赤ちゃんの泣き声ビッグデータによるパパっと育児革命《前編》

インタビュー

 育児とは豊かな体験だ。愛する我が子を育てるのはもちろん楽しいが、同時にしんどいことも沢山ある。多くの方々が、人生でこんなに思い通りにならないことなんてなかった、とおっしゃる。筆者も一児の父であるので、その気持ちは十分すぎるほど分かる。

 例えば、赤ちゃんはよく泣く。昼夜問わず泣く。「赤ちゃんは泣くのが仕事」と言われるが、こんなに泣かれてしまうと「うちの子は何かおかしいのではないか?」「体調不良なのか?」「育て方を間違えているのか?」「公衆の場で恥ずかしいから黙ってほしい」など、ストレスが加速度的に増えていく。

 そんな育児中のパパ・ママに寄り添うアプリが「パパっと育児@赤ちゃん手帳」だ。ごはん・ミルクなどの食事から睡眠、排泄、予防接種までの様々な育児イベントを毎日記録し、家族で共有できる。また、日々の入力されたデータをもとに、食事と排泄のタイミングをアプリが予測し、「空腹」と「オムツの替えもれ」の通知をしてくれるサポート機能もついている。

 そしてこの度、新たに赤ちゃんの「泣き声」を診断する新機能が搭載された。日々、赤ちゃんの泣き声に悩まされるパパ・ママにとって、強い味方となるであろう。

 Love Tech Mediaでは、この新しい「泣き声診断機能」のリリースに併せて、改めて「パパっと育児@赤ちゃん手帳」の思いと今後のビジョンについてインタビューした。開発・運営するのは株式会社ファーストアセント。

 前編・後編にわたり、同社代表取締役CEOの服部伴之氏にお話を伺った。以下、アプリの紹介動画と併せてご確認いただきたい。

 

全従業員リモートワークという、家庭に優しい働き方

 

--本日はよろしくお願いします!「パパっと育児@赤ちゃん手帳」は私の周りでも使っている親御さんが多いです。

服部伴之(以下、服部氏): ありがとうございます。おかげさまでこれまで、30万人以上のパパさん・ママさんにご利用いただいています。

また有難いことに、第8回キッズデザイン賞を受賞させていただいたり、iOS育児記録アプリNo.1を獲得させていただいたりなどして、少しずつ知名度も上がってまいりました。

 

--素晴らしいご実績ですね!もともとこういう、育児関係のお仕事だったのですか?

服部氏:いえ、私バリバリのエンジニアでして、弊社を立ち上げる前はITベンチャーのシステム責任者やCTO(Chief Technology Officer)をしておりました。システムに関して最終責任があるので、仕事で夜遅くなったり、帰れなくなることもしばしばありました。

私には現在娘が2人いるのですが、当時気づいたら子供や妻との時間をしっかりと取れていない自分がいることに気づきまして。もっと家族との時間を大切にした働き方をしたいなと思い、2012年に現在の会社として独立しました。

現在の事業領域としては、パパっと育児@赤ちゃん手帳のような自社アプリ開発事業の他に、クライアントのシステム開発を支援したりコンサルティングをする事業も行っています。

 

--なるほど。今の働き方はいかがでしょうか?

服部氏:独立すると自分次第である程度自由に時間をコントロールできるので、それなりの時間にちゃんと仕事を終えて、家族との時間をしっかりと持つことができています!

(対面でのプロジェクトメンバーMTGの様子)

 

服部氏:弊社、フルリモートでの仕事を推奨していまして、従業員全員がリモートワークをしています。週に1〜2回はプロジェクトメンバーで集まって、顔を合わせてMTGをするようにしていますが、なるべく自由に裁量を持って働いてもらうようにしています。みなさん、自律して動けるはずですから。

 

最初の評価は散々でした

 

--次に、パパっと育児@赤ちゃん手帳を作られた背景について教えてください。

服部氏:もともとは妻の育児中の気づきからですね。ミルクや排泄の時間、その日のメモなど、ノートに記録していたんです。もっとIT化して効率よく記録できないものかと考えまして、色々とスマホアプリを中心に調べました。

育児記録をメモするアプリは他にありましたが、本当にメモするだけ。もっと育児項目ごとに記録しやすくしたものが欲しいと思い、最終的に自分で作ることに決めました。

 

--奥様のオペレーションが原体験だったんですね。最初にご自身のアイデアをお話された時の反応はいかがでしたか?

服部氏:育児記録を見える化しようというコンセプトでアプリを設計したんですが、「ちょっと違うかも」という感じでした。知り合いのママ達にもヒアリングしてみたんですが、気を使って回答をしてくれているのがありありでして、、、。ストレートに言うと、評価は散々なものだったなと(笑)。

 

--評価が散々だったと考えられたのはどうしてですか?

服部氏:育児記録の統計を可視化したら面白いでしょ、って感じで説明するんですが、全然ささらないんですよ。男性的だって。20人目くらいでしょうか。

「男性的な考えですね。でも、実際にグラフとか見れたら便利な気もするし、触ってもらわないとわからないと思いますよ。」と言ってくれた方が出まして、何割の人に支持してもらえるかわからないけど作ってみようと思いました。で、実際に触ってもらったら事前評価から一転、みんなグラフや統計を私以上に見ていたんですよ。使ってみてもらわないとわからないという言い方もできますが、聞き方が悪かったなと反省しています。「見える化、可視化」という言葉は、ママ達に寄り添ったキーワードではないなと。

それ以来、どうやって「リアルな声を聞き出すか」には細心の注意を払っています

 

--今もユーザーさんからのフィードバックは開発の参考にされているんですか?

服部氏:もちろん、定期的にアンケートをとっていまして、新しい機能の反応を見たり、今後の改善のための大事な声として大いに参考にしています。

 

数億件の育児データ解析から見えたもの

 

--それにしても、30万人の方が育児を記録されていると、相当な量のデータになりますね。

服部氏:おっしゃる通り、育児のビッグデータが弊社のデータベースに溜まっています。データ量としては数億件以上に上りますからね。

他社にはない貴重でユニークなデータなので、昨年1月より国立成育医療研究センター研究所さんとの共同研究をスタートさせました。

弊社のビッグデータを解析することで、子どもの成長、発達、生活習慣の多様性など、育児の中でも様々な切り口での育児実態が解明できる、ということを期待しての共同研究です。

実際にほんの一部ですが、以下のような調査結果が出てきました。

 

■深夜の授乳はいつまで続くのか?

調査結果:2ヶ月頃(5〜8週)まで深夜授乳が特に多く、それ以降は徐々に減っていく

母乳のグラフ

ミルクのグラフ

 

■睡眠リスムが安定するのはいつ頃か?

調査結果:5〜6ヶ月ごろ(21〜24週)ごろになると睡眠リズムが安定し、夜の決まった時刻に眠るようになる

 

■赤ちゃんが成長しやすい季節ってあるのか?

調査結果:最も身長が伸びる季節は夏

 

--これは面白いですね!通常のアンケート調査では正確にわからないものばかりで、とても貴重ですね。

服部氏:そうなんです。昔から「子供は夏に身長が伸びやすい」と言われることがありましたが、0歳児の成長の季節差に関する研究は世界的にもありませんでした。弊社の育児ビッグデータを活用した今回の研究で、0歳児の成長にも季節が影響することがわかりました。こういったエビデンスを育児ビッグデータを用いて、これからも作っていきたいです。

 

--育児って、自分にとっては前例がないことなので、「これで正しいのか」という不安は常にあると思います。このような調査結果データがあることで、平均値から離れているのかそうでないのかが分かるのも、育児中のパパ・ママにとっては大きいですね。

服部氏:そういう指標として、ぜひ使っていただきたいと思っています。

これまでは主に入力いただいた文字データを溜めていっての解析だったのですが、今度は赤ちゃんの泣き声という「音声データ」を溜めていって、「この子はなんで泣いているんだろう」ということを可視化したく、この度「泣き声診断機能」をリリースしました。

 

--いよいよ泣き声が解析されるんですね。ぜひ詳しく教えてください!

 

後編記事に続く

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