記事の要点
・ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏がCEOを務める株式会社itakotoが、遺書動画サービス「ITAKOTO」のiOS版アプリ提供を開始したことを発表。
・アプリ上のガイドに従って遺書動画を撮影し、完了後に生成される遺書URLを届けたい人に送るだけ。URLの受け手は、Webで開封して中身を確認することができる
・元気なうちに“亡くなった時”のことを考えて遺書を作成することで、自身の過去と現在、そして未来と向き合って考えるきっかけを作ってくれることを想定してのサービスとなっている。
LoveTechポイント
田村さんがおっしゃる通り、死に方や弔い方にも“選択肢”があるということ自体、多くの人にとっては考えたこともないようなテーマなのではないでしょうか。
死というものを身近なテーマとして考え、有事の際の心と周囲の準備をする。それによって表裏一体である自身の“生”の意味や意義を捉え直す機会を創出している点が、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏がCEOを務める株式会社itakotoが、遺書動画サービス「ITAKOTO」のiOS版アプリ提供を開始したことを発表した。
https://apps.apple.com/jp/app/itakoto/id1517187206
仕組みはシンプルで、アプリ上のガイドに従って遺書動画を撮影し、完了後に生成される遺書URLを届けたい人に送るだけ。URLの受け手は、Webで開封して中身を確認することができるという流れだ。
例えば、自分の誕生日に「今の自分」を記録するためでもいいし、大切な人に普段言えないことを伝えるためでもいい。もしかしたら、ずっとコミュニケーションを怠っていた両親へのメッセージとしてでも良いかもしれない。
元気なうちに“亡くなった時”のことを考えて遺書を作成することで、自身の過去と現在、そして未来と向き合って考えるきっかけを作ってくれることを想定してのサービスとなっている。ありそうでなかった視点だ。ちなみに、ITAKOTOという名前の由来は、「残された方に“言いたかったこと”」「この世に“いたこと”」「今を生きる人にメッセージを伝える“イタコ”」から名付けられたという。
発案者である田村氏によると、本サービス企画の背景には二つのきっかけがあったという。
一つ目は、青森・恐山での体験。イタコが孤独死した女優さんの霊を呼ぶという番組にて、姉に対して何もできなかったと悔いていた弟さんが、イタコの言葉でお姉さんの気持ちを知り、「安心した」「誤解してた」と涙ながらに言葉を受け止め、救われていったという。
もうひとつは、田村氏の母の言葉。年に一度の誕生日が来るたびに「もし、私が病気になっても延命治療しないでね。」と伝えており、生前にはっきりと死生観を伝えることで、残りの家族はいざと言うときに迷わず判断することできるというメッセージを受け取ったのだという。
田村氏が慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学したのは、それらの経験を経て、死に方や弔い方の選択肢が今の社会に少ないことに違和感を覚え、そこにアプローチするサービスを作るためだったというわけだ。
大学院では研究の一環で、一般の方々を対象に遺書や死生観についての様々なアンケートやワークショップを実施。そこで人々の遺書に対するイメージがポジティブなものへと反転していくことを実感したことから、それらのデータをもとに様々な専門家に相談し、ITAKOTOの発案と開発へと至った。
「このサービスは大切な人へメッセージを贈ることはもちろんですが、遺書作成において自分といかに向き合うか? ということが大切になります。動画でメッセージを撮影することで、画面を通して自分自身を客観的に捉えることができ、自問自答して湧き出てきた大切な言葉達を相手に届けることができます。これが一つ目の動画で贈るメリットです。もう一つは、贈る相手に手紙だけだと伝えられない表情、声質、言葉の温度など様々な情報を伝えることにより相手に深くメッセージを届けられるという事です。」
-田村氏メッセージ
ITAKOTOの利用プランとしては、遺書数や動画時間、画質、保存期間に応じて無料プランと3つの有料プランが用意。FAMILYプラン以上は、対象者によって複数の遺書を用意したいという人向けに用意されている。ちなみに、有料プランであっても一つの動画は3分以内に納めるようになっており、簡潔に伝えたいポイントだけを録画するように工夫されている。
死というものは、多くの元気な人にとっては突然やってくるもの。
普段なかなかじっくりと時間をかけて考える習慣がないからこそ、ITAKOTOを通じて自分の死生観を省みてはいかがだろう。
以下、リリース内容となります。