LoveTech Media編集部コメント
研究ニーズの高まりや商用化が期待されるマイクロバイオーム。
マイクロバイオーム(microbiome)とは、ある場所に存在する微生物や細菌全体を意味する微生物叢、細菌叢のゲノム情報の総体を含む概念である。ちなみにマイクロバイオータ(microbiota)とは微生物の集団そのもののことであり、いずれにおいても細菌叢か微生物叢のどちらにも訳される。
ヒトと共生する細菌は、腸内だけでなく、皮膚、鼻腔、口腔、食道、胃など、身体の様々なところに存在し、人それぞれ独自の微生物環境、他者とは異なる種類と量の微生物を保有している。
ヒトの健康にはマイクロバイオームの多様性とバランスが重要とされ、このバランスが崩れると病気などのリスクが高まると考えられている。
ヒトを含む動物の腸内の細菌叢は一般的には腸内フローラと呼ばれており、近年注目されている腸活なんかは、この流れを受けてのムーブメントと言える。
近年の次世代シーケンサー技術の進展により、急速に生体のマイクロバイオームの解析が進み、腸内細菌叢が炎症性の腸疾患、リウマチ、アレルギー、喘息、肥満、糖尿病だけでなく、うつや自閉症などの疾患群の発症、さらにがんの発症や免疫療法への反応性に関与していることが示されており、産業としての期待値も高い。
そんな菌叢解析に関するウェブサイト「菌叢解析web」が、みらか中央研究所より、研究者および製薬企業様向けにリリースされた。また、同社で菌叢解析サービスの受託も開始したという。
マイクロバイオーム領域において、研究者や製薬企業様向けに様々な情報提供を行い、菌叢解析サービスの受託も行うことで、予防や治療法の開発といった医療・健康維持に貢献する新たな産業領域の発展に寄与していくことを目指している。
サイトをみてみるとわかる通り、菌叢の乱れと疾患発症の関係や各種論文の紹介など、菌叢について情報が集まり発信されるプラットフォームとなっている。
あくまで目的は研究者や製薬会社向けであるが、社会実装に向けた背景知識取得のため、ビジネスパーソンにもお勧めのサイトであると感じる。
今後の更新にも期待したい。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
当社の連結子会社である合同会社みらか中央研究所(本社:東京都八王子市、職務執行者:小見和也、以下「みらか中央研究所」)は、研究者および製薬企業様向けの菌叢(きんそう)解析に関するウェブサイト「菌叢解析web」を開設し、本領域での学術的情報の提供を開始すると同時に、菌叢解析サービスの受託も開始いたしましたのでお知らせいたします。
1.目的
みらか中央研究所は、現中期計画で掲げた「R&Dの強化」、並びに次世代の事業シーズの継続的な発掘を目的に、2017年7月に設立され、「サイエンスを起点としてライフサイエンス・医療のイノベーションを先導する」というミッションのもと、みらかグループの成長ドライバとなるような研究開発を行っております。
この度、今後研究ニーズの高まりや商用化が期待されるマイクロバイオーム※1領域において、研究者および製薬企業様向けに様々な情報提供を行い、菌叢解析サービスの受託も行うことで、予防や治療法の開発といった医療・健康維持に貢献する新たな産業領域の発展に寄与していきたいと考えております。
なお、みらか中央研究所は、一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム※2に参画し、マイクロバイオーム解析プロトコルの標準化に努めております。
(※1)マイクロバイオーム(microbiome)とは、ある場所に存在する微生物や細菌全体を意味する微生物叢、細菌叢のゲノム情報の総体を含む概念です。マイクロバイオータ(microbiota)は、微生物の集団そのもののことであり、いずれにおいても細菌叢か微生物叢のどちらにも訳されます。ヒトを含む動物の腸内の細菌叢は一般的には腸内フローラと呼ばれています。
(※2)ヒトマイクロバイオームの産業応用の促進・加速を目指した企業によるコンソーシアム。健常及び疾患におけるマイクロバイオーム研究とそのデータベースの構築を目的としており、現在35団体が参画しています。
2.本サイトの概要
● 名 称:菌叢解析web
● 対 象:研究者および製薬企業様向け
● 目 的:高品質な菌叢解析サービスの提供による、新技術・サービスの社会実装の実現
● 特 徴:菌叢解析に関する最新論文および研究情報の掲載
● 主なコンテンツ一覧:
・マイクロバイオームとは
・菌叢の乱れと疾患発症の関係
・みらかの菌叢解析技術
・依頼方法
・論文紹介
・URL:https://www.microbiome.jpn.com/
- 菌叢解析web/トップページ
- 菌叢解析web/「菌叢の乱れと疾患発症の関係」のトップページ
3.菌叢解析サービスの主な特徴
(1)人の検体での臨床研究だけでなく、動物試験(非臨床試験)の検体も受け入れ可能。
(2)臨床検査レベルの体制および品質基準での測定を実施。
(3)基本解析サービス(メタ16S-rRNA解析)に続き、より高度な技術を用いた創薬支援が可能。
(4)臨床ニーズを把握することにより、同時に新しい検査・診断項目の研究開発も行う。
マイクロバイオームとは
ヒトと共生する細菌は、腸内だけでなく、皮膚、鼻腔、口腔、食道、胃など、身体の様々なところに存在し、私たちは人それぞれ独自の微生物環境、他者とは異なる種類と量の微生物を保有しています。ヒトの健康にはマイクロバイオームの多様性とバランスが重要とされ、このバランスが崩れる(ディスバイオシス)と病気などのリスクが高まると考えられています。近年の次世代シーケンサー技術の進展により、急速に生体のマイクロバイオームの解析が進み、腸内細菌叢が炎症性の腸疾患、リウマチ、アレルギー、喘息、肥満、糖尿病だけでなく、うつや自閉症などの疾患群の発症、さらにがんの発症や免疫療法への反応性に関与していることが示されています。
米国におけるマイクロバイオーム領域の市場規模と動向
マイクロバイオーム領域の市場は様々な要素で構成されており、その用途、領域、プロダクト形態などで分類できます。従来の乳酸菌等のプロバイオティクス素材を用いた多くの機能性食品は世の中に流通していますが、今後、マイクロバイオーム領域の市場は、医療領域、さらに環境、農業、畜産、水産といった様々な産業領域への拡大が期待されています。現在のところ、医療領域では創薬標的探索、疾患の発症や治療奏功性に関するバイオマーカー検査、腸内細菌叢の修復・改善による治療効果の向上といったニーズが当該市場成長の重要な要素と考えられています。
実際に米国において、Live Biotherapeuticsと呼ばれる生菌の製剤を医薬品としてFDA規制下で特定の疾患領域で開発が進められています。また、糞便移植(Fecal Microbiota Transplantation:FMT)と呼ばれる治療法は再発性のクロストリジウムディフィシル感染症の治療に日常的に用いられており、マイクロバイオーム創薬や治療が現実に行われています。
米国におけるヒトのマイクロバイオーム領域の市場は、2022年の506.5百万ドル(約560億円)から、899.1百万ドル(約900億円)に成長すると予想されています。2022年から2025年までの年平均成長率は21.1%と将来的に大きく成長が見込まれています。疾患領域でみると、肥満、糖尿病、自己免疫疾患、急性下痢、がん、精神疾患などの領域で注目されています。