記事の要点
・コニュニケーションロボットやIoTプロダクトを企画・開発するユカイ工学が、RIZAPとJDSCと3社合同で、健康寿命延伸サービスの構築と検証を開始。
・健康寿命延伸において重要なフレイル予防での、モニタリング(データ収集)、ITリテラシー、リクルート(参加と継続)の3つのハードルを下げることで、多くの人の予防の推進を目指す。
・本サービス構築と検証は、三重県が、国内外の企業からアイデアを募集して開発のサポートや実証・社会実装の支援などを行う「クリ“ミエ”イティブ実証サポート事業」に採択されている。
編集部コメント
人生100年時代とも言われる昨今。
医療の進歩により平均寿命が伸びていく一方で、自立して過ごすことができる期間、健康寿命との差はあまり縮まっていないようだ。2020年に厚労省が発表したデータによると、男性80.98歳・女性87.14歳の平均寿命に対し、健康寿命は男性72.14歳・女性74.79歳(※)であり、その差は約8〜10年にもなる。
(※)令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考えるより
そこで、いかに健康寿命を伸ばすかが重要となってくるわけだが、そのための一つの策として、「フレイル」の予防が大切だという。
フレイルとは、加齢に伴い心と身体の動きが弱くなってしまう状態のこと。自治体は、このフレイル予防をより多くの人に受けてもらい、かつ有効なデータとして構築をしたい一方、高齢者の日常のデータ収集が難しい、デバイス操作が難しいなどが課題となっている。
そんな背景から今回、ユカイ工学とRIZAP、そしてJDSCが3社合同で、「健康寿命延伸サービスの構築と検証」のプロジェクトが実施されることとなった。
検証の目的は、フレイル予防での結果の見える化と継続化を実現するプラットフォームの構築。フレイル予防における、モニタリング(データ収集)、ITリテラシー、リクルート(参加と継続)の3つのハードルを下げ、より多くの人へフレイル予防の推進を目指すという。
ユカイ工業は、ITサポートと継続支援において、親しみやすく平易に操作できるファミリーロボット「BOCCO emo」を活用。最新技術を搭載したコミュニケーションロボットでありながら、ユーザーへのITリテラシーを問わない操作性やインターフェースのため、利用者のモチベーションアップが期待されている。また、プログラムの実施状況や食事内容のデータ収集も可能だという。
全体監修も務めるライザップは、参加と継続をサポート。体力年齢の改善を中心とした結果の出るサービスを提供する。
そして、行動データの分析や効果のモニタリングについてはJDSCの技術が用いられ、AIで電力データからフレイルリスクや日常生活の変化を検知する。身近な電力による非接触センシングで、モニタリングのハードルを下げるというわけだ。
本サービス構築と検証は、三重県が、国内外の企業からアイデアを募集して開発のサポートや実証・社会実装の支援などを行う「クリ“ミエ”イティブ実証サポート事業」に採択されている。
オンライン実施を主軸としながらも、高齢者にITリテラシーを求めず寄り添う施策を同時に展開している点がLoveTechだと感じる。
顧客目線で健康寿命の延伸を実現する本検証に、今後も注視していきたい。