痛みなく被曝もしない、世界初の乳がん検診用マイクロ波マンモグラフィプロトタイプが完成

医療/福祉

LoveTech Media編集部コメント

株式会社Integral Geometry Scienceが、乳がん検診の精度向上に寄与する技術「マイクロ波マンモグラフィ」のプロトタイプ完成と、その実用化および普及を進める資金確保を目的とした協力企業による総額約20億円の資本提携を発表した。

 

Integral Geometry Scienceとは、神戸大学数理データサイエンスセンターの木村建次郎教授が創業したベンチャー企業。

 

物体内部の構造を映像化する理論と方法を研究し、社会実装を進めている。

 

具体的には、散乱したマイクロ波などの波動から、外部からは見えない構造等を画像化するという応用数学の未解決問題「散乱の逆問題」と呼ばれる領域について、同社CEOの木村憲明博士とともに、多次元空間における散乱場の基礎方程式の導出と、これを解析的に解くことに世界で初めて成功。

 

日米欧中9か国で「散乱の逆問題の解法と画像化」の特許を取得している。

 

この研究成果を社会実装するために、2012年に設立したのがIntegral Geometry Scienceというわけだ。

同社は様々な領域で研究開発を行なっているが、その中でもLoveTechな取り組みとして注目しているのが、上述のマイクロ波マンモグラフィである。

 

現行の乳がん検診では、X線マンモグラフィが世界標準として使われているものの、50歳未満のアジア人女性の79 %、欧米人女性の61 %、黒人女性の56 %、ヒスパニック女性の55 %は高濃度乳房というタイプの乳房を持っており、X線マンモグラフィにて撮像すると乳房全体が白濁したコントラストとなるため、下図のように乳がん組織と正常組織を判別することは困難を極める状況だ。

 

またこれに対して、超音波エコーなどの超音波関連技術が代替手段候補として取り上げられるが、物性論の観点から考察すると、乳房の大半を占める脂肪は、その構成分子間の摩擦により、超音波は著しく減衰し、超音波関連技術は低S/N、低コントラスト比が原理的課題となっている。つまり、客観的な診断が困難だと言うことだ。

このような課題に対して、乳房の体積の90 %以上を占める脂肪と、血管と細胞が密集し水分が多いがん組織との間で大きな反射が観測されるマイクロ波が、乳がん検出に理想的な波動と考えられており、同社は世界で初めて、このマイクロ波を使ったマンモグラフィのプロトタイプ機開発に成功した。

散乱トモグラフィとCTの違い

 

同社はこのプロトタイプ機を用いて、これまでに神鋼記念病院、兵庫県立がんセンター、神戸大学附属病院、岡本クリニックなどの協力病院で、臨床研究を実施。高濃度乳房を含む全てのタイプの乳房で高い乳がん検出感度を有することが示されたという。

 

同社はこの技術の2022年までの実用化を目指しており、今回の資本提携は、その開発推進体制を大きく加速させることになるだろう。

 

また、この新しい画像を作り出す数学は、波動の散乱の問題には普遍的に適用することができ、今回の乳がん計測のような医療画像診断のみならず、資源探査、老朽化するインフラ構造物計測等、遺跡探査など、あらゆる物体の可視化を目指す技術に応用できる。

 

まずは目下プロトタイプ開発を進めるマイクロ波マンモグラフィについて、社会実装を進めてもらい、痛みなく被曝せず早期発見に貢献する検査技術として新たなる世界標準の一つきよsになってもらいたいものだ。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

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