子どもの笑顔につながる保育コミュニケーションをデザインする「キッズリー」《後編》

インタビュー

多くの現場でICT化されていない現状

--次に各サービスについて伺いたいのですが、そもそも保育園の運営にはどのような課題があるのでしょうか?

森脇氏:例えば登園についてお伝えすると、朝、お母さんから「うちの子が今日お休みします」と保育園に電話があり、電話応対をした保育士さんがホワイトボードに欠席の旨を記載していきます。保育士はそのホワイトボードを見て、自分のクラスの子は誰が休みなのか把握する、という仕組みなんです。

大勢の園児を受け入れながらと考えると、相当煩雑で手間がかかりますよね。

 

--てっきりそこはICT化されているものだと思っていました。

森脇氏:多くの現場でICT化されていないのが現状です。

一方、キッズリーアプリを使うと、スマホボタン一つでお休みか遅刻、遅刻の場合は何時に来れるのか、といった情報を保育園に送ることができます。さらに保育士は、その情報を各クラスごとに一覧で確認することができます。集計もしていて、クラス全体で何人休みかということもすぐに確認できます。「電話をかける」「メモする」「それを確認しに行く」という物理的な手間が省けるわけです。

お迎えの時間も同じで、電話と紙で運用しているところがほとんどです。保護者と保育園、お互いに忙しい時間にこれらの無駄な作業を行うのではなく、アプリのボタンを押すだけで完了できる環境を整えています。

 

--だいぶ登降園時のオペレーションが楽になりますね。あと、キッズリー保育者ケア(以下、保育者ケア)も大きな反響を呼んでいますよね。

森脇氏:保育者ケアは保育士の離職をいかに防ぐかというところにフォーカスした、コンディション診断システムですね。

保育園の経営課題の一つに、”人材の採用と定着”があります。

保育士がひとり減ると、預かれる子どもの数も減ります。例えば1歳児は保育士ひとりに対して3人しか預かれない配置基準のルールがあるので、影響が大きいんですよね。

現状、市場として転職しやすいという背景もあり、保育士はすぐに新しい保育園へと職場を変わられる傾向があります。一方、保育士をひとり採用する毎に、数十万円というコストがかかっています。

この理由から、新規採用ではなく、今いる保育士がいかに長く定着して働いてくれるかという観点が、費用対効果と職場環境醸成の両面で重要と捉え、サービス開発しています。

現場の運営を仕組みでどう担保していくかが重要

--保育者ケアについて、2017年4月のリリース当初と、1年半経過した現在とで感じる効果や、逆に課題などはありますか?

森脇氏:非常に満足度高くお使いいただけていると感じています。

これまで保育士が何に悩んで辞めていってしまったのかずっと分からなかったのですが、僕たちのシステムを通じて、その原因を可視化することができました。それによって今までは気がついたら辞めていってしまった状況が、辞める前のタイミングで園長先生や周囲のメンバーがフォローし、対策を立てることができるようになりました。

離職率が去年の半分にまで落ちた、という保育園もあります。

 

--保育者ケアを使用されている保育士の方々の感想を貴社ホームページで読ませていただいたのですが、本当に求められていて、救いになっているサービスなんだというのが伝わってきて感動しました。

森脇氏:ありがとうございます(笑)

今までは、保育園の運営を「保育士の頑張り」に頼ってしまっていた部分が大きかったのだと感じています。

僕の母も保育士で、昔も今も多くの保育士の方と触れ合う中で、保育士の皆さんは優しくて責任感があるので、「頼むよ」って言われたら「がんばらなきゃな」っていう良心が働く。けれどこれからは、働いてくださる人の頑張りだけではなくて、仕組みとしてどう担保していくのかを考えていくことが重要だと思います。それは、園の関係者だけでなく社会全体で議論を深めるべきです。

次ページ:懸命に努力されている保育園に寄り添いたい

長岡武司

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LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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