記事の要点
・合同会社Petiesはスマホで手軽に読み書きできるペット用NFC迷子札「PawBell・PawBell Hybrid」を2020年4月1日より発売する。
・2019年6月に成立した改正動物愛護法で、犬や猫に所有者の情報を記録した「マイクロチップ」の装着などが義務付けられた。マイクロチップは体内に埋め込むことが一般的だが、外見から装着の有無が分からなかったり、読み取りに専用リーダーが必要。NFC迷子札にマイクロチップ番号を書き込むことで、誰でもスマホで読み取りができ、マイクロチップ番号を迷子の捜索にも利用できるようになる。
・また、NFC迷子札PawBellで使用している小型高耐久NFCタグを単体で法人向けに販売もしていく。通信範囲は数センチ程度で、スマホをNFCタグの近くにかざすことで非接触で通信が可能。
LoveTechポイント
犬や猫に所有者の情報を記録した「マイクロチップ」装着の義務づけは、飼い主がペットを安易に捨てることを防ぐほか、迷子や地震などの災害、盗難や事故などのケースに役立ちます。
今回のNFC迷子札は、マイクロチップのメリットをより最大化できる点で、とてもLoveTechだと思います。
編集部コメント
2016年からQRコード迷子札の企画・販売を進める合同会社Petiesが、新たに2020年4月1日より、スマホで手軽に読み書きできるペット用NFC迷子札「PawBell」「PawBell Hybrid」の販売を開始する。
NFCとは“Near Field Communication”の略語であり、近距離無線通信規格のひとつ。端末から端末へと無線でデータを送る機能の総称であり、iPhoneでいうAirdropや、昔であればガラケーの赤外線通信のように、昨今の携帯機器にと標準搭載されている通信方式だ。
今まで販売していたQRコード式迷子札で十分なんじゃないの?と思われるかもしれないが、その開発背景にあるのが、2019年6月に成立した改正動物愛護法にある。
何点か改正ポイントがあるのだが、今回の背景となるのは、犬や猫の販売業者やブリーダーに対し、犬猫への所有者情報を記録した「マイクロチップ」装着の義務付けだ。
このマイクロチップは、直径2mm・長さ約8~12mmの円筒形の電子標識器具で、内部はIC・コンデンサー・電極コイルからなり、外部は生体適合ガラスで覆われるもの。それぞれ一意の15桁番号が記録されており、この番号を専用リーダーで読み取ることで、迷子や地震などの災害、盗難や事故などのケースに役立つ。また、飼い主がペットを安易に捨てることを防ぐという効果も発揮することが期待されている。
ペットをはじめとする動物の安全で確実な個体識別方法として、海外では広く使われている手法だ。
だがこのマイクロチップ、まだまだ課題もある。
まず、これは全てのペット・動物に適用されるわけではない。今回の法改正が施行されるのは公布から3年以内とされており、2022年夏頃までには実際の義務化がスタートする予定だ。なので、2022年以降に新たなペットをショップで購入するときには、すでにマイクロチップが装着された犬猫が来ることになる。しかし、既にペットを飼っている一般の飼い主に対する装着は「努力義務」とされているので、外見上装着の有無が分からないということが起こりうる。
また、マイクロチップを体内に埋め込むことによる健康被害がないかを危惧する声も、各所であがっている状況だ。
そんな背景から、安心安全な形で、かつわかりやすくマイクロチップ番号を確認できるプロダクトとして開発されたのが、今回発表されたNFC迷子札「PawBell」「PawBell Hybrid」である。
飼い主は、ペットの名前や飼い主情報などを遠隔から自由に編集&書き換えすることが可能となっている。また、例えば迷子犬の首にこのNFC迷子札がかかっていた場合、拾った人物はスマホカメラを近くにかざすことで、これらの情報に瞬時にアクセスすることが可能となっている(Androidではロック画面を解除してPawBellにかざすだけ、Phoneでは無料ダウンロードできるNFC読み取りアプリを利用)。
<NFC迷子札「PawBell」>(実用新案取得)
- スマホで簡単に書き込み・読み取りOK
- 繰り返し書き込み・上書き禁止ロックもできる
<NFC迷子札「PawBell Hybrid」>(特許出願中)
NFC+QRコードの組み合わせで「Peties迷子サポート機能」をプラス
- スマホで簡単に書き込み・読み取り
- NFC機能(繰り返し書き込み・上書きロック・読み取り)
- 迷子サポート:詳細なペットプロフィールをデータベースに登録。保護主が閲覧できるシステム。
NFCという比較的新しい技術が、ペット業界におけるイノベーションになり得るというわけだ。
このように、IT技術を活用したペット飼育者を支援する商品やサービス「PetTech」の市場規模は、拡大傾向にある。矢野経済研究所が昨年末に発表した市場規模推移によると、2018年度の国内ペットテック市場規模は小売金額ベースで、前年度比321.7%の7億4,000万円と推計。飼育者への認知の広がりと技術進展による機能向上で2023年には50億円規模まで成長することが見込まれている。
出典:株式会社矢野経済研究所「ペットテック市場規模推移」
これに対して一般社団法人ペットフード協会が2019年に実施した調査(※)によると、「飼育頭数・飼育率共に、犬は減少、猫は緩やかに増加の傾向にある」とのこと。
つまり飼育頭数自体が大きく拡大しているわけではないようだが、AIなどの技術が実用レベルまで進歩したことで、ペット用品に応用されるようになり、またクラウドファンディング等によって新規商品のアイデアを有するベンチャー企業と当該商品に賛同する飼育者からの資金調達が可能になったなどの要因で、市場全体が拡大していることが考えられる。
※一般社団法人ペットフード協会「令和元年全国犬猫飼育実態調査」より
なお、今回発表されたNFC迷子札「PawBell」で使用されている小型高耐久NFCタグは、それ単体で、法人向けに販売もしていくという。
直径10mm,15mm,20mmの3サイズ展開で、厚さは0.5mm。銅線アンテナ使用により小型・薄型化を実現しており、外装はPET素材で作られているため耐水性・耐熱性も備えているという。
登山、マリンスポーツ、ツーリングなどレジャーでのもしものアクシデントに備えたエマージェンシーキーホルダーへの活用など、様々な分野での組み込みが想定できそうだ。
ペットの迷子札としての活用はもちろん、多分野への応用についても、編集部としてその動向に注目していきたい。
以下、リリース内容となります。