養豚自動化を進めるEco-Porkが、豚にとっての「快適環境」に向けたデータ解析実証を開始

食/地域/環境

記事の要点

・養豚エコシステム構築を進めるEco-Porkが、豚が健康に育つ「快適環境」を導出するためのアルゴリズム構築に向けて、実証を開始。

 

・養豚経営管理システム「Porker」で取得した生産データと、IoTセンサーによる豚舎環境モニタリング「Porker-Sense-」で取得した豚舎環境データを統合して、データ・アナリティクスを進めていく。

 

・アルゴリズム構築後は、その汎用化および性能検証を全国で行っていく予定。またセンシング範囲を拡大して、アンモニア濃度や給水量、給餌量などのデータも取得して、農場ごとに最適な養豚の飼育方法・環境の確立を支援する仕組みづくりも検討していく想定。

LoveTechポイント

養豚領域においても、高齢化の波は容赦なく押し寄せています。

養豚環境の最適化と給餌の自動化といった、Eco-Porkが掲げる「養豚自動化」構想は、私たちが持続的においしい豚肉を食べるために欠かせないLoveTechな取り組みだと感じます。

編集部コメント

養豚エコシステム構築を進める株式会社Eco-Porkが、豚が健康に育つ「快適環境」を導出するためのアルゴリズム構築に向けて、実証を開始した。

 

同社の養豚経営管理システム「Porker」で取得した生産データと、IoTセンサーによる豚舎環境モニタリング「Porker-Sense-」で取得した豚舎環境データを統合して、データ・アナリティクスを進めていくという。

 

そもそも、なぜこの取り組みが必要か。

豚は温度・湿度といった環境の変化に敏感な生き物であり、環境ストレスによって体調が悪化し、病気の発症や繁殖能力障害など、生産能力の低下が発生しやすいのだという。そのため、豚が健康で快適に育つ環境を整備することは、生産効率を向上するためにも極めて重要だと言える。

 

しかし、農場の立地や季節、豚舎の設備等によって適切な環境条件は変動するため、時期別かつ農場ごとに適切な環境状態を定義することは難しい。

 

だからこそ、個別の豚舎にフィットする環境を整備する必要があり、そのためには個別の豚舎に関するデータが必要になるというわけだ。

 

本取り組みで使用する養豚経営管理システム「Porker」は、スマホなどのモバイル端末を使って農場現場で発生するさまざまな記録を現場で入力することで、繁殖や肥育の成績から経営状況の分析までがワンストップで実現するクラウド型システムだ。

 

2018年9月から提供開始しており、2020年には農林水産省「令和2年度スマート農業実証プロジェクト」にてデータ活用型スマート養豚モデルの実証の要素技術として取り入れられている。記録作業の効率化やペーパレス化、正確な農場成績の見える化を支援し、年成長7.1%と生産頭数の向上に貢献しており、販売当初から経済産業省「サービス等生産性向上IT導入支援事業」にITツールとして毎年登録されている。

 

一方、IoT豚舎環境モニタリング「Porker-Sense-」は、国内養豚では初となるLoRaWAN技術(※)を活用したIoTセンサーを使用しており、温度や湿度、熱量指数(豚における不快指数の指標値)などの豚舎内各種情報を、リアルタイムにチェックできる。

※LoRaWAN技術:LPWA(省電力長距離通信)の一種で「無線ネットワーク規格」の名称。IoT向けの通信規格として仕様が公開されており、世界的に広く利用されている。LoRaWANはサブギガ帯と呼ばれる920MHz帯を使用しているため、他の無線ネットワークの干渉を受けづらくノイズに強い特徴があることや、電波の入りづらい密閉環境においても専用ゲートウェイを増設することで安定した通信を行うことが可能

 

豚の健康に影響のある各種環境パラメータの異常時には、即時でスマホに通知が送られるため、異常の早期検知と対応が可能だ。ちなみに専用ゲートウェイ1台に対してIoTセンサーは数百~数千デバイスの接続が可能で、送受信どちらも可能となっているという。

 

正式リリースから半年で累計150台のIoTセンサーが全国の養豚生産者に利用されており、「Porker」と連動することで、温湿度の記録業務の削減だけでなく、豚の死亡事故の防止にも役立っている。

 

Eco-Porkでは今後、構築したアルゴリズムの汎用化および性能検証を全国で行っていくという。

 

またセンシング範囲を拡大して、アンモニア濃度や給水量、給餌量などのデータも取得して、農場ごとに最適な養豚の飼育方法・環境の確立を支援する仕組みづくりも検討していくとのこと。

 

同社は2021年4月に、東京都主催の支援事業「東京都ものづくりベンチャー育成事業(Tokyo Startup BEAMプロジェクト)」に採択されており、給餌量データの取得が可能な養豚用スマート給餌管理機の機能試作に取り組んでいる。

 

各種データ取得によって豚にとっての最適な環境構築がなされ、それに合わせて給餌も自動化される。(同社では2019年11月に、リバネス及び田中衡機工業所とともに「養豚自働化プロジェクト」をスタートさせている)

 

IoTやAI技術を活用した「養豚自働化」は、そう遠くない未来の話なのかもしれない。

 

LoveTechMedia編集部

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