石灰石から作る革命的新素材LIMEX(株式会社TBM)
株式会社TBM パラダイムチェンジャー 岩元颯(いわもとりゅう)オリビエ氏
革命的新素材「LIMEX(ライメックス)」の開発、製造、販売を行なっているのが株式会社TBMである。
このLIMEXとは何なのか。
一言で表現すると、炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合材料である。
専門知識のある方でないと理解が難しいと思われるので、つまりはどういうものかと言うと、「紙・プラスチックの代替となる日本発の新素材」である。
まずはこちらの動画をご覧いただきたい。
そう、LIMEXとは、「石灰石」を主原料とした新素材である。
日本でも100%自給自足できる資源であり、世界各地の埋蔵量も豊富でかつ高効率でリサイクルも可能なため、ほぼ無尽蔵と言っても過言ではない資源なのだ。
TBMでは、この新素材を活用して、実に様々な製品をLIMEX製に代替させている。
LIMEXの紙代替製品(2019年5月7日時点LIMEXホームページより)
LIMEXのプラスチック代替製品(2019年5月7日時点LIMEXホームページより)
LIMEXは、紙と比べて、大量に必要となる水や木をほとんど使わないで生産出来る(代わりに使うのは、石灰石と少量の樹脂だ)。
このことから、以下3つの地球課題に挑んでいると言える。
・水・森林資源の保全(2050年には世界人口の40%が深刻な水不足)
・海洋プラスチックごみ(2050年には海洋中のマイクロプラスチックごみが魚の総重量を超える)
・気候変動問題(2050年には気温が1℃上昇することで、99%のサンゴ礁が減少する)
出典:LIMEXホームページ
LIMEXは、単なる素材の原料化、その再利用であるリサイクル(再循環)ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを最終的な目的とした持続可能なモノづくりである「アップサイクル」を可能にするものである。具体的には、紙の代替製品となるLIMEXシート製品からプラスチックの代替製品の原料となるLIMEXペレットを製造し、プラスチック代替の成形品をつくるという工程だ。
このアップサイクルにおける「つかう」「あつめる」「つくる」という各プロセスにおけるパートナーを、企業のみならず市区町村や大学など様々な団体から広く募集し、エコシステムの輪を広げているという。
地球資源の課題に真っ向から立ち向かうリアルテックな取り組みとして、非常にLoveTechな事業である。
初のGreenTechピッチイベントを終えて
ピッチ終了後は、懇親会の時間である。ピッチ登壇者とピッチ視聴者との交流を通じて、新たな仲間やビジネス展開のきっかけとなる。
初回ということでアンテナの高い方々が集まっており、それぞれのピッチ内容についての熱い議論が各所で行われていた。
最後に、イベントを終えられての感想について、冒頭でコメントをいただいたGreenTech Labsの高橋氏に再度お話しいただいた。
「実は昨年12月末に、GreenTech Labsとして初めてミートアップ・イベントを開催しました。様々なグリーンテック企業の方にご参加いただけたのですが、そのあと、集まって飲んで終わりだと少しもったいないかもしれないと感じました。
イベントを通じてもっと企業の支援が出来るような仕組みにしてみたいと考え、今回のピッチイベントを企画しました。
僕がこの活動をやっている根本的な動機のきっかけは、3.11(東日本大震災)になります。
あれが起きるまで、僕を含めて多くの人は、電力というものについてほとんど自分事として考えていなかったのではないかと思っています。それは、地球資源についても通じている部分だと思います。
このような大きな課題に対して、様々な関わり方がある中で、スタートアップを通じて解決を試みるというアプローチを広げたいと思い、GreenTech Labsを運営しています。
このGreenTech Labsを一つの入り口として、今回登壇された企業を知ってもらって、ファンになって、場合によっては一緒に事業を進める人が生まれたらいいなと思います。」
編集後記
エネルギー含めた地球資源は、生活の根底となる「あたりまえ」になっているからこそ、その希少性を忘れがちです。
例えば水。
TBM社のピッチにもありました通り、2050年には世界人口の40%が深刻な水不足に陥ることが予測されるなど、資源が有限であることによる市民生活の限界は、刻々と近づいてきています。
まさに、水がブルー・ゴールドとして、石油以上に希少なものになるかもしれません。
では、私たち一人ひとりはどうしたら良いのか。
そのような問題提起をする場として、そしてそのような大きな課題に立ち向かうプロジェクトを知る場として、今回のようなイベントは非常に有意義だと感じます。
興味のある方は、ぜひGreenTech Labsコミュニティに参加されてみてはいかがでしょう。
『GreenTech Labs』詳細についてはこちらをご覧ください