記事の要点
・「食から世界を良くする」をミッションに掲げる株式会社ukkaが、食品製造・加工プラットフォーム『FOOVEST(フーベスト)』β版をリリース。
・生産者と加工会社をファブレス(工場を持たずに)にネットワーク化することで、産地原料の手配から加工までをワンストップで提供することができる。
・初期はスイーツの主原料となる農産物に特化して、希望の産地・品種・最終用途などにあわせて自由に選択できるようになっており、また受注生産型で原料を事前確保するため、数十トン単位の大量ロットにも対応できる。
LoveTechポイント
食のイノベーションについてはBtoC領域のサービスが注目されがちですが、FOOVESTのようなBtoB領域においてもペインポイントは多いので、DXの効果は非常に大きいと感じます。
サプライヤーにとっての販路拡大や担い手不足の解消へと繋がる仕組みを構築し、選択肢を拡張しようとしている点がLoveTechだと感じます。
編集部コメント
「食から世界を良くする」をミッションに掲げる株式会社ukkaが、食品製造・加工プラットフォーム『FOOVEST(フーベスト)』β版をリリースした。
FOOVESTとは、生産者と加工会社をファブレス(工場を持たずに)にネットワーク化することで、産地原料の手配から加工までをワンストップで提供することができるプラットフォームだ。
通常、食品メーカーなどが産地食材を使った商品開発を行う場合、原料産地や加工会社の新規開拓はもとより、仕様のすり合わせ、見積もり・規格書の取得、現地視察および工場監査、その後の契約業務など、発注に至るまで、煩雑で属人的な調整業務に多くの時間をかけている。
これに対して『FOOVEST』β版 を活用すると、用途に応じた「原料」と「加工方法」を画面上で選択し詳細条件を入力するだけで、自社データベースに基づいた「暫定見積もり」の即時取得が可能となる。
これにより、パートナー開拓や、その後の市場調査や問い合わせ業務が不要となり、その後の書類・サンプル手配や契約・発注手続きを含めた各種手続きを、FOOVEST上でワンストップに進めることができるようになるという。
結果、取引先の開拓から契約まで平均3〜6ヶ月かかっていた期間を、数日単位までに短縮することができ、取引までのリードタイムを大幅に削減することができるというわけだ。
今回のβ版リリースに合わせて、初期はスイーツの主原料となる農産物に特化して、希望の産地・品種・最終用途などにあわせて自由に選択できるようになっている。
受注生産型で原料を事前確保するため、数十トン単位の大量ロットにも対応できるという。
国際認証やHACCP認証を取得している加工会社をネットワークしており、加工方法についても、シロップ漬け(ホール・スライス・ダイス 他)やピューレ(果肉あり・なし)など、30通り以上の一次加工パターンに対応している。
β版に関しては、初期費用・月額費用ともに無料で利用でき、既に八天堂や伊藤忠食糧といった有名スイーツブランドがユーザーとして利用しているという。
今後は、対象となる原料食材や加工方法などのカテゴリーを順次拡大しつつ、蓄積される受発注データを活用した精度の高い「原料加工の即時見積り」と「Web完結型の受発注機能」の構築を進めていき、より持続可能な食の未来を目指すという。
調整業務は、社内だけでも時間がかかるものだが、約33兆円の規模ともなる食品製造・加工市場における「購買業務」は、かなり煩雑な業務であることが予想される。
ここを効率化・最適化することで、サプライヤーである地域の生産者・加工会社においても安定生産(稼働)につながり、販路拡大や担い手不足の解消へと繋がる仕組みになると言えるだろう。
FOOVESTの今後の動向に注目していきたい。