妊活や不妊に関する話題のタブー感が少しずつ薄れてきている
--今後のファミワンとしての取り組みについて教えてください。
石川氏:先ほど、企業による妊活支援のお話をしましたが、私たちとしても、企業の福利厚生として妊活中の夫婦をサポートするようなプログラムを提供したいと考えています。今はまだ名前はお伝えできませんが、今年の秋に向け、すでに5つの企業で何かしらの形でのプログラム提供をする方向で進んでいます。
--今の段階で導入を検討される企業さんは素敵ですね。
石川氏:はい。単純に導入企業を増やすのであれば、企業の福利厚生をパッケージとして提供するサービスと提携するのも手なのですが、今の時点では数よりも、一社一社、ちゃんと思いをもった企業にきちんとした形で導入したいと考えています。
世の中に妊活と向き合う必要性をどんどん広めていき、ユーザー数としては3年で30万人、導入企業数としては50社を目標に進めていく予定です。将来的には、「妊活を始めたらまず登録するサービス」、というレベルにまで持っていきたいですね。そのためには、常に様々な観点からの施策の検討や情報収集を心がけています。
--なるほど。ちなみに、どういった方法で情報を集めていらっしゃるのですか?
石川氏:それはもう、とにかく様々な方法で地道に収集していってますね。一言ではあらわせないです。基本的に、ファミワンとしては、自分たちが全てを知っているワケではなく、教えてもらうこともたくさんあるというスタンスでいたいと思っています。実際、ユーザーの方から驚くような情報や観点をいただくことも多いですね。不妊治療を受けている病院の具体的な治療の話だったり、海外の不妊治療情報だったり、色々な生の情報を教えていただいています。
--最近では、当事者として自ら声をあげる方も増えてきましたよね。
石川氏:確実に増えてきていますね。以前からクリニックなど医療サイドが啓蒙していったのも奏功していますし、行政の方でも妊活を少子化対策テーマとして認識してきているのが大きいと思います。また、少しずつですが、妊活や不妊に関する話題のタブー感が薄れてきているとも感じます。少なくとも起業した3年前と比べると、だいぶ周囲の見方も変わってきたなと。
--これからますます注目される領域ですね。最後に、LoveTechMediaの読者の皆様に一言お願いします。
石川氏:妊活は正解がない領域です。「これをやれば確実に妊娠できる」という方法はありません。
だからこそ、不妊治療含めた妊活を「自分ごと」として夫婦で考えてもらうことが重要になってきます。
まだパートナーがいない人もいる人も、妊活がどんなステータスでも、そして結果として妊娠してもしなくても、全ての人が自分自身・友人・周囲の方の妊活に関して改めて考えるきっかけになって、お互いに向き合って支えていける世の中になっていければいいな、と考えています。
それが私たちのビジョンである「子どもを授かりたい夫婦の未来を、ともにささえる社会をつくる」につながると信じています。そのための仕組みづくりを、一つ一つ丁寧に進めて参ります。
--本日は貴重なお話をありがとうございました!
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/famione20180709/”]編集後記
妊活というと独身の人にとっては縁のない話題に感じるかもしれないが、実は独身の時こそ、きちんとした情報を収集しておくべきと、お話を伺いながら感じました。
実は筆者も、初期のファミワンサービスで展開していた「無料相談掲示板」での情報を通じて、妊娠した経緯があります。正しい情報を収集し、自分ごととして取り組むことの大切さを、私自身、身をもって感じています。
ファミワンさんでは、「日本の妊活のあり方を変える会」というクローズドなコミュニティも運営されており、実に1,000名程度のサポーターの方が所属して、不定期にオフ会やユーザーヒアリング会を実施されています。 多
くの方々の協力を得て作り上げているLINEのコンシェルジュサービス、妊活に取り組む方は是非使ってみてください。
後編では、株式会社ファミワンにてコンシェルジュ対応をされている不妊症看護認定看護師の方と、実際に『famione』サービスを使われている妊活中の女性に、それぞれお話を伺います。
本記事のインタビュイー
石川勇介(いしかわゆうすけ)
株式会社ファミワン 代表取締役社長
自身の妊活経験で直面した「夫婦でも話し合うことが難しい」「信憑性の低い情報が氾濫している」などの課題を解決するため、2015年に株式会社ファミワンを創業。企業への福利厚生の提供やテレビドラマの監修、そして東京大学との共同研究など、幅広く展開中。2017年9月にNPO法人日本教育福祉振興支援協会の理事就任。
-監修実績-
「隣の家族は青く見える」(フジテレビ系列放送局)医療監修
-取材掲載実績-
「日本経済新聞」「フジサンケイビジネスアイ」「美ST」「PRESIDENT WOMAN Online」他多数
-採択実績-
東京都によるベンチャー支援プログラム「ASAC」や、森永製菓、バイエル薬品メットライフ生命など
プログラム/イベント選出多数