2019年11月14日・15日と2日間に渡って開催された、日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。
毎年開催される本イベントは今年でなんと9年目。海外・国内の豪華ゲストスピーカーが登壇するほか、会場展示などコンテンツ盛りだくさんだ。
大勢の来場者で賑わうメインホール
特に今回も注目されたのが「Startup Battle」。書類審査によって選出されたスタートアップ企業がプロダクトをプレゼンテーションし、将来性ある優秀な企業を選出するプログラムである。
今年は約130社の応募から、20社のスタートアップが選出、14日に決勝大会ファーストラウンドが開催され、その中からさらに、審査員および会場投票で選ばれた6社が、15日にファイナルラウンドに進出した。
昨年度は昆虫テクノロジー企業の株式会社ムスカが優勝し、同社にとってその後の資金調達や仲間集め、そして昆虫産業の旗手としての立場の礎となった場であったことは、記憶に新しい。
昨年の優勝者およびファイナリストとして登壇する流郷綾乃氏(写真右:株式会社ムスカ 代表取締役CEO)と神林隆氏(写真中央:株式会社Eco-Pork 代表取締役)
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/20181119tcstartupbattle/”]今年度のStartup Battleについて、LoveTech Mediaでは優勝企業含め、登壇企業の中でも特に「愛に寄り添っている」と感じた8社についてご紹介し、最後に会場内のブース出展企業で、同じく愛に寄り添っている」と感じた5社についてレポートする。
音声解析AI搭載型クラウドIP電話のRevCommが優勝
優勝スピーチをする株式会社RevComm 代表取締役 會田武史氏
今年の最優秀賞に選出されたのは、電話営業や顧客対応を可視化する音声解析AI搭載型クラウドIP電話『MiiTel(ミーテル)』を開発・販売する株式会社RevComm。
「新たなコミュニケーションの在り方を創造し、世界に変革をもたらす」というミッションのもと、AI × Voice × Cloudを駆使して設計されたMiiTelは、電話営業や顧客対応において、担当と顧客が「何を」「どのように」話しているかを可視化してくれる。
具体的には、会話の内容が顧客情報と紐付けられた上でクラウド上に自動録音され、それをAIがリアルタイムで解析。スコアリング等の見える化によって「どこを改善したら良いか」を定量的に分析・フィードバックしてくれ、成約率の向上と、解約率および教育コストの低下に繋げてくれるという優れものだ。
これまで営業の現場では、担当者と顧客のコミュニケーションがブラックボックス化しており、どうしても労働集約型の属人的な業務となってしまっていたが、MiiTelを導入することで「営業トークの定量的可視化」が実現し、より優秀な営業マンに寄せる形で「セルフ・コーチング」まで行うことができる。
現時点では「営業(Sales)」という領域での展開がメインとなっているが、同社の強みが「音声解析(Voice Analysis)AI」にあるため、今後はカスタマーサクセス(CS)や人事(HR)領域など、様々な領域での展開を想定。日本のみならず、海外展開を前提に動いているという。
編集部が選ぶ、LoveTechだと感じたピッチ企業7選
ここからは、LoveTech Media編集部による勝手なチョイスとなるが、特に「愛に寄り添っている」と感じた企業7社についてお伝えする(順不同)。
カイコを使ってワクチン等を早く大量生産 by.KAICO株式会社
ピッチをするKAICO株式会社 代表取締役社長 大和健太氏(写真右)
九州大学農学部と工学部の技術を基に、昆虫のカイコを使ってバイオ医療品・ワクチンをどこよりも早く大量生産する技術を擁する大学発バイオベンチャーが、KAICO株式会社だ。
昨今、国内外を問わず移動効率が劇的に下がっているからこそ、感染症や未知の疫病のパンデミックリスクも増大していると言える。その際に重要となるのが治療薬であり、予防のワクチンであるが、ワクチンの大量生産には0.5年〜1年ほどの期間が必要となり時間がかかる。また、感染症等が頻発する発展途上国にこそワクチンが必要であるが、経済的な理由からなかなか流通していないのが現状だ
そこで注目されているのが、同社の持つ“サラブレッドなカイコ”を活かしたコア技術。九州大学で約100年間継代飼育してきた近交系カイコの中から、特にウイルス感受性の高いカイコを使用している。近交系保存品種数としては約450系統にも上るというから驚きだ。
この九州大学発オリジナルカイコを利用し、「カイコ・バキュロウイルス発現法」という組換えタンパク質生産系を用いて、再生医療用研究試薬やワクチン、診断薬など、潜在需要がありつつ低コスト生産が実現できていない難発現性タンパク質を大量生産できる生産プラットフォームを構築しているという。このプラットフォームを製薬会社等に「共同開発契約」という形で提供し、協働することで、新しい医薬品や試薬等の開発を加速させるという。
同社代表の大和氏によるプレゼン中、カイコを「1頭」と表現するタイミングがあった。ピッチ後に審査員が「1匹ではないのか?」と確認すると、「カイコの、家畜としてのリスペクトを込めて1“頭”と表現しています」とのことであった。
ユニークで愛溢れるリアルテック企業が、今年もTechCrunch Tokyoに出場されたのは、嬉しい限りであった。
お金に関する「家族の中間地点」を作る by.株式会社OsidOri
株式会社OsidOri 代表取締役CEO 宮本敬史氏
年々増える“共働き夫婦”のために最適化された、お金の管理・貯金アプリ『OsidOri』を提供する株式会社OsidOri。
ミレニアル世代の共働き夫婦のお金のルールは、ダブルインカムゆえに「家族のお金も、個人のお金も両方大事」という意識が強くあり、それゆえに昔ながらの「お小遣い制」ではなく、共通口座にお金を入れあったり、家賃や食費等の費目を担当制にする「分担制」が一般的となっている。
しかし、この管理がしっかりとできる、共働き夫婦にフィットした解決策/サービスがないのが現状と言える。1人用家計簿アプリを夫婦で利用すると個人の購買情報が丸裸でプライバシーを守れないし、家族分の支出の領収書を都度とっておき月末に精算するのも手間だ。
そんな家庭内の“お金”問題を、シンプルに解決するのが『OsidOri』である。お金に関する「家族の中間地点」を用意するというコンセプトのもと、口座の入出金やクレジットカードの支出が自動で反映され、夫婦のお金はシェアし、自分のお金は個人ページで管理するという、プライバシーを担保しながら共同管理ができる仕様だ。
また、家族旅行や子どもの教育費用といった目標貯金、いわゆる“夫婦貯金”を一緒に始めることもでき、わざわざ個別の口座を作ることなく、簡単に共同貯金を開始することができる。
このように家庭内金融をOsidOriプラットフォーム上で分解し、各種金融関連事業者との連携(API接続等)を通じてシームレスでワンストップな管理を実現することで、家庭にとってお金の管理や見える化ができる点はもちろん、各事業者にとっても新たなる顧客接点を創出できる点で、三方よしのFinTechサービスと言えるだろう。
リアルな「スマートクリニック」プラットフォーム by.株式会社Linc’well
株式会社Linc’well COO 氷熊大輝氏
アナログ運用が目立つクリニック業界において、IT武装した「スマートクリニック」をプロデュースし、現場オペレーションとTechを一体化しての開発を進めるのが、株式会社Linc’wellである。
今多くの医療現場では、アナログ立脚のオペレーションに起因した課題が噴出している。予約が取れない、長い待ち時間、現金決済のみ対応、薬局でも同じく長い待ち時間等。挙げ始めたらきりがない。
では、なぜ現場のデジタライゼーション改善が行われないかというと、全国のクリニックが「高齢者による高齢者のサービス」となっているからだという。全国の開業医10万件のうち約95%が個人経営であり、医師の80%、患者の75%が、それぞれ50代だということから、Techの導入なんて難しそうだしお金もかかりそう、ということで後回しになっているのが現状と言える。
そんな現状打破のため、同社がとった戦略は「ゼロから設計したスマートクリニックを立ち上げていくほうが早い」というものだった。具体的には、2018年10月に、まずは第1号店として田町(東京都港区)に「クリニックフォア田町」を立ち上げた。
クリニックにおける予約、問診、診療(電子カルテやオンライン診療システム)、キャッシュレス対応会計までを全てシームレスにつなげることで、患者の来院から退院までの時間が極端に短くなったという。最短で6分、平均でも15分だというから驚きだ。
また、医療事務・看護師・医師のオペレーションの手間も大幅に削減しており、グループ内でのカルテ情報共有が前提となっていることから、コミュニケーションコストも最小限で済む設計となっている。
今後はさらに拠点となるクリニック店舗を増やしていくことと併せて、患者データの集約化とAI分析を通じて、オフラインとオンラインを駆使した独自の医療プラットフォームを構築していく想定だという。
15分程度の通院時間で済むと思えば、数時間の余裕を持たせた時間調整が不要となり、病気の悪化も最小限に食い止めることができるだろう。
AIが恋のアドバイスをしてくれる福利厚生サービス by.株式会社AILL
ピッチをする株式会社AILL代表取締役 豊嶋千奈氏(写真右)
AIが、気になる相手とのコミュニケーションに寄り添ってアドバイスしてくれる。そんな恋愛ナビゲーション付き恋活・婚活チャットアプリ『Aill』を提供するのが株式会社AILL(エイル)だ。
同社では「人と人とのコミュニケーション方法」のアルゴリズムを設計し、人間関係を円滑にするAIの開発を進めている。北海道大学の川村秀憲教授や、はこだて未来大学の松原仁教授、東京大学の鳥海不二夫准教授といったAI開発のエキスパート達がプロダクト開発メンバーとして協力されており、AIが恋愛をサポートする世界の構築に向けて研究開発を進めている。
コミュニケーションとは難しいもので、同じ相手でもタイミングを逸すると、付き合えたものも付き合えない、なんてことはザラである。Aillでは、AIがチャットメッセージに沿って具体的なアドバイスを与えてくれる。
デートに誘うタイミングや盛り上がる可能性の高い話題の提供など、実際に出会う前に効率良く相手を知ることができるアシストを惜しまない。
また、やりとりを通じて気になった人の、ユーザーに対する好感度をAIが可視化してくれ、効率的に異性にアプローチすることができ、またユーザーの背中を押してくれる。
こちらは「企業の従業員」向けに提供される、福利厚生サービスとして提供されており、従業員のワークライフシナジーを高める「ライフサポートサービス」として、すでに複数の大手企業が利用を開始ないしは検討を進めているようだ。
フリーランスの資金繰り問題を解決 by.yup株式会社
yup株式会社 代表取締役社長 阪井優氏
手数料10%で、最大2ヶ月弱先に支払われる報酬等を即日受け取れる、フリーランス向け報酬即日払いサービス『yup(ヤップ)先払い』を提供するのがyup株式会社だ。
フリーランスで仕事を受けている方ならお分かりだろうが、仕事の報酬を受け取るのが、1ヶ月や2ヶ月後なんてのは当たり前である。何故ならば、請求書における請求日の翌月末までの振込が、多くの会社における会計処理のスタンダードとなっているからだ。
例えば11月1日の請求日付で請求書を発行した場合、そのお金が自身の口座に振り込まれるのは、60日後の12月31日となるわけだ。この60日という期間での資金繰りやそれに伴う機会損失こそが、フリーランスにとっての大きな悩みと言えるだろう。
そんなフリーランスのペインポイントを解決するサービスが、『yup(ヤップ)先払い』である。入金前の請求書を発行し、その情報をyupに登録することで、審査時間わずか60分で取引先から入金がなされ、yupを通じて口座に振込がなされるという。手数料は申請金額の10%のみ。
一般的にこういったファクタリングには数種類の紙書類が必要であり、準備に相応の工数がかかってしまうものだが、『yup(ヤップ)先払い』ではこういった書類が一切必要ないことが、大きな特徴となっている。
今、グローバルレベルで金融包摂型FinTechスタートアップが注目されており、我が国でもまさにフリーランスを中心とした働き方の多様性が進む中で、この「資金繰り問題」が顕著になりつつある。
和製金融包摂サービスとして、フリーランス以外にも、様々な働き方における「お金」問題を解決するプラットフォームとしてのポテンシャルを感じさせてくれるサービスである。
越境型オンライン医療相談システム by.株式会社メディクション
株式会社メディクション 代表取締役 尾崎功治氏
医療情報を多言語化し集約することで、外国籍患者が言語の壁を気にすることなく安心して日本の医療機関を受診できるためのプラットフォーム開発を進めるのが、株式会社メディクションだ。
現在、治療を目的に訪日する外国籍患者は43万人にものぼっており、そのうちの70%が中国からだという。中国では、大学病院か否かによって医療の差が大きいという課題があり、そんな背景から「信頼できる医療」を求めて日本に来る方が多い。
しかし、日本の高度な医療を受けるには、たとえ相談レベルであっても日本への渡航が必要となる。言語・価格・距離・時間の面から大きなハードルがあり、またそこに煩雑な手続きが追い打ちとなって、なかなか進まないことが課題となっている。
一方で、日本の病院としては自費診療である外国人患者は経営の基盤であり、積極的に獲得していきたいと考えていることから、ここにミスマッチが存在しているという。
そんな背景からメディクションでは、国内外様々な医師のネットワークと、その中での医療知識の共有、そして医師監修を含めたAI翻訳技術を活用し、治療・検査を受けたい国で、すぐに受けることのできる環境構築を進めている。
先述した4つのハードルのうち、まずは「言語のハードル」について、同社が有するカルテ翻訳記録を機械学習して自動翻訳するエンジンにより、わずか5秒で中国語から日本語への翻訳を実現するという。
また「価格のハードル」についても、上述の翻訳AIや渡航費用等の削減、医師と患者のマッチングプラットフォーム活用等により、従来の8分の1程度にまで抑えることができるという。
医療の国境をボーダーレスにする「越境型オンライン医療相談システム」として、今後の展開が楽しみなスタートアップだ。
共働きママを助ける「つくりおき」サービス by.株式会社Antway
株式会社Antway 代表取締役CEO 前島恵氏
共働き世帯をターゲットとした料理惣菜配達サービス『つくりおき.jp』を運営するのが株式会社Antwayだ。
OsidOriサービスの際にも記載した通り、現在「共働き世帯」は着々と増えており、昨年1,200万世帯を突破している状況だ。それにもかかわらず、「家事を担うのは女性だ」という性別による固定的役割分担意識のイメージが根強く残っており、働くお母さん達は日々の生活でいっぱいいっぱいである。
特に負担感として大きいのが、日々の食事だ。料理をする時間が取れない反面、子どものいる家庭だと、毎日お弁当や冷凍食品では子どもに申し訳ない、という気持ちにもなる。
「手軽さ」と「安心感」の両立ができている解決策がないのが、現在の家庭の食における課題と言えるだろう。
そんな各家庭の事情を背景に、Antwayが提供する『つくりおき.jp』では、毎週同じ時間に、平日1週間分の手作り料理を届けてくれる。
「時短したい」「子どもに安心・安全なものを食べさせたい」「食べる量や時間、受け取る時間をコントロールしたい」という3つのニーズに対応し、調理をAntwayの自社キッチンで行い、買い物や追加調理が一切必要のない形で手元に届くというわけだ。いや、調味料くらいは好みでかけても良いだろう。
今後はこの食の「ママ向けD2Cモデル」にとどまらず、レシピやキッチン施設を持つ強みを生かした「高級和食つくりおき」などの他ブランドや、生活用品ECなど、多くの顧客接点を生かした商品開発を進めていくという。
編集部が選ぶ、LoveTechだと感じたブース出展企業5選
ここからは、これまたLoveTech Media編集部による勝手なチョイスとなるが、特に「愛に寄り添っている」と感じたブース出展企業5社についてお伝えする(順位不同)。
漁業者とテクノロジーを繋げるMarineTech事業 by.株式会社Salt
株式会社Salt 代表取締役 山口太郎氏
漁業関係者向けオンラインコミュニティ「漁師コミュニティ」や、漁業業界に特化したオープンイノベーションプラットフォーム「FOIP(フォイップ:Fisheries Open Innovation Project)」など、MarineTech(海×テクノロジー)を展開する株式会社Salt。
現状の漁業業界は関係者同士の繋がりが発生しづらい構造になっており、互いの知識共有や協力が不十分であることから構造的な産業課題の解決が難しく、また大学の研究や企業の商品開発も停滞している現状があると言える。
そんな状況を打破すべく、漁業関係者をFOIPホームページ上で繋ぎ、新技術の開発・応用を通して業界全体の課題解決を目指すプロジェクトを展開する、LoveTechな企業だ。
以前、当メディアでも、FOIPリリース時にニュース記事を報じている。
[clink url=”https://lovetech-media.com/news/social/20190809_01/”]ちなみに同社はオンライン上のコミュニティだけではなく、今年5月には漁業関係者向けオフラインイベント「第一回 漁業エキスポ」を開催し、業界全体として話題となった。現在、来年度の第二回開催に向けて鋭意企画中とのことなので、開催概要が固まり次第、当メディアでもお伝えしたいと思う。
人工遺伝子から生成したアイドルを現実デビューさせる by.株式会社ジーンアイドル
株式会社ジーンアイドル 代表取締役社長 小幡拓弥氏
人工遺伝子からGAN(敵対的生成ネットワーク)を用いたAI技術により、アイドルの容姿を生成する株式会社ジーンアイドル。
一言でお伝えすると、世界で一つの容姿と声を持った「架空のアイドル」を生成し、現実世界のアイドル活動にデビューさせることができるという、非常にユニークな事業を展開している。
そう、パソコン内に表示されている女性の顔は、実在する人物ではなく、同社のAI+ブロックチェーン技術を持って生成された「架空のアイドル達」なのである。同社では、彼女達のことを「AIアイドル」と呼んでいる。
もちろん、見た目だけではない。音声合成技術を使って個々のAIアイドル固有の音声モデルを生成し、これらを合成することによって“世界で一つの声”を持ったAIアイドルを生成できる。また、生成された2対のAIアイドルの人工遺伝子を合成させることにより、2対の遺伝子の中間の遺伝子を持った新しいAIアイドルの容姿と声を生成することも可能だという。
生成されたAIアイドルは、対話・メイク・衣装・ダンスなど様々な「育成メニュー」を経て、最終的には仮想芸能事務所を拠点に、現実世界にデビューさせることができる。VR・ゲーム・AI小説家・ライブ・動画配信など、今の時代だからこそ、AIアイドル達の活躍の場は多岐にわたるだろう。
「会いに行けるアイドル」という新しいコンセプトが時代にフィットし、巻き起こったAKB48ブーム。その後続トレンドは、もしかしたら「あなたも作ることができるアイドル」になるかもしれない。
油分カット+捨てたらそのまま土に返る「お皿」 by.Calorica
Calorica COO 岡拓哉氏
料理を食べる際に“過度な油分”を摂取しないよう、余計な油分が縁に流れるような設計で作られた特許構造の「お皿」を展開するCalorica(カロリカ)。
どういうことかというと、以下の動画をご覧いただきたい。
実は同チームは、昨年度のTech Crunchブースでもこちらの「お皿」を展示していたわけだが、今年はさらに新しいプロダクトとして、「捨てたら3〜4週間で土に返る紙皿」として、このデザインを再現することに挑戦中だという。
具体的には「サトウキビの絞りかす」を活用した紙皿で同じ表面デザインとすることで、これまでと同様に余計な油分がカットできるのみならず、家庭内における「お皿を洗う時間」が節約でき、さらには土の上に捨てるだけでそのまま土に返る、という世界観を描かれていた。
紙皿の方はまだ開発中とのことで、まずはサンプル製品の誕生が楽しみである。
“ねこ”のことを考え抜いて作られたスマートトイレ by.株式会社ハチたま
ブース出典されていた株式会社ハチたまのお二人
ねこの体調変化を、専用のスマホアプリから、いつでもどこからでも見守ることが出来る“ねこ専用”スマートトイレ『toletta2』を展開する株式会社ハチたま。
プロダクトの正面奥にカメラが内蔵されているので(写真の黒いポチ部分)、AIがどのねこかを見分けることができ、体重やトイレの滞在時間などに加え、おしっこの量・回数を測定。取得した体重やおしっこなどの健康データをAIが解析して、毎日のねこの状態を飼い主にフィードバックしてくれるという、ねこ好きの方必見のプロダクトだ。
実は当メディアでも以前、ねこにトコトンまで寄り添うLoveTechなプロダクトとして、本社のある片瀬江ノ島まで伺い、取材させていただいた。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/toletta20181023/”]国内での展開はもちろん、最近では海外からの引き合いも多いとのことで、特に今年度から積極的に海外展開を進めているという。
片瀬江ノ島から、グローバル規模のペットテック・カンパニーが生まれることを誇りに思う次第だ。
自治体が主導するCivicTechプラットフォーム by.兵庫県神戸市
兵庫県神戸市 医療・新産業本部 新産業部 新産業課 イノベーション専門官 吉永隆之氏
民間企業のみならず、当日は神戸市 新産業課もブース出展しており、同市が進めるスタートアップエコシステムについてご紹介していた。
神戸市は日本で初めて、シリコンバレーのVC(ベンチャー・キャピタル)である500 Startupsと連携し、スタートアップ育成プログラムである「500 Startups アクセラレーションプログラム」を企画・開催した。
また、市が抱える課題を解決するスタートアップを公募し、選ばれたチームと市の職員が約4ヶ月間一緒に実証実験等を進め、社会実装を加速させる「Urban Innovation Japan」も主催している。つい先日までは「Urban Innovation KOBE」という名称であったが、より広域に連携し、ひいては日本全体で大きなプラットフォームとしての役割を担う存在になりたい、との理由から「Japan」へと名称変更がなされたという。
現にホームページをご覧になるとお分かりだと思うが、神戸市以外にも早速、同県の姫路市で複数プロジェクトが進んでいる状況だ。
ちなみに、今年1月に当メディアで報じたGovTechサービス「ためまっぷ」も、本プロジェクト出身サービスである。
[clink url=”https://lovetech-media.com/news/social/20190129_06/”]自治体が積極的に主導するCivicTechプラットフォームとして、今後の「Urban Innovation Japan」にも注目だ。
TechCrunch StartupBattle表彰結果一覧(受賞企業別・順不同)
《株式会社RevComm》
- TechCrunch Tokyo 2019 Startup Battle最優秀賞
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社「AWS賞」
- 株式会社PR TIMES「PRTIMES賞」
《株式会社Linc’well》
- freee株式会社「freee賞」
- トヨタコネクティッド株式会社「TOYOTA Connected Award」
- 富士通株式会社「FUJITSU ACCELERATOR賞」
- ソネット・メディア・トレーディング株式会社「Ballooon賞」
《オーティファイ株式会社》
- エンジャパン株式会社「engage Award」
- JETRO「JETRO AWARD」
- 株式会社セールスフォース・ドットコム「Salesforce賞」
《KAICO株式会社》
- 株式会社ピーク・ワン「なるほどっ!!賞」
《株式会社エスイーフォー》
- RGFタレントソリューションズ株式会社「RGF Professional Recruitment Japan賞」
《株式会社AILL》
- 株式会社バンダイナムコ研究所「バンダイナムコ賞」
《株式会社スペースエンジン》
- 東急株式会社「東急賞」
TechCrunch Tokyo 2019 概要
日時:令和元年11月14日、15日
会場:渋谷ヒカリエ 9FホールA・B(東京都渋谷区渋谷2-21-1)
URL:https://jp.techcrunch.com/event-info/techcrunch-tokyo-2019/
編集後記
今年もTechCrunch Tokyo 2019、非常に面白かったです。
昨年同様、Startup Battleでピッチをされた企業は、どこもユニークで先進的な事業を展開されており、ピッチ後にスマホやPC・タブレットで登壇企業をチェックされている来場者も多い印象でした。
スタートアップ・アクセラレートの登竜門として、登壇企業群の今後が楽しみです。
また来年も、Love Tech Mediaとして会場にお邪魔したいと思います。