育児ストレスやリスク家庭の度合いをアンケートから分析しています
--どのような工夫をされているのですか?
草加氏:ご依頼のお子さま情報をきちんと運営サイドでチェックするのはもちろん、最初にご登録いただく際にアンケートをとっており、これでママさんの育児ストレスやリスク家庭の度合いをある程度分析しています。
--アンケートではどのような質問があるのでしょうか?
草加氏:お子さまの健康診断の際にチェックするアンケート項目に似ていて、ほとんどが選択式です。
回答にかかる時間は、トータルで5分程度ですね。
--これは草加さんがお一人で作成されているものなのでしょうか?
草加氏:いえ、弊社の思いに共感して集まってくれた専門家チームで作成しました。
AI技術に詳しい産業技術総合研究所の方やコロンビア大の院生、東京医科歯科大の助教授、アクセンチュアのコンサルタントなど、各分野のスペシャリストに集まっていただいています。
--素晴らしいですね! リスク家庭の度合いを分析されて、何か傾向はありますか?
草加氏:リスク家庭には、大きく分けて2つのパターンがあります。
一つは、ママさんの自己実現欲が非常に強いケースです。育児よりも自分の人生を謳歌することを優先するので、子どもとの愛着関係が築けずネグレクト気味になり、子どもが愛着障害になってしまう可能性があります。
もう一つは、ママさんがとにかくしんどくなってしまっているケースです。こちらは、しんどいのを我慢して育児を続けていくことで、ある時点で潰れてしまい、そのしわ寄せが虐待という形で子どもに及んでしまう可能性があります。
圧倒的に後者の予備軍が多く、ママさんが見えないところで悲鳴をあげていることが、データからもわかってきています。
次は六本木と白金高輪エリアにサービス拡大したいです
--実際に虐待の芽を見つけられた時、他機関と連携はされるのでしょうか?
草加氏:必要と感じた際は、各市区町の子ども家庭支援センターに連絡するよう、ここファミさん(ベビーシッター)に伝えるようにしています。
センターでは心理的虐待やネグレクト、及びその懸念事項のあるケースも含め、18歳未満のお子さんや子育て家庭のあらゆる相談に乗ってくれますからね。
--児童相談所ではないんですね?
草加氏:児童相談所は、虐待が顕在化したケースに対しての対応窓口となります。虐待が目に見えてわかるケースの場合はもちろん児童相談所とも連携する必要も可能性としてありますが、基本的に虐待通報の一次窓口は地域の子供家庭支援センターです。
弊社は主に「リスク家庭」として虐待予備軍の第一発見者となるケースが圧倒的に多く、その場合は、子ども家庭支援センターが相談窓口となります。
--なるほど。現在は恵比寿を中心に活動されていますが、他地域で気になる場所はありますか?
草加氏:次は、六本木や白金高輪のエリアにサービスを拡大していきたいと考えています。
対象エリアを考えるにあたり、不動産会社にもヒアリングして、どのエリアにどのような方が住んでいるか、住民の傾向などを都度リサーチしています。
弊社の経験・データとヒアリング結果をもとに分析すると、これら2つのエリアに住んでいるママさんたちは特に、家にこもってしまう傾向が高いと考えます。つまり、「近隣住民に自分の困ったところを見られたくない」と考える方が多い地域と言えます。結果としてストレスや問題を抱え込んでしまい、「リスク家庭」の温床になってしまっていると分析しています。
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