記事の要点
・かながわ酪農業協同組合とNTT神奈川事業部、およびエヌ・ティ・ティ・ビズリンクが、かながわ酪農業協同組合員の農場で、IoTカメラを通した牛の映像データから疾病等を早期検知するシステムのサービス化に向けた実証実験を行う。
・酪農業界での生産性の向上、後継者育成等の経営課題をを解決するため、NTT東日本では2020年5月以降、かながわ酪農業協同組合員の農場へ遠隔で牛を見守るためのIoTカメラを導入し、見回り回数削減・省力化を実現してきた。
・今回はそのIoTカメラで録画した映像データを活用して牛の行動をAI分析することにより、牛の健康状態等を検知する仕組みをテスト導入し、その有用性を検証する。
LoveTechポイント
酪農領域でも、大手企業による自動化支援の取り組みが広がりつつあります。
この領域でも技能承継の課題は深刻であるからこそ、首都圏の牛乳消費を支えている事業者の支援拡大に期待したいです。
編集部コメント
神奈川県における酪農業は、牛乳生産量が北海道に次ぐ全国第二位(農林水産省「作物統計」(2019年))であり、一大消費地である首都圏の需要を支えているが、酪農に携わる人口の減少・高齢化により、労働環境が過酷化するなかで、生産性の向上、後継者育成等が経営面で課題となっている。
これら課題を解決に向けて、NTT東日本では2020年5月以降、かながわ酪農業協同組合員の農場へ遠隔で牛を見守るためのIoTカメラを導入し、見回り回数削減・省力化を実現してきた。
今回は、かながわ酪農業協同組合の協力のもと、IoTカメラで収集された動画像データについて、収集データの分類や定義づけ、データベース化を実施しながらAIに学習させることで、酪農経験者が無い人でも、牛の健康状態の把握を可能にし、疾病等を早期検知する精度の向上を目指す。
また、実際の運用における課題の抽出と解決策、安価なコストでの提供実現についても検討される予定だ。
実施期間は2021年2月25日 ~ 2022年2月24日を予定しており、各社の役割は下記の通りである。
・かながわ酪農業協同組合
◆実験フィールドの提供<IoTカメラ導入している組合員農場 5箇所>
-組合員(酪農家)の課題提供
-技術検証の利活用シーンを提供
-技術検証の成果を組合員へ情報提供
・NTT東日本
◆課題解決するICT技術へのサポート
- IoT機器導入支援、サポート
-酪農業向けICTのニーズへの対応
-生産性向上・省力化に向けたICT検討
・NTTビズリンク
◆動画像解析によるICTの技術開発
-映像データの蓄積、解析
-発情、疾病、分娩AI検知技術の検証
-技術検証データの公表
牛の様子を見て疾病などの有無を判断することは、長年の経験により培われた感覚がないものには至難の業のように思える。
今回のシステムのサービス化が実現され、首都圏の消費を支えている酪農業の方の作業負荷の減少と、生産性の向上につながることを期待したい。