記事の要点
・ポケットマルシェより、「生産者」が寄附者とのやり取りや返礼品の出品を行うふるさと納税サービス「ポケマルふるさと納税」を提供開始。
・ポケマルふるさと納税では、生産量の少ない生産者や、鮮魚など供給が不安定な食材を扱う生産者も参加しやすいため「返礼品ラインナップ拡大」が可能となっており、寄附者と生産者が直接やり取りする仕組みにより「発送までの日数短縮」を実現。
・2021年9月27日時点で、20自治体、約200名の生産者が参加。寄附者と生産者・地域が「関係人口」として継続的につながるきっかけを作ることで、「返礼品合戦」がメインのふるさと納税から脱却し、中長期的に地域の活性化に寄与することを目指す。
編集部コメント
生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」運営の株式会社ポケットマルシェが、「生産者」が寄附者とのやり取りや返礼品の出品を行う、ふるさと納税サービス「ポケマルふるさと納税」を開始した。
ポケットマルシェとは、全国の農家・漁師から、直接やりとりをしながら旬の食べ物を買うことができるプラットフォームだ。2016年9月の提供開始から2021年9月時点までに約5,900名の農家・漁師が登録しており、約12,000品の食べ物の出品とその裏側にあるストーリーが提供。昨今の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに食への関心が高まり、ユーザ数は約7.1倍、ピーク時の注文数は約20倍となり、約37万人の消費者が「生産者とつながる食」を楽しんでいる。
今回はふるさと納税サービスということで、マッチング主体が「生産者と消費者」から「生産者が寄付者」へと変わることになるわけだが、そもそも、既存のふるさと納税サービスは寄附者と生産者の間に「自治体」が入る仕組みで成り立っている。
自治体が返礼品の出品や発送管理などの業務を担うことが多く、また返礼品の魅力や配送日が寄附者からわかりづらく、自治体が返礼品の在庫管理も担うため、生産量が少ない食材や供給が不安定な食材は返礼品の対象にできないといった問題がある。
そこで「ポケマルふるさと納税」では、自治体が関わりながらも、返礼品の管理や寄附者とのやり取りを生産者が直接行うことで、これらの課題を解決する思想で設計されている。
これにより鮮魚など供給が安定しにくい食材を扱う生産者も参加ができ、新規販路獲得につながるほか、自治体の業務削減や、申し込みから返礼品発送までの日数短縮にもつながるという。2021年9月時点では、平均所要日数が4.5日だという。
利用方法としては、まずトップページより食材を検索し、食材の詳細説明が記載された画面の「ふるさと納税で申し込む」から、申し込みの手続き画面へ進む(申し込みの際には、無料の会員登録が必要)。画面上で、配送先住所や支払い方法、ワンストップ特例申請書の送付希望有無、納税者情報などを入力するだけで申し込みが完了。とてもシンプルだ。
また同サービスではポイント制を採用しており、ふるさと納税額1,000円ごとに300ポイントが自治体からの返礼として付与。それを使用して、生産者の出品する食材が注文できるという。ふるさと納税によるポイント付与および食材の注文は、1度の申し込みで同時に完了するので手間はない。
ポケットマルシェ代表の高橋博之氏は、地域とそこに住む人々と多様に関わる「関係人口」の考案者であり、同社も創出を目指して2021年より自治体との連携を強化してきた。その中で、寄付によりその自治体を応援する、というふるさと納税のあるべき姿を議論し、今回のポケマルふるさと納税開始に至ったという。
ポケマルふるさと納税は既存のポケットマルシェとシームレスに連携しており、返礼品を気に入った場合はポケットマルシェで手軽にリピート注文が可能となっている。一度の寄附で完結せず、継続的なつながりを生み出す仕組みにより、生産者のファンを増やせる仕組みになっているわけだ。
返礼品の豪華さを競う現状を脱却し、生産者自身の魅力によって継続的に地域のファンを増やして、関係人口創出を促進し、中長期的に地域の活性化に寄与するモデルだと言えるだろう。
こちらのポケマルふるさと納税、2021年9月27日時点で20自治体、約200名の生産者が参加しており、2022年度中に100自治体の参加を目指すとしている。
返礼品のお得感を協調したウェブサイトでは、どうしても返礼品を軸に寄付先を選んでしまう。そのため毎年違う自治体に寄付している、という方も多いのではないだろうか。今年は、生産者とのやり取りや「体験」を軸とした返礼品を楽しめるポケマルふるさと納税で、第2のふるさとを探してみてはいかがだろう。