育児中のパパ・ママに寄り添う「パパっと育児@赤ちゃん手帳」アプリ。前編では、アプリ開発・運営会社である株式会社ファーストアセント代表取締役CEOの服部伴之氏に、アプリ開発の経緯や思いについてお話を伺った。
後編では、いよいよ新機能としてリリースされた赤ちゃんの「泣き声診断機能」について、引き続き同氏に詳しく伺った。
5秒間の泣き声データでわかる赤ちゃんの気持ち
--泣き声って、全てのパパ・ママにとってのお悩みNo.1だと思います。赤ちゃんがなんで泣いているかが分かれば、すごく助かりますね。
服部伴之(以下、服部氏):まさにそういった声がユーザーさんから届きまして、技術的になんとかできそうだなというところから、機能を付け加えることになりました。
「なんで泣いているか分かる」というよりかは、正確には「この理由で泣いている可能性が高い」ことをサジェストする機能です。
--具体的にはどのように操作するのですか?
服部氏:簡単です。
アプリ内に「泣き声」というアイコンがありますので、それを押していただくと録音画面が開き、5秒間の録音がスタートします。
そして5秒経過すると自動的に解析が始まり、解析結果の画面が表示されます。
解析結果としては、現状5項目を用意しています。
「お腹が空いた」「眠たい」「不快」「怒っている」「遊んでほしい」の5つでして、今後のユーザーデータ状況によっては増えていくかもしれません。
この項目で可能性があるものを、パーセンテージ付きで表示しています。
例えばこちらの画面例でしたら、86%の確率で「お腹が空いた」ことによる泣き声です、ということです。
--すごくシンプルですね!
服部氏:機能として、なるべく複雑なオペレーションをさせないように心がけています。赤ちゃんが泣いている時に、複雑な操作はストレスですからね。
2万人の赤ちゃんによる泣き声ビッグデータ
--こちらはどのようにして機能を実現されたのでしょうか?
服部氏:約2万人のモニターユーザの方にご協力をいただき、とにかく多くの泣き声データと泣いた理由を集めてきました。
モニターユーザから頂ける泣いた理由は、実際は親の主観によるものだったりしますので、その辺りのデータの集め方や、解析の仕方でちょっとした工夫が必要だったりしまして、構想2年でようやくサービス公開という感じです。
--具体的にはどういった工夫が必要だったんですか?
服部氏:ここは核心部分に触れるところなので詳細は控えさせていただきますが、最新の論文を参考にして試すのと並行して、当社のビッグデータの解析ノウハウをフル活用してやっています。
--秘伝のタレ的なものですね。ユーザーさんの反応はどうでしたか?
服部氏:今回のリリースってiOS版でして、実はAndroid版には少し前から、しれっと泣き声診断機能を実装していました。モニターの方にはそれを使っていただいていたわけです。そこでの反応は比較的良好でしたね。
Twitterでユーザの方も以下のような内容をコメント頂いてましたし。
パパッと育児ってアプリオススメだよー‼︎
私これで本当助けられたから!!
これに頼りっきりはダメだけどどうしても泣き止まないっ‼︎って時は目安にでもして見て(*´꒳`*)
--僕もリアルタイムで育児中なのでわかりますが、何で泣いているか分からない時の不安とストレスはとても嫌なものなので、こういう形でデータ的に可能性を示してくれるのは、精神的に助かりますね。
服部氏:そうですね。
今の機能ですと、泣き声診断は医療的なエビデンスとかになるようなものではないのですが、一般の人たちの育児ストレスを少しは減らすお手伝いを出来ているのかなと思っています。会社としましては、エビデンスも重要ですが、それ以上にユーザメリットを重視していまして、今後もこのスタンスは変わらないでしょう。
と言いながら、この分野の研究のご相談を頂き始めてもいますので、医療的なエビデンスを今後作っていくような研究をすることになるかもしれません(笑)。
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