産廃処理のDXを進めるファンファーレが1.5億円の資金調達を実施。廃棄物回収の効率化を加速

食/地域/環境

記事の要点

・産業廃棄物業界の省力化・効率化に取り組むファンファーレが、ALL STAR SAAS FUND2 PTE. LTD、Coral Capitalを引受先とした総額1.5億円の資金調達を実施。業界独自の機能や要件に応えるための、開発組織の拡充やカスタマーサクセス体制の構築・強化を進める予定。

 

・ファンファーレは、AIを使って産業廃棄物の回収のための「配車計画」を自動で作成するSaaS「配車頭」を提供しており、リリース後の問い合わせや契約数の増加から、今回の資金調達へと至った。

 

・資金調達と同時に、トレジャーデータの共同創業者であり、現在は同社取締役を務める芳川裕誠氏(前CEO・現会長)と太田一樹氏(前CTO・現CEO)がアドバイザーに就任。

編集部コメント

廃棄物業界の省力化・効率化に取り組むファンファーレ株式会社が、ALL STAR SAAS FUND2 PTE. LTD、Coral Capitalを引受先とした総額1.5億円の資金調達を実施した。

 

同社の主力商品は、産廃物業界における配車管理サービス「配車頭」である。

 

そもそも日本の年間産業廃棄物量は4.2億トンにものぼり、その収集運搬と処理には5.3兆円かかるとも言われている。まさに世の中に必要不可欠なエッセンシャルワークであり、すべての産業にとって必要不可欠なものだと言えるだろう。

 

一方で、他の業界と同様に深刻なのが、担い手となる人手の不足だ。全国産業資源循環連合会が発表するデータによると、業界の立ち上げ世代の引退の時期も相まって、経営上の問題点として11期連続で「従業員の不足」が1位となっている状況だ。

 

産廃業界でも少ない人員で業務を回せるよう業務効率化の推進をしており、依頼に基づいて効率的な配車ルートを設定する「配車担当」の業務が非常に重要となっている。

 

ただ、適切な配車ルートの設定は複雑で手間がかかる作業であり、突然の変更への対応も発生するなど、時間がかかるだけでなく、経験を頼りにする属人的な業務となっているのが現状だ。結果、労働時間が長く、精神的負荷が高いことから、離職率の向上にもつながってしまっているという。

 

このような課題に対してファンファーレが提供しているのが、産廃産業に特化したAIで、回収のための配車計画を自動で作成するSaaS「配車頭」というわけだ。

 

同プロダクトでは、今いる人員でより多くの配車を実現できるよう、AIが膨大な組み合わせパターンを検討し、わずか数分で効率的な配車表を作成してくれる。

 

配車計画作成に必要な作業時間を、従来の1/100以下にするというのだ。

 

具体的には、ユニック車やコンテナ車など、廃棄物の品目毎に最適なコンテナの積込みや積下し順を踏まえた最適な配車計画を作成でき、それを踏まえた効率的な巡回回収が実現する。

 

また産廃とあわせて、一般廃棄物や有価物の配車表作成を一緒に行う場合も、産廃と他の収集運搬業務を組み合わせた配車表を作成できいるようになっている。

 

突発的な変更も、AIの方で自動計算・算出してくれるので、すぐに組みなおした上でのオペレーション実施が可能というわけだ。

 

さらに、依頼を受ける事務員は、受注可能かどうか配車担当への確認作業を行うのだが、配車頭では受注可能かどうかが1クリックで分かるため、事務員が受電中に受注の可否を正確に判断し、自動回答することも可能になっている。

 

もちろん、配車実績データなどすべての情報はクラウド管理されるので、乗務員への運用指示はスマートフォンで共有され、毎日の印刷業務や転記作業も不要となる。

 

このように、人手不足や配車業務の属人化、配車担当の重労働といった、産廃処理業務にまつわる様々な課題を一挙に解決する音を想定して構築されたプロダクトとなっている。

 

今回調達した資金は、産業廃棄物業界独自の機能や要件に応えるための、開発組織の拡充やカスタマーサクセス体制の構築・強化にあてられる予定となっている。

 

料金は月額10万円からで、導入に伴う初期費用は不要とのこと。

 

一般的には馴染みのない領域ではあるものの、あらゆる国民がその恩恵を受けている領域だからこそ、DX施策の効果も高いのではないだろうか。

 

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

LoveTechMedia

テクノロジーに触れないことによる”愛”損失を最小限に留める。
LoveTechMediaとは