LoveTech Media編集部コメント
わが国で急速にその数を増やしている糖尿病患者。
厚生労働省「2017年患者調査の概況」によると、患者数は過去最多の329万人となっており、30兆円超の医療費のうち糖尿病は1兆2,356億円を占めているという。
糖尿病は、発症後に放置すると、網膜症・腎症・神経障害などの重篤な合併症をもたらす疾患。
政府も今年3月20日開催「未来投資会議(第25回)」にて、2型糖尿病(※)などの生活習慣病の一次予防・二次予防への積極的な取り組みを促す方針を示しており、生活・食習慣の改善により合併症の発症を防ぐことが、健康寿命の延伸・QOLの向上・医療費抑制の観点から重要であると言えるだろう。
※2型糖尿病:日本の糖尿病患者の約95%は、2型糖尿病とされている。糖尿病になる要因には大きく2種類、遺伝的要因と環境的要因がある。遺伝的要因と、両親や親戚に糖尿病をもっているひとがいると普通のひとより糖尿病を発症する可能性が高いタイプであるということ。一方、環境的要因とは「食べすぎ」「運動不足」「ストレス」といった生活習慣のことを言う。これらの要因が、複数組み合わさり糖尿病になると考えられている(糖尿病サイトを参照)
高齢社会×情報を切り口に多数の事業を展開する株式会社エス・エム・エスでは、生活習慣病予備軍や軽度・中度の糖尿病対象者に向けた「リモートチャット指導サービス」を提供しており、この度、第一生命保険、日本アイ・ビー・エム、おいしい健康の3社と共同で、2型糖尿病により入院給付金を第一生命より支払った保険加入者に対するリモートチャット指導による「生活習慣改善個別サポート」サービス実施に向けた実現性・実用性の共同実証をスタートさせた。
参加者はスマートフォンを活用し、日々の食事画像と体重を入力。
この食事・体重・活動量情報を元に、担当の管理栄養士が、糖尿病専門医が監修する内容に沿って週に一度チャットでアドバイスをするという内容だ。
これに併せて任意での申し込みとなるが、おいしい健康による管理栄養士監修の糖尿病患者向け食事レシピ提供や、日本IBM提供の糖尿病性腎症重症化予測モデルによる症状悪化のリスク値判定結果の通知も行われる。
特に後者については、藤田医科大学と日本アイ・ビー・エム、第一生命保険の3者による共同研究にて構築した、「糖尿病性腎症の悪化予測モデル」を利用する。
これは過去半年間に実施された3回分の血液検査結果等12項目より、類似する血液情報の方が180日以内に腎症のステージが1から2以上になる統計的リスクを予測するというもので、該当の論文が2019年8月14日の「Scientific Reports(Nature Publishing Group)」に掲載されている。
参加対象者は「第一生命の保険契約にて2型糖尿病により入院給付金を支払い、かつ所定の条件を満たした希望者」となっており、2019年9月~2020年7月(予定)の期間中に一人当たり90日間で無料実施される。
LoveTech Mediaとしては、上述のした、ステージ1の軽度な糖尿病性腎症患者における180日後の病状進行(ステージ変化)を予測するモデルの社会実装という観点で非常に興味を持った。
自分の身体の状態を、各種データと予測モデルを用いて客観的に見つめることが、これからの時代における健康で文化的な生活を営むための条件となるだろう。
来年7月までを予定している共同実証の結果が楽しみだ。
以下、リリース内容となります。