる
・既存の材料や製造ラインを活用できるので開発コストが削減できる
・より安全
・バラバラな電極品質を平均化するので、より長寿命で安全である
・最大25%、従来の電力ロスを削減できる
用途としては、先ほど記載した電気自動車やドローンのみならず、Eスクーターや再生可能エネルギーの蓄電用、さらには将来的には空飛ぶ自動車などにも活用したいという。
地球上の電池が全て同社の開発した交流になると、それだけで世界の電気のロスが最大25%削減されるとは、なんて壮大なLoveTech事業だろうか。
なお、今回のピッチに登壇した目的としては、電気回路や電池の技術者を探しているとのことである。心当たりのある方は、ぜひ連絡してみてほしい。
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