ITを通じて介護業界の情報透明化と働き手の負荷低減に着手する株式会社ウェルモ。
前編では同社代表取締役CEOである鹿野佑介氏にインタビューした。後編も引き続き同氏へのインタビューを続ける。
後編では、実際のサービスを始められたきっかけや、今後の展望について語っていただいた。
8ヶ月かけて約400法人の介護事業所を巡る
--ケアマネジャーさんが作成するケアプランの作成支援をする「ケアプランアシスタント」という人工知能がとても面白いですね。
鹿野佑介(以下、鹿野氏):ありがとうございます。
最初からこのケアプランアシスタントはやりたいことだったんですが、これを先にやっても、ただの机上の空論になってしまうなと思いました。
介護は結局、誰がやるかなんですよ。誰と出会えるのかが大事なんです。なので、最初に介護にまつわる地域資源の可視化から始めました。
--なるほど。そもそもはどのようなスタートだったのですか?
鹿野氏:最初は、それこそ介護事業所をひたすら巡ってボランティアとインタビューを続けていきました。北は仙台から南は福岡まで、8ヶ月かけて約400法人を巡ることで、とにかく現場を学んでいきました。
それで気づいたんですね、あぁ、これはヤバイなって。仕事の仕方が30年くらい遅れていて、未だに電話・紙・ファックスという状況でした。人件費比率が高い業界でコミュニケーションコストのかかる紙ベースのやりとりをしていたら、率直に介護保険が持たないなって思いました。
介護事業所って、行かれたことありますか?
--いえ、ないです。
鹿野氏:見た感じ、普通の一軒家なんですよ。しかもホームページがないところも多い。紙のチラシでしか知る方法がなく、介護事業所を一つ探すのにめちゃくちゃ苦労するという現実がありました。
そういうところに一軒一軒自転車で訪問して、ヒアリングしながら情報を可視化していきました。
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