記事の要点
・AIやICTを活用した介護福祉プラットフォームサービスを提供する株式会社ウェルモが、創業当初より開発を進めてきたケアプラン作成支援AIを、「ミルモぷらん」として、居宅介護支援事業所のケアマネジャー向けに販売開始。
・「ケアプラン第二表」の作成を支援をする点が大きな特徴となるクラウドサービスで、そのための専門知識補助や記述する文章、およびサービス資源情報のリコメンドといった機能をもつ。
・ミルモぷらんを活用することで、座学研修やOJT以外に経験や知識の差をカバーする手段を提供し、併せて情報収集や事務処理時間の短縮に寄与することになる。これによって、ケマネジャーがケアマネジャーにしかできない”利用者に寄り添う相談援助業務”に注力できる心と時間の余裕を生み出し、利用者により喜ばれる介護の実現につながることが期待されることになる。
LoveTechポイント
ケアマネジャーは地域包括ケアシステムのハブとなる重要な存在ですが、如何せん業務量が膨大であることから、本来やるべき相談援助業務に十分に時間を割くことができていない状況です。
そんなケアマネジャーを、第二表作成の部分で支援し、構造的な業界課題の解決に向けてAIを「サポート手段」として活用している点が、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
AIやICTを活用した介護福祉プラットフォームサービスを提供する株式会社ウェルモが、創業当初より開発を進めてきたケアプラン作成支援AIを、「ミルモぷらん」として、居宅介護支援事業所のケアマネジャー向けに販売開始した。
こちらは、仮称「ケアプランアシスタント」とされていたもので、当メディアでも以前、その開発過程における実証実験の様子をお伝えしてきた。
[clink url=”https://lovetech-media.com/eventreport/welmocpa20200619/”]
「ミルモぷらん」は、自然言語処理技術に基づくAIであり、ケアマネジャーのケアプラン(居宅サービス計画書)作成業務を支援するクラウドサービス。
「ケアプラン第二表」の作成を支援をする点が大きな特徴となるサービスで、そのための専門知識補助や記述する文章、およびサービス資源情報のリコメンドといった機能をもつ。
例えば専門知識の補助機能については、アセスメントデータを入力することで、AIが医療知識やケア事例を探して提案したり、疾患一覧から医療知識を検索したりすることができるようになっている。
またケアプラン文章のリコメンドについては、AIが学習したアセスメントとケアプランのデータから、ケアプラン第二表作成時の文章候補を提案してくれ、ユーザーがいずれかを選択すると、その内容の細かい言い回しを自由に修正して保存することができる。
もちろん、リコメンドの中から選択したいものがなければ、ゼロから自由入力することも可能だ。
そこで入力された文章は、そのままAIの学習に組み込まれ、次回以降のリコメンドへと生かされることになるわけだ。
さらに、サービス資源情報のリコメンドについては、ウェルモが展開する地域ケア情報見える化サイト「ミルモネット」とミルモぷらんが連携していることから、ユーザーのニーズに応じた介護保険内サービスの選択肢を提示してくれるという。
こちらは、2021年夏頃の実装を予定しているとのことだ。
介護の現場に目を向けてみると、ケアマネジャーは業務過多状態であるといえ、本来やるべき相談援助業務に十分に時間を割くことができていない状況が散見される。
また、業界そのものがアナログな運用に頼っていることと併せて、2025年問題に付随する介護職員の圧倒的不足の事態に陥っていることから、現場の生産性向上が急務となっている。
ウェルモでは、デジタル技術を導入し、地域包括ケアシステムを進化させる「地域包括ケアシステムDX(デジタルトランスフォーメーション)」の実現を目指している。
情報の可視化やデータの利活用の推進、オペレーションの進化による生産性の向上、他職種連携の強化によるシームレスなサービス提供などによって、介護サービスの利用者はもちろん、介護に関わるすべての人のQOL向上を掲げている。
同社が創業された2013年時点では、国の機関含め、ほとんどのステークホルダーは「介護領域で想定される厳しい未来」を見て見ぬ振りをして、抜本的な業界の構造改革に意識を向けていなかった。
そこから約8年。
2021年度の居宅介護支援に関する報酬改定の資料には、「ICTや人工知能(AI)を活用することで、質を担保しながら取扱い件数を増やすことが可能である」という旨が明記され、基本報酬に適用される「逓減制」の担当ケアプラン件数の基準件数が、40件以上から45件以上に引き上げられることになった。
2013年にビジョンを描き、2016年より具体的にケアマネジャーの医療看護介護知識サポートや、今回のミルモぷらんのコンセプトを練り上げてきた同社の努力が、ようやく結実したタイミングの一つだと言えるだろう。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/welmo20180803/”]
経営改善を推し進めたい居宅介護支援事業所担当者の方は、約5年の研究開発を経て、満を辞してリリースされたミルモぷらん活用を検討されてみてはいかがでしょう。