データで沿岸地域を活性化、長崎県大村市・Publitechら5者が「大村湾データコンソーシアム」設立

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記事の要点

・大村市、一般社団法人Publitech、株式会社デジタルガレージ、株式会社True Data、株式会社unerryの5者が、長崎県協力のもと、大村湾全体のデータの見える化と社会課題の解決に向け、大村湾沿岸地域の活性化を目指す「大村湾データコンソーシアム」を設立。

 

・民間企業が持つ人流解析&購買分析データと大村市の行政データ、さらに、長崎県が検討を進める観光型Maasデータを連携させることで、新たなデータプラットフォームを構築する。

 

・このプラットフォームを活用し、大村湾周辺の施策効果を可視化する仕組みをつくり、さまざまな社会課題に対して新たなサービスや事業の創出を図る戦略立案、キャッシュレス決済のインフラ整備、課題となる地域のデータ活用人材の育成など多角的な取り組みを展開することを通して、地域において持続可能なスマートシティの実現を目指す。

LoveTechポイント

官民それぞれの得意領域を活かした「データ活用プロジェクト」により、地域をエンパワーしようとする点が、非常にLoveTechだと感じます。

こういった、各者の得意領域を繋げるコンソーシアム型プロジェクトは今後増えていくでしょうし、だからこそPublitechのような翻訳者(ブリッジングする存在)が、ますます貴重な存在になってくると感じます。

編集部コメント

20世紀は石油だったが、21世紀は“データ”が要の時代となる。

 

このようなフレーズが数年前から各メディアで繰り返し発信されており、人によっては「もういいよ」と思われるかもしれないが、それでも今の社会、データから切っても切り離せないところまで来ている。

 

米国ではデジタル“産業”主義に立脚する形で個人データ商売がいくところまでいき、また中国ではデジタル“社会”主義なる形で、国家主導型のデータ駆動が加速している。

 

一方欧州では、2016年にGDPR(EU一般データ保護規則)が制定され、EU内全ての個人におけるデータ保護強化と統合を目指した動きが勃興し、米国式でも中国式でもない欧州式の、言うなればデジタル“分散”主義を見据えたデータ利活用のあり方がドーンと打ち出された

 

では日本はどうかと言うと、これまた今年1月のダボス会議にて、我が国総理からDFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)なる概念が飛び出し、信頼ある自由なデータ流通に立脚した姿勢が発表された。

 

このように、グローバルな流れを見ても、産官学いずれのレイヤーにとっても、データ活用は必須のリテラシーになってきていると言えるだろう。

 

そんな背景の中、一つ面白い取り組みが発表された。

 

長崎県大村市、一般社団法人Publitech、株式会社デジタルガレージ、株式会社True Data、株式会社unerryの5者が、大村湾全体のデータによる見える化と社会課題の解決に向け、大村湾沿岸地域の活性化を目指す「大村湾データコンソーシアム」を設立したという。

 

一般社団法人Publitechといえば、昨年11月に“テクノロジーを使って共生社会を共創する” ことを掲げて発足された、期間限定の組織体である。

 

人々をテクノロジーでエンパワメントするという点が非常にLoveTechだと感じ、キックオフ取材もさせていただいた。

 

一方、大村湾沿岸は、約100万人の人口を有し、豊富で多彩な資源に恵まれている地域。

 

佐世保湾を介して針尾瀬戸および早岐瀬戸のみで外海と通じている、非常に閉鎖性が強い湾であり、湾内では真珠の養殖などが行われている。

 

また、域内には長崎空港があり、その利用者は300万人を超え、九州新幹線西九州ルートの開業など、ビジネスや観光の商圏拡大が期待されている。

 

このように県外・県内交通の重要結節点である大村市だが、ビジネスや観光客の利用は少なく、「素通りの街」化しているという。

 

ヒト、モノ、コト、カネ、エネルギー、情報などが大村湾地域内をめぐり、大村湾沿岸全体で「地域の稼ぐチカラ」を醸成するべく、データを活用した街づくりのファーストステップとして始まったのが、今回の「大村湾データコンソーシアム」というわけだ。

 

大村市の保有する行政データや観光型MaaSデータと連携する形で、圏内の現状を把握するデータ計測を担うのが、デジタルガレージ・unerry・True Dataの3社。

 

そして、その得たデータを使って各種施策を考える分析人材を育成し、地域で事業化する形でサステナブル設計を進めるのがPulitech、という座組みとなる。

 

ここにキャッシュレス環境を整備させ、長崎県協力のもと、ぐるぐるとPDCAを回していくというプロジェクト推進体制だ。

具体的には、以下の取り組みを進めていくという。

  • 人流解析&購買分析データと行政データ、観光型Maasデータを活用し、新たなサービスや事業の戦略立案
  • 大村湾周辺の施策効果を可視化する仕組みづくり
  • キャッシュレス決済のインフラ整備
  • データ活用人材の育成 など

データ例)大村湾沿岸地域の人流解析データ

 

本プラットフォームを活用し、最終的には地域における持続可能なスマートシティの実現を目指していく予定とのことだ。

 

データ駆動で地域の人々をエンパワーする取り組みが、長崎でも始まっている。

 

関係人口創出、教育改革、一次産業活性など、データをツールとして活用することで解決できる地域課題は、山のようにあるだろう。

 

データドリブンな地域エンパワー施策として、引き続き、同コンソーシアムの動きを注視して参りたい。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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