LoveTech Media編集部コメント
東京大学と3Hホールディングス株式会社(旧クロエグループ)が、東京大学大学院薬学系研究科ITヘルスケア社会連携講座における共同研究として進めている「患者中心主義に基づく希少疾患研究開発プログラム(Patient Centricity in Rare Disease R&D Program:以下、PCRD2 )」。
各患者の疾患状態、および遺伝的背景・生理的状態を考慮して最適な治療法を設定する“個別化医療”というトレンドを背景に、患者による情報管理に基づいた患者中心の医薬品開発推進を目的に、希少疾患・難病領域における患者の研究開発への参画と研究の促進を支援するプログラムである。
詳細については、以下の取材記事を参照してほしい。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/20190521pcrd2/”]
このPCRD2を活用した取り組み第一弾として、KOTAIバイオテクノロジーズが進める「自己免疫疾患の特異的免疫状態の研究」が、今年7月1日に発表された。
[clink url=”https://lovetech-media.com/news/welfare/20190703_03/”]
具体的には、以下の対象疾患について、すでに世の中にある薬の中で該当の病気に使える可能性のある薬を探り、さらには新しい治療薬の創成につなげていくというものである。
ベーチェット病、強直性脊椎炎、多発性筋炎・皮膚筋炎、成人スティル病、急速進行性糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ
(2019/8/9時点 今後追加予定あり)
今回、この研究への自己免疫疾患患者の研究協力募集が、8月7日の約1か月で30名の定員に達したと発表された。
元々の予定期間が3ヶ月を想定していたことから、当初の3倍速で、患者からサンプルや情報を提供いただけたということだ。
医療における患者・市民参画やPatient Centricityが注目される中、今回の結果はアンメット・メディカル・ニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)を抱える患者が、新たな治療法の研究開発協力に意欲的である一例だと言えるだろう。
以下が、今回の研究協力に参加された患者の声の一部となる。
「自分の病気に関する仕組みを詳しく知りたかったためと、それを調べることによって他の疾患との関りもわかり、お役に立てる事があればと思い参加いたしました。早く治療薬が開発され誰しもが「ドラックフリー」になれる日が来る事を願っております。」
また、その後も協力を希望する声が集まっているため、現在、募集枠を拡大し期間を延長するとともに、患者中心主義に基づくより良い希少疾患研究開発を進めるために東京大学でのアンケート調査と研究協力への事前登録も合わせて開始しているという。
意識調査及び事前登録:https://raresnet.com/special/pcrd2/
ちなみに、研究協力への事前登録(現在募集中の研究がないものの、PCRD2への参加希望のある方のための登録システム)がなされている患者は以下の通りだという。
全身性強皮症、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、非ケトーシス型高グリシン血症、ベーチェット病、レノックス・ガストー症候群、大腿骨骨頭壊死、血栓性血小板減少性紫斑病、乾癬性関節炎、成人スチル病、ウエスト症候群、多発性筋炎、重症筋無力症、線維筋痛症、ドラベ症候群、POEMS症候群(クロウ・深瀬症候群)、MECP2重複症候群、エーラス・ダンロス症候群、全身性肥満細胞症 他
※順不同
患者と研究者の適切なコミュニケーションの仕組みを構築するプラットフォームとして、このPCRD2の有用性を多くのステークホルダーに認知していただきたいところだ。
以下、リリース内容となります。