フィリップスらが「ヘルスケアモビリティ」完成を発表、12月から長野県伊那市で実証実験を開始

医療/福祉

記事の要点

・フィリップス・ジャパン、MONET Technologies、長野県伊那市の3者より、医療×MaaSを実現するための「ヘルスケアモビリティ」完成が発表される。

 

・今年12月〜2021年3月末までの実証事業期間において、地元開業医との連携を通じて、オンライン診療を中心としたヘルスケアモビリティの有効性を証明していく。具体的なオンライン診療の内容としては、看護師などが車両で患者の自宅等を訪問し、車両内のテレビ電話により医師が病院から患者を診察できるようにし、看護師が医師の指示に従って患者の検査や必要な処置を行うことを想定。

 

・実証事業以降は、実証事業期間中に証明したヘルスケアモビリティの価値を踏まえて、地元開業医との連携強化に加え中核病院との連携を通じ、事業のモデルケースを確立させていくとともに、国内外への展開を目指していく。

LoveTechポイント

体調の悪い患者が医療機関に足を運ぶのではなく、様々な技術を活用して「医療機関の方から患者の元へ駆けつける」という世界観は、非常にLoveTechだと感じます。

現行の法規制ではまだできることが限られていますが、特に医療機関の少ない地域におけるヘルスケア領域の高度化に向け、今回の実証事業は非常に大きな意味を持つと感じています。

編集部コメント

令和元年11月26日、フィリップス・ジャパン(以下、フィリップス)、MONET Technologies(以下、MONET)、そして長野県伊那市の3者より、医療×MaaSを実現するための「ヘルスケアモビリティ」完成が発表された。

 

「ヘルスケアモビリティ」とは、医療機器などを車内に搭載し、医療従事者との連携によってオンライン診療などを行うことができる車両。

 

今年4月にはフィリップスより、具体的なモビリティのモックが発表されており、この度ようやく完成物のお披露目となったわけだ。

今年4月時点で発表されていた車両モック

 

看護師が車両で患者の自宅等を訪問し、車両内のビデオ通話を通して医師が遠隔地から患者を診察できるようにしており、看護師が医師の指示に従って患者の検査や必要な処置を行うことを想定して、主に下記の機能を搭載しているという。

(1)スケジュール予約
患者と医師が合意したオンライン診療のスケジュールに応じて、現地(患者の自宅など)に向かう看護師が、スマホアプリから配車の予約をすることができる

(2)診察
心電図モニターや、血糖値測定器、血圧測定器、パルスオキシメーターおよびAEDなど、診察に必要な医療機器を車両に搭載している。

(3)オンライン診療
ビデオ通話を通して、医師が患者の問診や看護師の補助による診察を行える他、医師から看護師へ指示を出すことができる。

(4)情報共有クラウドシステム
医療従事者間の情報共有を目的に、車両内に設置されたパソコンで患者のカルテの閲覧や訪問記録の入力・管理を行うことができる。

 

本取り組みの背景にあるのは、日本の自治体が抱える、居住者の高齢化や医療施設・従事者の不足、医療費の肥大化といった深刻なヘルスケア課題だ。

 

多くの自治体は、市民の足となる公共交通やヘルスケアサービス提供施設など、固定化されたインフラを構築・提供することが難しくなっており、伊那市においても上述の課題と併せて、外出が困難な患者の増加などが課題となっている。

 

今回発表されたヘルスケアモビリティ事業は、そのような自治体内における「画一化・固定化」されたヘルスケアサービスを、より柔軟な「動的かつ最適配置が可能」なヘルスケアサービスへとシフトチェンジさせ、健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアという「一連のヘルスケアプロセス」におけるイノベーション実現を加速することを目的に、構築されたものとなっている。

 

具体的には、2019年12月12日から、伊那市が推進する「モバイルクリニック実証事業」においてテスト運行を開始し、オンライン診療をはじめとする機能の有効性を検証開始するという。

 

現時点では2021年3月までの実証が計画されており、以降は、実証事業期間中に証明したヘルスケアモビリティの価値を踏まえて、地元開業医との連携強化に加え中核病院との連携を通じ、事業のモデルケースを確立させていくとともに、国内外への展開を目指していくとしている。

 

ちなみに、本実証事業は今年5月14日にMONETが伊那市と締結した「次世代モビリティサービスに関する業務連携協定」に基づく取り組みの第1弾として行うものであり、これに併せてフィリップスでも伊那市と「ヘルスケア領域におけるモビリティ事業に関する業務連携協定」を締結し、今後は3者による連携をさらに強化していく予定だという。

 

現時点では、現行のレギュレーションに則るべく一般医療機器のみの車両搭載となっているが、将来的にはさらに幅広い診療をカバーすべく、より高度な検査機器等の搭載も検討しているようだ。

 

医療の新たなるデファクトスタンダードを構築すべく、日本初のヘルスケアモビリティを通じた実証事業結果に期待したい。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

恋愛/結婚・妊娠/出産・育児・家族生活・医療/福祉・社会課題の6分野を「人の”愛”に寄り添うテーマ」と定義し、これらのテーマにおけるテクノロジープロダクトや...

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