LoveTech Media編集部コメント
現在、慢性疼痛(とうつう)に悩む方には、主に鎮痛剤が用いられている。
慢性疼痛とは、日常診療において非常に多い症候であるが、種々の病因で発症し、難治のため鎮痛薬投与が長期となり、治療に困惑することが多い神経症候のことを示す。(日本神経治療学会監修「標準的神経治療:慢性疼痛」より)
しかし、鎮痛剤では重篤な副作用を引き起こしたり、またオピオイド鎮痛剤と呼ばれる、日本では主にがんの痛みに使用される医療用麻薬の乱用は、海外で大きな社会問題となっている。
そのため、薬ではない「痛み」に対する治療方法の開発が期待されており、脳内の内因性オピオイド(体内で産生され中枢神経系に存在する神経伝達物質)が増加する事で痛みが緩和されることは確認されている中、特別にデザインされたVRを体験すると痛みが減少する事が報告されている。
そこに着目し、昨年4月より『VRを用いた慢性疼痛緩和の臨床研究』を共同で進めていたのが、パルス株式会社と順天堂大学である。
今回、その成果として医療用VRシステムが共同出願され、併せて「うららかVR」サービスとして提供開始したことが発表された。
うららかVRとは、順天堂大学大学院医学研究科 堀江教授、医学部麻酔科学・ペインクリニック講座 井関教授とパルス社との臨床研究に基づき、入院時の不安緩和と、3か月以上続く慢性化した神経障害性疼痛の緩和を目的として開発されたもの。
順天堂大学での臨床試験において成績を収めた複数のVRアプリが収録されており、利用する患者の状態に応じてコンテンツがレコメンドされ、推奨プログラムが変わる仕様となっている。
また、最新のVR技術によるコンテンツが日々追加され、随時アップデートされるものだという。
例えばゲームをやっている時、人は集中のあまり、痛みや不安といった感覚から切り離される体験をしたことのある方は多いだろう。
この知覚体験を応用し、痛みを感じることへの「集中」「執着」から切り離すことができる可能性のあるサービスとして、慢性疼痛に悩んでいる方にはぜひ、この「うららかVR」試してみていただきたい。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
当社子会社であるパルス株式会社と、順天堂大学学長 (新井一)が共同で進めております『VRを用いた
慢性疼痛緩和の臨床研究』 につきまして、医療用VRシステムとして共同出願いたしましたこと、併せてサービス名称 「うららかVR」を提供開始いたしますことをお知らせいたします。
サービストレーラーサイト 『うららかVR』
https://uraraka-vr.care/
利用者様の目線で専用にデザインされたVR
持ち運び容易なモバイル一体型のVRとなり、仰臥位(あおむけに寝た状態)でも使用可能。ご自宅や入院時のベッド等、どんな姿勢にも対応します。一般家庭でも不安・慢性疼痛の緩和が可能となるVRサービスは世界初となります。特に、神経引き抜け損傷、幻肢痛を含む、慢性の神経性の痛みをお持ちの方に、痛みや不安との向き合い方の提案としてお試しいただきたいと考えております。
また、クリニック・医療提供者向けには、利用状況がリアルタイム集計される管理画面をご提供します。
日々のVR利用者様のNRS・VASスケール(痛み度合い)等を管理画面から統計的に測定可能。
※集計にはWi-Fi環境必須 オフライン記録した事後通信でもクラウドにより自動集計します
「うららか VR」 とは
順天堂大学大学院医学研究科 堀江教授、医学部麻酔科学・ペインクリニック講座 井関教授との臨床研究に基づき、入院時の不安緩和と、3か月以上続く慢性化した神経障害性疼痛の緩和を目的として開発されました。
【お問い合わせ方法】HPより受付中
【リンク】https://uraraka-vr.care/
・順天堂大学での臨床試験において成績を収めた複数のVRアプリを収録。
・利用状況はオフライン時も端末に記録され、次回オンライン時に蓄積データがクラウドへ自動送信されます。
・ヘルスケア・プロバイダー様は複数端末をまとめて視覚的・統計データとして、効用度を確認可能です。
・最新のVR技術によるコンテンツが日々追加され、アップデートします。
開発・研究チーム
堀江 重郎 順天堂大学大学院医学研究科 遺伝子疾患先端情報学講座 教授
1985年 東京大学医学部医学科卒業
1993年 医学博士
テキサス大学、東京大学、国立がんセンター、帝京大学等を経て
2012年 順天堂大学大学院医学研究科 教授
専門医:本泌尿器科学会指導医、日本腎臓学会指導医、日本癌治療学会暫定教育医、
日本内視鏡外科学会腹腔鏡技術認定医
日本の泌尿器科を牽引しているキーオピニオンリーダー。日米で医師免許を取得し、前立腺・腎臓・膀胱のロボット支援手術においては国内トップの執刀経験を有しており、機能を温存した低侵襲の手術の普及に貢献している
またホルモン治療、がん緩和医療にも造詣が深い。
【堀江教授コメント】
VRは瞬間的に患者様のいる環境を変えることができ、痛みを感じることへの「集中」「執着」から切り離すことができる可能性があります。これまでビデオゲームを行うと、知覚および手指を動かす運動神経が働き、不安や恐怖、疼痛と関わる脳内の「扁桃体」という領域に作用して、不安や恐怖、疼痛が減ることがわかっています。
またゲームで「報酬」を得るとドーパミンという脳内ホルモンが産生され、このドーパミンも痛みや恐怖を抑えることが最近わかってきました。VRでのゲームはこの脳への作用をさらに強化すると考えられます。
井関 雅子 順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座 教授
1984年 近畿大学医学部卒業
2005年 順天堂医院緩和ケアセンターセンター長
2013年 順天堂大学医学部 麻酔科学 ・ ペインクリニック講座教授
順天堂大学大学院医学研究科 疼痛制御学教授
2018年 第52回日本ペインクリニック学会会長
2019年 日本ニューロモデュレーション学会会長
専門医:日本麻酔科学会指導医、日本ペインクリニック学会専門医、日本頭痛学会指導医、日本慢性疼痛学会認定医
本邦における疼痛学分野において、リーダー的存在の麻酔科医。ペインクリニック領域において、様々な疼痛疾患を日々評価・治療している臨床家。
【井関教授コメント】
慢性疼痛患者では、末梢、脊髄、中枢での痛覚伝導路の可塑的変化が発生し、脳内の痛みのネットワークが強固になっていくとされています。これらの変化により下行性抑制系の賦活化の低下、快楽・活力中枢の働きが低下しているという結果が脳機能画像からも証明されています。
一方で、疼痛患者が何かに集中しているときには痛みが軽減する、といった臨床での現象を応用して、脳の注意を痛みからそらすためにVRを医療に活用する、または、治療として定期的に利用することで痛みのネットワークが緩んでいくことが期待できるかもしれない、と考えます。
木下 将孝 株式会社イグニス(パルス株式会社)開発責任者 VRデザイナー
2018年 順天堂大学大学院医学研究科
医学部泌尿器科学講座 協力研究員
【木下コメント】
多科に渡る様々な症例を持つ患者様とのコミュニケーション一つ一つが設計図になります。
ご協力頂いている皆様・利用者様にはこの場を借りて心から御礼申し上げます。
一般的なVRコンテンツでは、VR体験中に心的ストレスを感じた瞬間に痛みが増加するケースや、使用する為にはベッドから起き上がらなければなりません。どんな姿勢でも使えるよう、患者様の目線で専用にデザインされたVRが必要だと考えました。例えば、点滴・シャント中でも快適に利用出来るよう 「VRに話しかける」といった音声入力操作を可能にする等の工夫を重ねています。また没入感に重要なVR映像のクオリティについて、VRカメラにより撮影した立体映像だけでなく、複数の独自開発技術により、CGであっても実写と遜色無い作品も収蔵しました。
毎日使っても元気になれるVRを検討して参ります。
コンテンツイメージ画像
利用する患者様の状態に応じてコンテンツがレコメンドされ、推奨プログラムが変わります。
■関連リンク
『による慢性痛み刺激緩和の臨床研究』概要:
https://1923.co.jp/press-release/2018/04/10_1.html
パルス株式会社の概要
社名 | パルス株式会社 |
代表 | 代表取締役 銭 錕 |
所在地 | 東京都渋谷区 |
設立 | 2016年11月4日 |
事業内容 | VRコンテンツの企画・開発・運営 |
URL | https://pulse227.com/ |
株式会社イグニスとは
『世界にインパクトを与えなければ、気がすまない』という経営理念の下、2010年5月に創業した、新たなユーザー体験の創出を目指すものづくり企業です。当社グループはスマートフォン向けアプリの企画・開発・運営を主な事業領域として、ソーシャルゲーム「ぼくとドラゴン」やアクションRPG「でみめん」、ブラウザゲーム、恋愛・婚活マッチングサービス「with」を展開しております。また、Virtual Live Platform 「INSPIX」やフードトラックプラットフォーム「TLUNCH」、ハードウェア、及びソフトウェアの設計・製造・販売を行っているロビットにおける「mornin’ plus」など、その時流に合わせたサービスを多面展開しております。今後もユーザーの潜在的なニーズを的確に捉え、新たなジャンルに挑戦することで、『次のあたりまえ』となるサービスを創り続けていくことを目指します。
イグニス コーポレートサイトURL:https://1923.co.jp/
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