食を通じてファーストデートにコミットする異色マッチングアプリ「Dine」《後編》

恋愛/結婚

 デートにコミットするマッチングアプリとして注目されるDine(ダイン)。これまでのマッチングアプリにはない「デート直結型アプリ」として、次世代の出会い体験を提供している。

 Love Tech Mediaでは、前後編に渡りDineを開発・運営する株式会社Mrk&Co代表取締役の上條景介(かみじょうけいすけ)氏にお話を伺った。

 前編では主に、アプリ立ち上げの経緯や目的について伺った。後編では、アプリの具体的な機能や、新しく取り組まれているリアルなイベントについて教えて頂いた。

》前編記事はこちら

検索条件項目なんて必要ない

--Dineでは検索の概念がないと(前編で)伺いました。毎日何名がアプリからリコメンドされるのでしょうか?

上條景介(以下、上條氏):毎日決まった時間に、複数名が画面上でリコメンドされます。人によってリコメンド人数が違います。居住地域や性別、アプリ内での行動ログなどを独自に分析して、その人に最適な人数に絞って、最適な相手をご紹介する仕組みにしています。

 

--それは斬新ですね!てっきり、全員一律の人数かと思っていました。最適な相手とは、アプリでどのように決めているのでしょうか?

上條氏:詳細は企業秘密なのですが、どんな相手にアプローチしているかだったり、どんなレストランを選んでいるか、どのようなプロフィールを設定しているかなど、ユーザーの設定や行動履歴をみています。

また、ユーザーの顔写真の好みを学習する「スマート検索条件」機能もついています。

筆者がスマート検索条件機能に出てきた場合の画面例。
いいなと思ったら下に、そうでもないと思ったら上に、画像をスライドして学習を進めていく

 

上條氏:こちらの画面で好き/嫌いを上下に振り分けていただくことで、顔写真の好みを学習する仕組みです。

 

--これは面白いですね!この振り分けをやればやるほど、リコメンドされる相手が自分の好みに近くなっていくということですね。

上條氏:その通りです。

あと、検索の概念がないとはいえ、居住地や年齢など、最低限の条件は設定できるようになっています。

--多くのアプリが詳細な条件検索をできるようにしている一方で、Dineはどうしてここまで条件項目数を少なくしているのでしょうか?

上條氏:人間の好みなんて、実はいい加減なものだと思っているからです。

私の友人で最近結婚した女性美容師の方がいるのですが、結婚前に異性への好みを聞いたところ「職業柄、頭皮が薄くない人」と言っていました。でも最終的に結婚した男性は、頭皮の薄い方でした。

最初はタイプではなかったけど、話していくうちにフィーリングが一致していて、結婚までトントン拍子で決まっていった、とのことでした。

ご自身の中の固定概念で、良い出会いとの可能性を潰すこともあり得ると思っていますので、Dineでは設定できる検索条件をできるだけ少なくしています。

あとこれは個人的にですが、検索なんてダサいしちょっと差別的だ、と感じているから、というのも正直あります。

 

倍率約30倍のYakiniku Dine

--最近、新しくイベントも始められましたよね。それについて詳しく教えてください。

上條氏:Yakiniku Dine」のことですね。

2018年7月に開店した、一夜限りの完全審査制レストランです。

もともとアプリだけでなくイベントをやりたいと思っていたのですが、他社がやっているような一般的な婚活パーティーを今更始めるのは違うと感じました。どうせなら、他がやっていないことをやりたいなと。

マッチングアプリ界のBMWというブランドイメージを強化するようなイベントはどんな形がいいかと考え、最終的に自分たちでお店を開店しよう、ということになりました。

まずはこちらの動画をご覧ください。

 

--なんだかすごく面白そうな会ですね!

上條氏:いつも上質なレストランでデートされているDineユーザーに、美味しいお酒とこだわりの料理をご提供し、落ち着いて会話を楽しんでいただけるような時間と空間になるよう、設計しています。

 

--なるほど。どんな方が参加されるのですか?

上條氏:霞が関のエリート官僚やGoogle/Facebookなど外資IT系企業の方、電通/博報堂の社員など、本当に面白い方ばかりです。9:9で実施しました。

 

--すごいメンバーですね。参加者はどのように決めたのでしょうか?

上條氏:Dineのアプリ内で募集をかけまして、応募者全員を一人ずつ、僕たち運営メンバーが見て判断していきました。

一言で申し上げると、「僕たち自身が実際に会ってみたい人、人間的に魅力を感じる人」をチョイスしています。基本的にはDineプロフィールしか見ておらず、年収やかっこよさだけで選んでいるわけではありません。

唯一、アプリで通報経歴がない、という条件だけは敷いています。全部で18人という狭い空間に来てもらうので、お行儀の良さは大事だと考えています。

印刷された応募者プロフィール資料

 

--一人ひとりを目視で確認されているんですね!

上條氏:本当に色々な方にご応募いただいたので、選ぶ過程も非常に面白かったです。

男性12,500円、女性6,500円と決して安くはないのですが、7月の初回開催では18名の枠に対して約500名の男女から応募いただいたので、倍率にして約30倍でしたね。

今後も不定期で開催していく予定です!

 

他がやっていることをやらない、競争しない戦略

--アプリの仕組みといいイベントのコンセプトといい、Dineって非常にユニークですよね。国内外問わず、何か参考にされているサービスや企業・団体はあるのでしょうか?

上條氏:基本的に国内外主要なマッチングサービスは全て見ていますし、世界的な流れを注視してもいますが、アプリの機能として参考にすることはほとんどないですね。

むしろ「他社がやっていることをやらないようにする」ことを意識しています。

メッセージを重ねてからデートの調整という従来の流れを廃止し、調整が難しいとされるデートから始める仕様にしました。また、たくさんの条件検索項目は操作が煩雑で選択肢も狭めてしまうので、ほとんどの条件検索を廃止し、代わりにAIが顔写真や行動履歴を学習する機能に置き換えました。YakinikuDineやレストラン自動予約機能も、他アプリにはない取り組みです。

他で提供されている機能は本当に必要なのか?ということを常に考えつつ、「競争しない」ことが重要と捉えています。

 

--確かに初めてのものばかりですね!AIが顔写真を学習する機能なんかは、Dineでリリースされた後に、追従して似たような機能を実装したアプリはありますね。

上條氏:そこはノーコメントです(笑)

でも参考にされているのだとしたら、光栄なことですね。

 

--現在はアメリカ・カナダ・日本で展開されていますが、今後新たに海外展開するご予定はありますか?

上條氏:国を広げる予定は、今のところないですね。まあ、あるとしたらアジアかなとは思います。

結局、その地でマッチングアプリが流行っていないと、Dineは受け入れられにくいんですよね。第1・第2世代のマッチングアプリがあるからこそ、Dineのニーズが発生するんだと思います。

最初からDineを使っていただくのは、ちょっと違いますね。

 

--そうなると現状は国内ユーザーを増やしていくのが、直近の目標ですね?

上條氏:もちろん多くの方に使っていただきたいですが、ユーザー数をそこまで追っていません。日本全国満遍なくの普及も考えていないです。

日本全国の人がBMW乗っていたらおかしいですよね?

これまでのマッチングアプリでうまくいかなかった、Dineが必要な方にしっかり届くことと、ユーザーの皆さまのデートにコミットすることを、引き続き追求していきます。

 

毎日5分Dineを使うだけで毎週デートしていただけるようにしたい

--いきなり会う調整をしてしまうと怖い思いをするのではないか不安だ、という声をたまに耳にします。その辺りはいかがでしょうか?

上條氏:マッチングアプリを使っていない方ほど、そのような「漠然とした不安」をおっしゃることが多いです。

僕は「時間が解決してくれる」と思っています。

例えばFacebookが日本に入ってくるとき、当時は誰もが「日本で実名制のSNSが流行るわけがない。日本ではmixiのような匿名性が大前提だ」と言ってていました。

でも今現在をみてください。誰もが実名公開でFacebookをやっています。

ツールが一般的に受け入れられて、身の回りに使う人が増えれば、おのずと受け入れられていきます。

もちろん何か怖い目にあうリスクもゼロではないですが、それは合コンでもバーでの出会いでも一緒です。

Dineでは身分証明のない人は絶対に登録させませんし、変な行動をした人は強制退会させます。トラブルがあったときには、警察への通報も推奨しています。

他の出会い手段と、基本的には何も変わらないと考えています。

 

--ロジカルに考えると、おっしゃる通りですね!それでは最後に、Love Tech Media読者の皆さまに一言、お願いします。

上條氏:僕たちが「デートにコミットする。」をコンセプトにしているのは、現在ほとんどのマッチングアプリが、忙しい皆さまに合っていないと考えているからです。

従来のマッチングアプリでは、条件検索から大量に候補として表示された相手を一人ひとり見ていき、リクエストを送る必要があります。またマッチングしても会えるわけではなく、メッセージを重ねてフィーリングとタイミングがよければ、そこで初めてデートができるというものでした。

すごく時間と手間のかかる仕組みなんですよね。

僕たちは毎日5分でいいのでDineを開いていただくことで、毎週デートしていただけるように、常に改善を繰り返しながらサービス設計しています。

マッチングアプリを使ってもなかなかファーストデートまで行き着かない、そんな方はぜひDineをお使いください!

 

編集後記

マッチングアプリユーザーの声を聞くと、必ずと言っていいほど「デートまで行き着かない」「実際に会えない」という声を耳にします。多くの方がファーストデートまでの持っていき方に悩んでいます。

 

今回お話を伺ったDineは、まさにこの課題を解決するLoveTechなサービスでした。

 

Dineに登録されているレストランは、いずれもおしゃれで素敵なお店ばかり。ファーストデートに困っている方は、レストランを調べるために、Dineに登録されてもいいくらいに感じます。

 

これからも既存のマッチングアプリの常識にとらわれない取り組みを期待しています!

 

Dine詳細についてはこちらをごらんください

 

本記事のインタビュイー

上條景介(かみじょう けいすけ)

株式会社Mrk & Co 代表取締役CEO

東京農工大学工学部卒業。大学在学中にブログ「がんばれ、生協の白石さん!」を開設。書籍化された同作は発行部数約100万部の大ヒットとなる。2008年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。1年目に社内新規事業立案制度で優勝し社長室に配属。ソーシャルゲーム事業の立ち上げに参加し、DeNA初の内製ゲーム「海賊トレジャー」をリリース。その後、カナダスタジオ立ち上げのためバンクーバーに赴任。2015年、DeNAを退職し、株式会社Mrk & Coを共同創業。 

長岡武司

LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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